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要さんの二の矢
しおりを挟む(メイクを頑張っている誉)
要さんの表情が、心なしか緩んだように見えた。
「誉が良く考えて決めたなら、それで良いよ。もちろん引き続きケアするよ。良いですよね? 小国さん」
もちろん、と笑顔の小国さん。
「サンバに関する扱いや表現の品質管理役で、こっちにも祷に入ってもらおう」なんて、勝手に決める要さん。
いのりのことだから断らないだろうけど。小国さんも止めないので、制作サイドとしては問題ないとの判断か。
「それで小国さん、全体的な話に戻りますけれども、お伝えされたかったことは三点、でしたよね。ってことは、一通り終わったってことですか?」
「? はい。終了間際にお時間をいただいていますから、端的に済ませましたが、お伝えしたかったことは以上です。ご質問等あればお受けしますよ」
「……もうひとつ、あると思うんですけど!」
小国さんがこちらに伝えるべきこと? を、要さんが掌握してるの?
ここにきて、要さんはちょっとムッとした顔をしている。対照的に私と小国さんは少し戸惑いの表情。
「この前のデート! 食事とかお返しとか約束とか、ふたりとも色んな言い方で言ってるけど、もうデートで良いでしょ! あれは! その、デートよ! どうすんのよ小国さん!」
「ええ、と、どうすんのと言うのは……?」
「ドタキャンしたんでしょ⁉︎ それはまあ、しょうがない。もう散々謝られてるのでしょうし、誉も許してると思う。でも代役はどうかと思う! まあ、キャンセル料勿体ないしお店にも迷惑かけるし、誰かに対応してもらうこと自体は悪いとは思わない。でも、デートに代役は無いでしょう⁉︎」
だ、だから、デートとかじゃなかったんだよう、きっと。
それ言ってんの要さんとしょーちゃんだけなんだから。
「誉、すっごくかわいくして出掛けてったのに!」
「わあああああ⁉︎」な、何を言い出すの⁉︎
「ねえ誉? メイクも、すっごいかわいかったよね? 出かける前写真撮って祥子に送ったじゃん? あれ、見せてやんな!」
「か、要さん! 余計な事言わないでっ……!」
「そ、それは、その。申し訳なかったと……」
「んん、まあ、謝って欲しいわけじゃないですし、もう終わったことですし、どうかと思っただけなのでそれは一応言いましたが、言いたかったのはこのことではなくて」
そうだ、「どうするのか?」と要さんは問うた。これは、過去を追求し清算を求めるものではなく、これからのことについてを尋ねる問いだ。
「ねえ、埋め合わせはするって言われたんですよね? それ、その話、しなくて良いんですか⁉︎」
「あ、そ、そう、ですね。それはしないとですよね」
「義務感で言ってます⁉︎」
「いえ、もちろんそういうつもりは……させていただけるなら、大変喜ばしく......」
小国さん、すごいたじろいでる。
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