【完結】モブの王太子殿下に愛されてる転生悪役令嬢は、国外追放される運命のはずでした

Rohdea

文字の大きさ
6 / 43
第1章

5. 頻繁に届く贈り物

しおりを挟む

「お嬢様、お届けものです」

  先日、無事に社交界デビューを無事に終えた私の元には、頻繁にお茶会へのお誘いやお祝いの贈り物が届くようになった。
  私とお近付きになりたい人は多いらしい。
  ランバルド公爵家という我が家の力を改めて思い知った。
 

  社交界デビューした事で、もしや……と、心配していたニコラス殿下との縁談の話は、今のところ特に持ち上がっていないようで、私はとりあえず安堵していた。
  安堵ついでにこれだけのお誘いや贈り物が届くのだ。もしや縁談の一つや二つ来ているのでは、と思いダメ元でお父様に話を振ってみるも、今までのように困った顔をして首を横に振るだけだった。

  ……どうやら、そっち方面での私は人気が無いらしい。
  なので、相変わらず先手を打って別の人と婚約して逃げるのは難しそうだった。
  やっぱり、いずれどこかのタイミングでニコラス殿下と婚約する事になるのかも、と思うとちょっと落ち込んだ。


  そして、今日も私の元には贈り物が届いている。
  サラのこの言い方。
  それは、数々のお誘いと贈り物の中でも、やたらと頻繁に届く贈り物を指している。

  その贈り主は──

「……もしかして、また?」
「はい……また、あの御方からです」
「…………」

  あの御方──そう。フリード殿下。
  あれから私の社交界デビューの日以降、私の元にはフリード殿下から定期的にお花と手紙が届くようになった。
  大きな花束では無い所にちょっとした気遣いを感じる……が、とにかく頻繁なのだ!

「今日は、リナリアの花ね」

  確か、今まで頂いたのは黄色の薔薇から始まって、ペチュニア、ロベリア、パンジー、サンタビリア……

「毎度毎度、律儀よねぇ」
「………………」
「サラ、どうかした?」

  サラはいつも贈られてくる花を見ては何か言いたそうな顔をする。
  だけど、聞いても答えてくれないのよね。
  自分で考えて下さいって言われたわ。

「…………どこまで続く事になるの……不憫だわ……」

  サラが小さく呟いた。

「サラ?」
「あ、何でもありません。今日も綺麗なお花ですね!」
「そうね……だけど、いつも手紙も特に用事があるって感じじゃないし、フリード殿下は何がしたいのかし……あ!  もしかして友人がいない私を気遣ってくれてるのかな?」
「お嬢様……?」

  今まで引きこもっていた私には友人と呼べるほど親しい人がまだいない。

  フリード殿下からの手紙の内容は、単なる時候の挨拶だったり、私の健康をうかがうような内容ばかりなので、特に用事があるわけでな無さそうなのだ。
  なのに、わざわざ手紙を送り、私の事をこんなに気にかけてくれている。
  7年前の罪滅ぼしをあんな形でする人だもの。
  私が、ずっと引きこもって友人がいない事を自分の責任だと思ってるのかも!


  理由は何であれ、こうして届く花や手紙は……とても嬉しい。
  あまりにも嬉しかったので、花は枯れる前に押し花にして残してある。
  だってせっかく綺麗な花なんだもの、どうにかしてとっておきたいじゃない?
  この世界にはカメラが無いのが残念で仕方なかった。


「お返事書かれますか?」
「えぇ、そうね。サラ、紙とペンをちょうだい」

  王子様相手に文通なんて言うにはおそれ多いけれど、でも私はフリード殿下とのこんなやり取りをひっそり楽しんでいた。



◇◇◇




「今日は、ベゴニア?  本当に毎度毎度違うお花ばっかり。凄いわ」
「…………」
「サラ?  どうかした?」

  今日も相変わらず、贈られた花を見たサラは変な顔をしている。
  ここまで来るとさすがに気になってしょうがないのだけど。
  だけど分からないのよ……
  別に変わった花や珍しい花を贈られているわけでは無いのに。

「いえ、今日もキレイな花ですね!」
「えぇ、そうねー……あら?」

  いつものように同封されていた手紙を開封すると、今日の手紙の内容はいつもと違っていた。

  “5日後、もし良ければ一緒に街に行かないか?”
  そんな事が書かれていた。

「一緒に街に……?」
「あらあら、お嬢様!!  これは……デー」
「何か視察でもあるのかしらね」
「…………えっ!」

  サラが今までにないくらい吃驚した顔を向けてくる。

「だって、そうでしょう?  王子様が街に行くのって視察が目的よね?」
「………………」
「何で私を誘って……あ!  あのデビューの日に私が街に行った事が無いって話をした事を覚えていてくれたのかしら?」

  雑談している時にそんな話をした記憶がある。
  私がそんな事を思い出していたら、サラが何かに絶望したような顔をしていた。

「サラ?」

   ……何でこの世の終わりみたいな顔してるのよ?

「私はお嬢様の将来が心配です……」

  ……何で未来の心配されてるの、私。




  ちなみに、その後、
『視察ですか?』
  と、返事をしたら、
『違う。お忍びで出かけるんだ。もちろん護衛はいる』
  と返信が来た。

  視察じゃ無かった。
  何故私が誘われるのだ……?  と思わなくも無いけれど、あんな些細な話を覚えていてくれて、街へのお出かけを誘ってくれたのだとしたら、これも罪滅ぼしの一つなのかもしれない。


  だけど、何で私は婚約者となるはずのヒーローであるニコラス殿下とではなく、モブのフリード殿下と仲を深めているんだろう?
  まだ物語は開始していないからそういう事もあるのかな?
  すでにストーリーが変わっている所は変わってるわけだしね、と思いとりあえず納得した。
  

◇◇◇



  街へ出かけるにはお父様の許可が必要なので、確認したところ最初は驚いてたけれど、「殿下と殿下の護衛がいるなら、大丈夫だろう」と言ってくれたので、私は喜んで承諾の返事を返した。
  殿下からも「楽しみにしている」って返事が来た。


「ねぇねぇ、お忍びって事は目立たない格好の方がいいのよね?」
「そうですねぇ……」

  サラは、街に行けると目を輝かせている私とは対照的に困った表情を浮かべながら言った。

「お嬢様もフリード殿下も、どんなに目立たない格好をしても、滲み出るオーラは隠し切れない気がします」
「え?  何言ってるの?  殿下ならともかく私はそんな事無いわよ」
「……お嬢様……」

  この時、サラが残念そうな子を見るような目をしていたのだけれど、私は全く気付かず、

「けど、まさか街に行けるなんて思ってなかったわ!  楽しみ!!」

  と、浮かれまくっていた。


  これまで私の世界は狭かった。
  護衛を連れていけば街に行く事も許可されただろうけど、私はなるべく外に出ない日々を過ごしていた。
  婚約云々の心配事だけでなく、筆頭公爵家の娘である私は、自由気ままに動き回るには色々と面倒な事が付き纏う。
  けれど自分で決めた事とはいえ、やはりどこか寂しかったのは事実だ。


「最近の……殿下と交流をはかるようになってからのお嬢様は毎日が楽しそうですね?」
「え?  そう、かしら?」
「はい。以前よりも表情が豊かになりましたよ」

  そう言ってサラが微笑む。
  正直、自分ではよく分からないけれど、昔から私の事を見てきたサラが言うのだから、きっとその通りなのだろう。

  確かに、殿下から頻繁に届くお花は今日は何だろう?  って楽しみにしてるし、手紙を送り合うのも楽しい。
  そう考えたら、何だかムズムズした気持ちになった。



「楽しんで来てくださいね、お嬢様!」
「えぇ!」

  サラの言葉に私は満面の笑みで答えた。

しおりを挟む
感想 55

あなたにおすすめの小説

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

【完結】公爵令嬢の育て方~平民の私が殿下から溺愛されるいわれはないので、ポーション開発に励みます。

buchi
恋愛
ポーシャは、平民の特待生として貴族の学園に入学したが、容貌もパッとしなければ魔力もなさそうと蔑視の対象に。それなのに、入学早々、第二王子のルーカス殿下はポーシャのことを婚約者と呼んで付きまとう。デロ甘・辛辣・溺愛・鈍感コメディ(?)。殿下の一方通行がかわいそう。ポジティブで金儲けに熱心なポーシャは、殿下を無視して自分の道を突き進む。がんばれ、殿下! がんばれ、ポーシャ? 

キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる

藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。 将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。 入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。 セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。 家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。 得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。

転生賢妻は最高のスパダリ辺境伯の愛を独占し、やがて王国を救う〜現代知識で悪女と王都の陰謀を打ち砕く溺愛新婚記〜

紅葉山参
恋愛
ブラック企業から辺境伯夫人アナスタシアとして転生した私は、愛する完璧な夫マクナル様と溺愛の新婚生活を送っていた。私は前世の「合理的常識」と「科学知識」を駆使し、元公爵令嬢ローナのあらゆる悪意を打ち破り、彼女を辺境の落ちぶれた貴族の元へ追放した。 第一の試練を乗り越えた辺境伯領は、私の導入した投資戦略とシンプルな経営手法により、瞬く間に王国一の経済力を確立する。この成功は、王都の中央貴族、特に王弟公爵とその腹心である奸猾な財務大臣の強烈な嫉妬と警戒を引き寄せる。彼らは、辺境伯領の富を「危険な独立勢力」と見なし、マクナル様を王都へ召喚し、アナスタシアを孤立させる第二の試練を仕掛けてきた。 夫が不在となる中、アナスタシアは辺境領の全ての重責を一人で背負うことになる。王都からの横暴な監査団の干渉、領地の資源を狙う裏切り者、そして辺境ならではの飢饉と疫病の発生。アナスタシアは「現代のインフラ技術」と「危機管理広報」を駆使し、夫の留守を完璧に守り抜くだけでなく、王都の監査団を論破し、辺境領の半独立的な経済圏を確立する。 第三の試練として、隣国との緊張が高まり、王国全体が未曽有の財政危機に瀕する。マクナル様は王国の窮地を救うため王都へ戻るが、保守派の貴族に阻まれ無力化される。この時、アナスタシアは辺境伯夫人として王都へ乗り込むことを決意する。彼女は前世の「国家予算の再建理論」や「国際金融の知識」を武器に、王国の経済再建計画を提案する。 最終的に、アナスタシアとマクナル様は、王国の腐敗した権力構造と対峙し、愛と知恵、そして辺境の強大な経済力を背景に、全ての敵対勢力を打ち砕く。王国の危機を救った二人は、辺境伯としての地位を王国の基盤として確立し、二人の愛の結晶と共に、永遠に続く溺愛と繁栄の歴史を築き上げる。 予定です……

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

なりゆきで妻になった割に大事にされている……と思ったら溺愛されてた

たぬきち25番
恋愛
男爵家の三女イリスに転生した七海は、貴族の夜会で相手を見つけることができずに女官になった。 女官として認められ、夜会を仕切る部署に配属された。 そして今回、既婚者しか入れない夜会の責任者を任せられた。 夜会当日、伯爵家のリカルドがどうしても公爵に会う必要があるので夜会会場に入れてほしいと懇願された。 だが、会場に入るためには結婚をしている必要があり……? ※本当に申し訳ないです、感想の返信できないかもしれません…… ※他サイト様にも掲載始めました!

【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。 辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。 夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆  異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆ 

処理中です...