スルドの声(嚶鳴2) terceira homenagem

桜のはなびら

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 しょーちゃんからのお誘い。
 それは、映像作品に役者として出ると言う、これまでの自分の人生の範疇にはなかったこと。自分の未来の人生に予想していなかったこと。
 内容は面白そう。
 自信はまるで無し。
 しかししょーちゃんからは、「できる」「大丈夫」と言ってくれていた。
 根拠らしきことも説明してくれた。納得感はまだ半々。できそうな気はしつつも、自信はやはり無い。

 私の心が多少受ける方に傾きつつあることに、しょーちゃんは、更に私の背中を押す。


「誉ちゃんが思ってくれているように、大役ではある。そう思って慎重になってくれていると言うことは、やるとなれば大事に思ってくれると言うことでもあるから、嬉しく思うよ。もちろんどれだけ配慮しても、物理的に時間が食われるのは間違いがない。それなりの重要な役柄だから、多くは無いけどエキストラ費よりは多めの出演料を支払える見込みだよ」
 
 そう言ってしょーちゃんが提示してくれた金額は、バイト数ケ月分に相当していた。税を抜かれたとしても生活は大いに助けられることになる。
「え、こんなに」と、少し驚いた私に、しょーちゃんは笑顔で「当然の報酬だよ」と微笑む。それは、難易度の高さによる額ではなく、必要性への額だから、あまり身構える必要はないとも言ってくれた。

 
「『Three ducks』と誉ちゃんファンには悪いけどさ、お金の問題に関してはバイトの予定をまあまあ削ることができる。置き換えることができると思う」

 ママは多分応援してくれるだろう。私を贔屓にしてくれる常連さんも。そもそも常連のお客様の半分近くは元々しょーちゃんが引き継いでくれた人たちだ。ママや彼らの気質は私よりもしょーちゃんの方がよく理解している。しょーちゃんもまた、みんなは快くしばらくの不在を受け入れてくれる。作品の完成を楽しみにしていてくれる。そんな確信を持っているのだと思った。


「あとさっき誉ちゃんが言ってたやつ、製作費の圧縮を、身内を使うことで何とかするみたいなやつね。その点はそれほど深く考えていたわけじゃなかったけどさ、それもありかなって思った。エキストラに要も入ってもらって、一緒にやれたら楽しそうじゃない? 要の拘束時間は短い分、お小遣い程度の額しか払えないけど、誉ちゃんの精神的支柱になれるし、きっと受けてくれると思うなぁ」
 
 私もいつまでも子どもではないし、要さんに頼りっぱなしなんて状態からはすぐに脱却すべきなのだろうけれど、撮影現場に要さんが居てくれることを想像すると、やっぱり安心感あるなぁと思った。
 
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