スルドの声(嚶鳴2) terceira homenagem

桜のはなびら

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過去に起こっていた問題

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 いのりは、露骨にはならない感じで小国さんを見た。
 私も注視しすぎないように小国さんを見る。特に変わった様子はない。
 
「ここから特定の人物に関する話となります。素人が調べた範囲です。誤りや失礼があると思います。いつでも止めますし必要でしたら修正してください」

 おそらく小国さんに向けて言った言葉。
 しかし当の小国さんはどこ吹く風の様相だった。
 
「具体的な話に入る前に、少し前段を整理します。結論に繋がる話ですので、少しだけお付き合いいただけるとありがたいです」
 
 社長は頷いた。もっと付き合わされる形となっている監督や保科さんも、許容してくれたようだ。
 いのりは話をつづけた。

「『divine finger』では少し前に、ディレクタークラスの社員の方が二名退社されていますね」

「はい。一名は中堅クラスのディレクターで、若手の頃はアシスタントとして、もう一名の方のディレクターに付いていました。そちらのディレクターはベテランで、多くの番組制作に関わっていました。やり手ではあったんですがね……」

「退職の理由をうかがっても?」

「プライバシーは守られるべきですが、懲戒処分は公にさせてもらっています。お調べになられているでしょうからご存じのこととは思いますが、ええ、当社のことは代表である私の口から、正確な情報をお伝えすべきなのでしょうね。お話ししましょう」

「恐れ入ります」

「今の姫田さんとのやり取りで使った言葉の通り、その元社員二名は、弊社の社内規定違反による懲戒処分の対象者でした」
 
 取引会社に対する高圧的な態度や、接待の強要と捉えられるような言動など、いくつかの行動がパワハラや下請け法違反に当たることが、内部告発によって判明した。

 このふたりは以前にも問題が指摘されたことがあった。番組制作に於いて使用していた出演者に対してもハラスメントと疑わしき行動や言動が確認されていた。
 このときは、問題行動時は見過ごされていた。

 以前の問題とは、出演者のひとりが仕事を継続することができなくなってしまった事例があった。
 その事例の発覚時、当初はディレクター側が、その出演者側に「契約不履行だ」と、大上段から損害賠償を迫るくらいの勢いを見せていたが、仕事の継続が不能となった理由に、うつ病の診断書が提示され、うつ病の原因に二人のディレクターの出演者への対応があげられるにあたって立場は一転した。

 出演者側が、もうこの人物たちに関わりたくないとのことから、契約不履行などを持ち出さないのであれば、被害を訴えることはしないと身を引いたため、当事者間の和解で片が付いた格好となった。実質は出演者側の泣き寝入りに近い。
 しかし、形としては和解で解決したため、その事例に於いては。二名へは懲戒処分までは下されず、口頭による注意で済んでいた。
 
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