スルドの声(嚶鳴2) terceira homenagem

桜のはなびら

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大丈夫の根拠

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(畠山 祥子)

 しょーちゃん草案の映像制作に私が役者として出演する。
 と言う話を持って来られた私は、やるやらない以前に、「やれるのか」と言う疑問と不安を抱えた。

 演技経験なんて一切ない。その類のセンスがあるとも思えない。しょーちゃんは演技しなくて良いと言っていたが、全くしないというわけにはいかないだろう。
 時間も、配慮してくれると言うが、それでもたったワンシーンを撮るのに膨大な人が準備をし、何時間も、時には何日もかける。天候次第で撮影スケジュールがばらしとなり、再度各関係者の日程調整をして臨むなんて話も聞いたことがある。
学校のテストもあるし、バイトもしないとならない。
 時期的にサンバのイベントも増えてくる。浅草サンバカーニバルも迫っている。撮影のための時間の捻出や、相手方に合わせたスケジュール調整が簡単にできるなんてイメージは無い。
 
 
 
 しょーちゃんの話は面白そうだし、興味はある。
 でも、ちょっと思いつくだけでも結構な問題点があるように思えた。仮に受けたいと思ったとしても、現実的に受けられるものなのだろうか。
 
 思いつく心配事を、思いつくままにしょーちゃんに伝えた。しょーちゃんは一通り聞いたうえで、にっこり微笑んで言った。

「そこまで具体的な懸念点が出るってことは、やる前提で現実的かどうか考えてくれているってことだよね? 良いね良いね。まず、スケジュールはなんとかする。誉ちゃんが必須のシーンは誉ちゃんの空き時間を中心に組むことにする。特に重要な冒頭部分は主演と絡む場面が多くなるはずだけど、主演よりも誉ちゃんの日程と空き時間を優先するよ。撮影時間もね、作品のクオリティを落とすわけにはいかないけど、時間管理は制作会社の、時間内に充分な映像を撮ることは監督の責務なんだから、プロとしてそこは両立してもらう。イメージでよくあるような、細かいこだわりみたいなのは、状況によって多少は妥協してもらう。そもそも寡兵で挑む立場なんだし、その手の位置づけでこの業界に居る制作陣とキャスト陣なんだから、すべてが万全ではなく、知恵と工夫で乗り切るスタンスは得意とするところでしょ」
 
 演技云々も、同じだとしょーちゃんは言った。
 エキストラや素人を起用したとしても、その精度で作品の質に差が現れるような作り方にしないのが、プロだと。
 
 そう力説されると、なんとかなるような気になってくる。
 人を巻き込む、勧誘する、そういった手管は、『Three ducks』でのバイト時代、私としょーちゃんはほぼ入れ替わりだったので、しょーちゃんの仕事は数えるほどしか見ていないけれど、その片鱗は現れていた気がする。きっと今の仕事でも大いに活かされていることだろう。
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