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いのりの仕掛け
しおりを挟む(姫田 祷)
「今お集りの皆さんは、『雲霓』に携わっていただいている方々です。繰り返しになりますが、本件にスケジュールや告知方法など、制作及び販促に於ける修正はありません。社会的な影響もほぼないと見做しています。ここまででご質問は?」
特に誰からも声は上がらなかった。
「それでは、続いて……」
「あの、質問ではないのですが」
発言がないことを見計らった金津社長が説明を続けようとした時、いのりが口を挟んだ。
「姫田祷です。遅れておきながら進行をお邪魔してしまい申し訳ありません。この中では色部の補佐とサンバ文化の外部アドバイザー的な立ち位置である私と上杉が最も当事者からは遠い位置にいる中で厚かましいかとは思いますが、どなた様もご質問はなかったようですので、発言の機会をいただいてもよろしいでしょうか?」
「姫田さん。ご質問ありがとうございます。この中に関係のない方はいらっしゃいません。ぜひ忌憚のないご意見を伺いたく。どうぞ、お話しください」
「ありがとうございます。先ほど色部の補佐とお伝えしましたが、私の立場としては色部のケアや保護に重きを置かせていただくことをご理解ください。プロジェクトは予定通り進められるとのことは理解いたしました。進められるに際し色部をお任せするにあたって懸念点があることが明らかになりました」
え?
「私が独自に調べた内容で、情報をまとめ、確認するのにぎりぎりまで時間がかかってしまい、未だ色部をはじめ、誰とも共有はできていません。情報の精度ももしかしたらところどころ甘いところがあるかもしれません。ただ、大枠は固められている状況にあります。この件について、改めてお伝えさせていただく機会と善後策をお打ち合わせの機会を頂戴したい、というのが私の希望です。次の話に進む前に、ご認識いただきたくこのタイミングでお伝えいたしました。話したいことは以上となります」
「ありがとうございます。それは気になるお話ですね。引っ掛かりを残したまま進めるというのも気がかりですが……関係者がある程度揃っていて、お時間も余裕を持っていただけているこの場で、そのお話もテーブルに乗せるわけにはいかないのでしょうか?」
「私としてはできればそうしたい気持ちはあります。しかしながら、御社の人物の個人的な問題がクローズアップされる内容です。当事者のみで改めての方が良いように思ったのですが……」
「ふむ。弊社の人物、ということになると、本件に関わっているのは実質小国だけですが……或いは、代表として私か。もし、何か問題があったとするなら、私は皆様にそれを把握していただくことは一向に構いません。むしろスポンサーや協力会社の方々も知っておいた方が良い内容かもしれない。小国はどうだろうか?」
「はい、私もまったく問題ありません」
小国さんの表情は、なんのブレも動揺も感じさせないものだった。
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