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ひとまずは決着したけれど
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監督に水を向けられ、私は自分の考えを述べた。
スポンサーの担当者は、私に見向きもしないが、考えてはいるようだった。
「スポンサー様の意向は組みてえですがね。やっぱ無理あるわ。主役の既存の人間関係や環境は崩さず、要素を追加することはできなくはない。あんたの言うようなことも可能だろうよ。だが、放映時間が延ばせないんじゃ、なにかを端折るか圧縮するか。過不足なく組まれた「伝えるべきことを伝えるため」の構成を、そんなことで壊せるかよ。よしんば放映時間を増やせたとしても、テーマを伝えるために敷かれた真っ直ぐな道筋は歪む。誉が言っていたように、純度が下がるんだわ。それはやっぱり、質の低下になるだろうよ」
無理のあるテコ入れがなされた作品は、素人の一視聴者でもなんとなくわかったりする。視聴率の低迷など、必要だからなされたテコ入れであるにもかかわらず、余計な一手になることも少なくないだろう。まして、少なくとも現時点で、内輪に居る立場の手前味噌かもしれないけれど、テコ入れが必要な状況とは思えなかった。となれば、目的ではなく手段ありきの一手は、やはり「余計な事」になる可能性は高いのではなかろうか。
「うーん……」
スポンサーの担当者が考え込む。が、反論のためのアイデアは思いつかなかったようだ。諦めたような顔を作り、深いため息を吐いた。
「監督がそうおっしゃるなら、難しいということは理解できましたが……。とはいえ、勿体ないは勿体ないので、小国さんに相談してみますよ。アンバサダーとか、何かしらかの使い道があるかもしれませんし」
「あんたも諦め悪いねぇ」
監督は、スポンサーの担当者のものよりは軽い、呆れたため息をつきながら、「作品に影響を与えないなら好きにしなよ」と、既にこの話は終わったものとして、興味を無くしたように監督席に戻ろうとしていたが、思い出したように振り返り、「アンバサダーでも広告塔でもインフルエンサーでも構わんですがね、芯食った内容で発信させるようお願いしますよ? ゴーストライターでも中の人でも良い。どうにでもなるでしょ?」と一方的に言い放ち戻っていった。
「うぅん……小国さんは未だいらっしゃらないようですね。今日のところは失礼します」
少し悩ましそうな表情を見せたスポンサーの担当者は、次の予定があるのか腕時計を見て、誰に言うともなく独り言のように呟いて辞去していった。
去り際、ちらりと私を見たような気がした。
首尾一貫、私や妃夜さんを無視するかのような態度であった彼が、初めてこちらへの意識を態度で表したが、その奥底にある感情は窺い知れなかった。
スポンサーの担当者は、私に見向きもしないが、考えてはいるようだった。
「スポンサー様の意向は組みてえですがね。やっぱ無理あるわ。主役の既存の人間関係や環境は崩さず、要素を追加することはできなくはない。あんたの言うようなことも可能だろうよ。だが、放映時間が延ばせないんじゃ、なにかを端折るか圧縮するか。過不足なく組まれた「伝えるべきことを伝えるため」の構成を、そんなことで壊せるかよ。よしんば放映時間を増やせたとしても、テーマを伝えるために敷かれた真っ直ぐな道筋は歪む。誉が言っていたように、純度が下がるんだわ。それはやっぱり、質の低下になるだろうよ」
無理のあるテコ入れがなされた作品は、素人の一視聴者でもなんとなくわかったりする。視聴率の低迷など、必要だからなされたテコ入れであるにもかかわらず、余計な一手になることも少なくないだろう。まして、少なくとも現時点で、内輪に居る立場の手前味噌かもしれないけれど、テコ入れが必要な状況とは思えなかった。となれば、目的ではなく手段ありきの一手は、やはり「余計な事」になる可能性は高いのではなかろうか。
「うーん……」
スポンサーの担当者が考え込む。が、反論のためのアイデアは思いつかなかったようだ。諦めたような顔を作り、深いため息を吐いた。
「監督がそうおっしゃるなら、難しいということは理解できましたが……。とはいえ、勿体ないは勿体ないので、小国さんに相談してみますよ。アンバサダーとか、何かしらかの使い道があるかもしれませんし」
「あんたも諦め悪いねぇ」
監督は、スポンサーの担当者のものよりは軽い、呆れたため息をつきながら、「作品に影響を与えないなら好きにしなよ」と、既にこの話は終わったものとして、興味を無くしたように監督席に戻ろうとしていたが、思い出したように振り返り、「アンバサダーでも広告塔でもインフルエンサーでも構わんですがね、芯食った内容で発信させるようお願いしますよ? ゴーストライターでも中の人でも良い。どうにでもなるでしょ?」と一方的に言い放ち戻っていった。
「うぅん……小国さんは未だいらっしゃらないようですね。今日のところは失礼します」
少し悩ましそうな表情を見せたスポンサーの担当者は、次の予定があるのか腕時計を見て、誰に言うともなく独り言のように呟いて辞去していった。
去り際、ちらりと私を見たような気がした。
首尾一貫、私や妃夜さんを無視するかのような態度であった彼が、初めてこちらへの意識を態度で表したが、その奥底にある感情は窺い知れなかった。
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