スルドの声(反響) segunda rezar

桜のはなびら

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ウリ

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 騒々しいやり取りには加わらず、その様子を微笑ましい様子で眺めていた男性ダンサー。
 笑顔が素敵な王子様タイプだ。


 やはり見覚えがある。ウリ、ウリ......。

「あっ......! もしかして羽龍うりゅうさん⁉︎ 北光きたみつの⁉︎」

 驚きのあまりついナカトミのカマタリみたいな言い方になってしまった。
 本当に今日はどうかしている。が、これほど精神に波状に揺さぶりをかけられたらそれは仕方のないことだろう。


「あれ、どこかで会ってる?」

「えーなになに、ウリちゃん昔ナンパでもしよったん? かーっ! おとなしそうな顔しよって下衆でんなあ⁉︎」などと茶々を入れているるいぷるを、「やめとけて!」と凡庸に抑えるアイジ。

 これは無視しておいて良いことくらいは掌握済み。


 ウリも全く意に介していない。流石は私のーー

「先輩! なんです。羽龍さんは、私の」

 ああ、文章がおかしくなる。
 意外と私はペースを乱されると弱いのかもしれない。経験によって弱点を知れることは幸いだ。特に弱点は自覚できないこともままある。知っているのといないのでは、雲泥の差がある。
 知っていれば克服するにしても補うにしても捨てるにしても、効果的な選択を自らの意思で選べる。

 この場に於いては「修正」だ。
 ひとつ。大袈裟にならない程度に大きく息を吸い、吐いた。
 体勢を立て直す。


「私、起業インカレサークル『TA +d』に入ってます。ウリは羽龍さん......立ち上げメンバーの北光さんですよね?」

 思考(Thinking)と行動(Action)にdesign性を持たせることを旨とした企業系のインカレサークル『TA +d』。
 その立ち上げメンバーとして。
 そして、起業サークルとは言え、実際に起業できた数少ない事例のひとりであり、直近では行政を巻き込んだ大きなプロジェクトを成功させ、今なお勢いのある経営者として。
 サークル内で北光羽龍の名前や写真を見る機会は多かった。
 また、遠目で九十分程度ではあったが登壇も見に行ったこともある。間違いなく本人だ。

「ああ、後輩だったんだ? よろしくね
『TA +d』に入っているってことは、経営や経済に興味があるのかな?」


 起業サークルに入っていても、必ずしも全員が起業を目指しているわけではない。ウリの訊き方なら全てを網羅している。

「はい、それともう少し広い意味で、会社を起こすことに限らず組織の出来上がり方、人同士の結びつき方にも興味があって」

「なるほど、良い着眼点で物事を捉えているね。カンパニーの原点てそこだから」


 会社を起こすことは、本来は目的にはならない。
 目的があり、それを為すために、個人ではできないことを補うために、人と人とが繋がり合い協働し、より目的に沿う、または目的の先にある次の目的、さらにその次の目的に到達する集団を形成し続けることが、結果としての会社となるのだから。
 会社を意味するcompanyが、仲間を意味しているのも至極当然である。

「一応経営者だから、なにか訊きたいこととかあったら気軽に訊いてよ。あと、そうはいっても同じ『ソルエス』のメンバー同士なんだから、あんまり先輩後輩の関係性は気にしなくて良いし畏まらなくて良いからね」

 先ほどと変わらないにこやかな表情だ。
 実力実績経験を備えた先輩が身近な存在になるなんて。想定していなかった幸運だ。

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