スルドの声(反響) segunda rezar

桜のはなびら

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絶対安静

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 まずは二週間。
 ハルの所見では二週間絶対安静にしていれば完治の可能性がある。
 とにかくこの二週間の絶対安静をクリアすることが最低限求められる。

 何かをしろというのではない。何もしなくて良いのだ。しかし、この何もしない、動かさないというのが簡単なことではない。まして利き腕である。


 怪我をしたその日から日常生活は始まる。
 翌日から普通に通学していたがんこ。カバンを持たなくても良いリュックにするなど、工夫はしていたが、家と学校の行き来や、学校での生活で苦労はなかっただろうか。
 とても心配だ。できるだけカバーしてあげたい。


 利き腕は日常のほとんどの場面で、意識せずとも使っている部位のはずだ。
 これをまったく動かさないようにさせるには、日常の動きのほとんどを肩代わりしてあげるくらいでなくてはならないだろう。だがそれは現実的ではない。

 まず、できることをリストアップしてみよう。
 がんちゃんのできること、ではない。私が肩代わりできること、である。
 それががんちゃんにとって、例えば左手で容易にできることだったとしても関係ない。できることをすべて引き受けるつもりでいくのだから。

 などと勢いの良いことを言っても、必然私とがんこの生活に於ける、時と場所が重なる場面の中でしか、助けることができない。
 お互いが家にいる時間と、ふたりとも練習に行くタイミングに絞られる。

 なんて歯痒い。
 いっそ高校についていけないものだろうか。何らかの手段がないか本気で考えてしまったほどだ。

 家の中での生活となると、ひとが生きていく上での基本的な活動が多い。

 食事については意外にも、私が手を回すまでもなく母の方から、お弁当も含めフォークやスプーンで簡単に食べられるように工夫したものを毎日作ると言ってきた。がんこも素直に受け入れたようだ。良い傾向だ。

 あとは困るとしたら何だろう?
 歯磨きは電動歯ブラシを使っているから問題あるまい。
 トイレはそれなりに大変では? しかし流石に嫌がられるだろうか。
 ならばお風呂ならどうかなと手伝いを申し出たが、断られてしまった。左手だけで頭を洗うのは大変だろうに。

 完璧な姉、理想の姉を追求しておきながら、お風呂すら手伝えないとは情けない。
 このままでは沽券に関わる。挽回しなくては。

「髪とかそうか?」

「別にいらないよ。左でとかせるし」

 本当に大丈夫? かつて私が部活で左手を痛めた時は、利き手ではなかったが、ブラシを使う利き手とは逆の手でドライヤーを持たなくてはならない。それが結構大変だった。

「スタイリングは?」

「とかすだけで完成だからそれも良いや」

 高校生にもなってそれで良いのか。
 それでもかわいい、それがかわいいのががんちゃんなのだけど。

「メイクは.....」

 あまりしてないよねぇ。

「治るまで別にしなくて良いや。指で塗るタイプの基礎みたいのだけしとく」

「文字書くこととかないの?」

「この二週間で宿題がある授業はほとんどないし、あっても選択式の問題解くだけだから。書かなきゃいけないやつは治るまではスマホのメモに入力したのを見せるか、先生に転送して印刷してくれたのを提出扱いにしてくれるって言ってた」

 個人の事情にずいぶん融通利かせてくれる学校だ。まあ直近二週間の状況では、教科の先生の裁量でどうにかなる問題しかないのだろう。タイミングに救われている。
 中間テストが終わった後で本当に良かった。



 結局私が任せてもらえたのは、タイミングがあった時の車での送迎と、ブラウスのボタンを閉めることだけ。ボタンを外すのは左手でできるので必要ないそうだ。

 挽回とは程遠い成果だ。
 悔しいのでがんちゃんの洗濯物すべてにアイロンをかけて丁寧に畳んでやった。








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