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閑話 ヨーゼフ&シシリー
しおりを挟む「フハッ……フハハ」
オリヴィアとカルランブル侯爵令息ヒューズ。
夫婦となった二人が出ていった後、私は笑いが止まらなかった。
「もーう、ふふふ、殿下ったら笑い過ぎですよ~。まぁ、気持ちは分かりますけど~」
「シシリー」
笑いが抑えられない私を見て、シシリーが苦笑いしながら言う。
「ハッハッハ、だって仕方ないだろう? まさか、オリヴィアの結婚相手がヒューズだとは! こんな愉快な事が起きているのに笑わずにはいられん」
「悪趣味ですね~」
「人の事言えるのか? ……それは、お互い様だろう?」
「……」
ふふふ、とシシリーは笑う。
「いいから、貴様は私の言う通りにしていればいいんだ!」
「はい、はぁ~い、分かってますよぉ~」
「……その喋り方! 二人の時はやめろと言ったはずだが?」
「あはは! そうでしたぁ~。ごめんなさぁい、ヨーゼフ様!」
「!!」
全く分かってはいないではないか!!
と、言うよりも貴様、それはわざとだろう!!
そう怒鳴りたくなる気持ちをどうにか抑える。
(今、シシリーを怒らせるのは得策ではないからな)
「まだまだ、貴様には私の役に立ってもらわねばならん」
「ふふ、ありがとうございまーす」
(本当に調子のいい女だ……)
だが、まだまだ私のこれからの為に必要な女だからな、仕方がない。目をつぶってやろう。
「ふふふ。それで? 私は次は何をすればいいのかしら?」
「そうだな……いや、少し様子を見るか」
「え~仕掛けないんですかぁ?」
シシリーはつまらなそうだ。だが、今日の事で絶対にあの男に警戒されただろうからな。
暫くの間はオリヴィアに接触を図ろうにもきっと上手くはいくまい。
「オリヴィアの結婚相手があの男意外の男だったらな。色々動いてもらう所だったんだが」
「あらあら、ふふふ。王子様なのに、とーーっても悪い顔しているわね」
「うるさい」
「まぁ、いいわ。私は楽しいもの」
シシリーがニタリとした笑みを浮かべる。
「あ、でも~そんな悠長な事をしていて、大丈夫なんですかぁ~?」
「大丈夫、とは?」
今度はニヤニヤした笑いを浮かべている。
本当にとんでもない女だな……利用価値は高いが。
「あっちは、もう夫婦なんですよ? ふ・う・ふ!」
その言い方。イラッとする。
「やたらと強調してくるな」
「だって、婚約者ではなく夫婦ですよ? つまり夜の方だって……」
バンッ
「きゃあっ!? もーう、いきなり何しているんですか! 机を叩くなんてビックリするじゃないですか!」
「貴様が余計な事を言うからだろう!」
「え~? 余計なんかじゃないですよ~、たとえ不仲でも夫婦なんだから案外、夜は……」
あぁ、本当に耳障りな事を平気で口にする女だ!!
ふざけるな!
「馬鹿め! それが無理だろうから私はこの状況を愉快だと言っているんだぞ?」
「ええ~?」
「シシリー。お前も今日のあの二人の様子を見て分かっただろう? 結婚はしたもののあれは白い結婚だ!」
私に婚約破棄を突きつけられたオリヴィアが、あんなすぐに結婚したと聞いた時は驚き焦ったものだが……
相手があの男と知って安心した。そして、無性に楽しくなった。
そうしてオリヴィアを呼び出して確認してみれば案の定……フッ。
「あの二人が上手くいく事は決して無い」
「きゃは! 断言しちゃうんですね~」
「当然だ。アレは完璧だからな」
そう口にしながら思い出す。
5年前……私はヒューズに……
「本当に純粋で馬鹿な男だったよ。余程、オリヴィアの事が好きだったのだろう。すっかりこの私に騙されてな!」
友人の振りをして近付いた。
ヒューズの恋の相談に親身に乗り応援をする振りをした。そして……
「やっぱり悪趣味ですね~」
「あぁ、あの時のヒューズの無様で憐れな姿! 今、思い出しても最高に笑えるさ」
あんなに愉快な事は今まで生きていて無かった。
どうせ、今もオリヴィアの神経を逆撫でする様な事ばかりしているに違いない。
「だからあの二人が幸せになる事は絶対にない!」
「最低王子~」
「貴様が言うな! シシリーもこの状況を楽しんでいるだろう?」
「そうですけどぉ~」
クックック、ハッハッハ!
あぁ、愉快だ! 暫くは楽しませてもらおうではないか!
そして、もちろん最後に……
全てを手に入れるのは────この私だ!!
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