【完結】私を裏切った最愛の婚約者の幸せを願って身を引く事にしました。

Rohdea

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おまけの番外編 ~僕のお父さまとお母さま

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  僕の名前は、ルベリオ・カーチェス。
  この間、5歳になったばかり。

  伯爵家の後継ぎであるお父さまとお母さまの3人で仲良く暮らしてる。

  お父さまとお母さまは、僕から見てもと~っっっっても仲が良い。
  と、いうよりも、お父さまがお母様の事をと~っっっても大好きなんだと思う。

  お仕事に向かうお父さまを、僕とお母さまは毎朝お見送りをしているのだけど、お父さまは中々仕事に行こうとしないんだ。

「レティと、ルベリオの側に居たいーー」

  って。

「それはもう知ってるから、行って来なさい!!」

  お母さまは毎朝そう言ってお父さまを追い出す。
  そう言われると、お父さまは大人しく従うんだ。
  ……嬉しそうな顔をして。
  え?  そこは喜ぶところなの?
  僕も、ついついそんな目でお父さまを見ちゃうんだけど、すると、これまたお父さまは嬉しそうな顔なるんだ。
  ちょっとだけ、お父さまの事が心配になっちゃうよ。

  そして、そんなお父さま。
  出掛けていく時は必ずお母さまと僕にハグとチュウを忘れない。
  でも、僕思うんだ。
  …………ちょっとお母さまへのチュウが長くないかなぁ?  お父さま。


  そんなある日、僕はおとなりの国に“シャロンの庭”という、とてもキレイな花が咲いているお庭の話を庭師のおじさんから聞いた。

「お母さま、おとなりの国にとてもキレイなお花が咲いているお庭があるそうです」
「そうなの?  ルベリオったらどこでそんな話を聞いたの?」
「庭師のおじさん!」

  そう答えたらお母さまはそういう事ね、と笑って納得していた。
  でも、僕がお庭の名前を口にした瞬間、お母さまの顔色が変わった。

「あのね?  そのお庭は“シャロンの庭”っていうんだって!」

  ガシャンッ

  お母さまが飲んでいたお茶のカップを落としてしまった。
  なのに拾おうとしない。どうしたのかな?

「シャロン……の庭?」
「お母さま?」
「どうして……?」

  そう呟いたお母さまの目からポロッと涙が溢れた。

「!!」

  こ、これはたいへんだ!  きんきゅうじたいだ!  どうしよう!

  (おーとーうーさーまーー!)

  心の中でお部屋で仕事をしているお父さまを呼んだその瞬間、

「レティ!!」

  なんと!  お父さまが部屋に飛び込んで来た!

「あ……アルマンド……?  ど、どうして……?」
「レティが泣いている気配がした!  それからルベリオに呼ばれた気がした!」
「え?  え?」

  お父さまの超人っぷりにお母さまは動揺していた。でも、涙はひっこんだみたい!
  やっぱり僕のお父さまはすごいや!  ヒーローだ!  カッコイイ!

「レティ……何があった?  なぜ、君のその瞳に涙が……?」
「あ、う……そ、それは……」
「レティ……」

  お父さまがお母さまにせまってる!
  お母さまはタジタジだぁ!
  でも、あー……とか、うー……しか言わないお母さまに痺れを切らしたお父さまは僕に視線を向けると力強い声で言った。

「ルベリオ!  僕の愛しの妻、レティに何があったんだ!?」




「“シャロンの庭”か……」
「私……何も知らなくて……ねぇ、アルマンド、やっぱりあの“庭”なのかしら?」
「レティ……」

  お父さまとお母さまがギュッとハグしながら、僕が説明したお庭の話をしている。
  どうやらお母さまはそのお庭のことを知っているみたいだ。
  それで、びっくりしちゃったみたい。

「……レティ。ちょっと今すぐ……は難しいけど、さ。もし、レティが……」
「行きたい!」
「うん。それはもちろん、レティの気持ちの整理がついて────え?」
「アルマンド!  私、ランドゥーニに行きたいわ!」
「レ、レティ……そ、そんな目で……うっ」

  目を丸くして驚いているお父さまに、お母さまは金色の瞳をキラキラさせながら迫っていた。


  ───僕はおとなりの国に何があるのか知らない。
  だけど、僕も行ってみたい。そのお庭が見たい!  そう思うのは何でかな?

「レティ……今すぐ行こう!  そう言いたい所だけど、今は駄目だ」
「どうして?  私なら、私の気持ちなら大丈……」
「そうじゃなーーい!  レティ、分かってる?  今は、君一人の身体じゃない!」

  お父さまはそう言ってお母さまの大きく膨らんだお腹を優しくいい子いい子した。
  そうなんだ!  もうすぐ僕には弟か妹が出来るんだって!
  僕はお兄ちゃんになるんだ!

「あ……」
「無事にこの子が産まれて、落ち着いたら皆で行こう?  そうだろう?  ルベリオ!」
「うん!  僕も行きたい!」

  僕は笑顔でそう答えた。
  お父さまとお母さまは何だか泣きそうな顔で笑ってた。


  ───そしてその日、僕は夢を見た。
  とてもキレイな花に囲まれて男の人と女の人が楽しそうに笑っている夢。
  なんでかは分からないけど、その二人を見ていたら僕も嬉しくて何だか一緒に笑いたくなった。
  ニコニコしてそんな二人を見ていたら、何かに気づいた二人がこっちを見て僕に言ったんだ。


  ─────やっと逢えたね!

  そう言われた僕の口からは自然と言葉が出てきた。

  ─────うん!  ずっと逢いたかった!

  そう答えたら、二人はとっても幸せそうに笑って手を振ってくれた───



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みんなの感想(46件)

sakikaname
2023.09.19 sakikaname
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栗栖 瀬貴哉
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ulalume
2023.04.11 ulalume
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