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25. 不仲だと思っていた幼馴染は大好きな夫です!
しおりを挟む「オリヴィア? どうかしたか?」
「はっ! ヒューズ」
王宮からの帰りの馬車。
私は隣に座ったヒューズの横顔に見惚れていた。
「何で俺の顔をずっと見ていたんだ?」
「そ、それは……」
私は顔が赤くなり口ごもる。だって口にするのは恥ずかしい。
「オリヴィア」
「うっ! そ、その、ヒューズ……私の夫がカッコイイなぁって思って!」
「へ?」
(恥ずかしいからそんな不思議そうな顔で聞き返さないでーー!!)
だって、陛下にも臆すること無くはっきりと発言して、バカ王子に……は置いといて、魔術師さえもこちらの味方に引き入れたヒューズの姿を本当にカッコイイと思ってしまったんだもの。
「私、ヒューズの妻になれて幸せ……」
私がうっとりとそう呟くとヒューズの目の色が変わった。
「オリヴィア」
「……?」
ヒューズは無言の私の頬にそっと手を添えて自分の方に顔を向かせると、そのまま唇を重ねてくる。
「んっ…………ヒューズ……?」
「愛しいオリヴィアにそんな事を言われて大人しくなんてしていられない」
そう口にしたヒューズが私を抱き寄せる。
そして、私の首筋にチュッと吸い付く。
「え? あ、きゃっ!」
「オリヴィアが可愛すぎて屋敷に戻るのなんて待っていられないな、だから今すぐここで愛する妻を抱ー……」
「ひゃぁ! 待って待って、それは待ってーーー!?」
(さすがに馬車の中はどうかと思うのーー!)
「ん、無理」
「何でーー?」
「オリヴィアが可愛いのがいけない」
「!?」
私はどうにか必死に馬車の中ではヒューズを抑えたけれど、屋敷に戻ってから抱き潰されたのは言うまでもない。
◇◇◇◇◇
「……あぁ、オリヴィア。ヨーゼフがやらかした事の調査が終わったらしい」
「!」
ヒューズが何やら招待状のような物を手にしながら私に言った。
「それは?」
「公の場でヨーゼフの罪を公開するんだって。陛下は相当のお怒りのようだ」
「……あれでも一応、王子様だものね」
「……」
「……」
何故か最後は互いに無言になってしまった。
(あんなのが王子だなんて……)
将来の王様にならなくて良かったと心から思った。
───
そうして、私達はバカ王子の公開断罪の場へと足を踏み入れる。
キョロキョロと辺りを見回しながら私は思わず口にする。
「思っていたよりも人が多いのね」
「まぁ、ヨーゼフだしな」
それは、色々な所に恨みを買っているという意味ととってもいいものかしら?
「ヒューズが魔術師に頼んでいた事は?」
「断罪が終わってから皆の前で実行してくれるらしいよ」
「そうなのね」
あの日、ヒューズは呪いをかけてもらうと言ったものの、“なんの呪い”をかけて欲しいかは名言しなかった。
(さぞかしバカ王子は怯えているでしょうね)
彼のしてきた事を公の場に晒し、罪を受けてもらう。そして、呪い返し。
バカ王子はここまで好き勝手をして来たツケを払う時がやって来た。
「───以上の罪により、ヨーゼフ殿下は王族からは剥奪、平民となります」
その決定には、王子がどうなるのかと興味津々だった人達も驚きの声を上げた。
王族からの剥奪はあっても、平民になる事まで命じられるとは思っていなかった人が多かったみたい。
「なお、辺境伯領で生活をして行く事も決定しました」
そして、まさかの辺境送り。これにも集まったは人々はどよめいた。
「まさに、見事に自分のしてきた事が返ってきた感じなのね」
「辺境伯領の平民達は自己防衛に優れてるからね、ヨーゼフも次に隣国と小競り合いがあった時は戦場に立ってるかもしれないな」
「……真っ先に殺られそう」
「しっ!」
公の場でどんどん罪を公開されていくバカ王子は、ここまでは既にもう話を聞いていたのか取り乱すこと無く受け入れていた。
残すところは……
「最後に、ヨーゼフ殿下には魔術師の力を私的に濫用したとして罰が与えられます」
そんな罰が!? と多くの人達の視線はバカ王子に向けられる。
王子自身も何をされるのか分からず、さすがに不安な様子を見せていた。
そして、現れた魔術師キールはバカ王子に向かって何かの呪文を唱えた───
「うわぁぁぁぁ、嘘だろ!? 何でだ! 何で私がこんな目にーーー!」
呪文の完了と共にバカ王子の悲鳴が響いた。
「返せ、返してくれ!! 自慢だったんだ……!!」
突然の様子に人々は笑いを隠せない。私も思っていた以上の姿に思わず笑いが込み上げた。
「ヒューズは嫌がらせの天才ね」
「同じ男として嫌な気持ちは分かるし。何よりヨーゼフは自慢していたからな」
「そう、なのね」
ヒューズの言葉を受けて私は今も叫んでいるバカ王子の姿を見る。
「私の、私の自慢の髪がぁぁぁーー」
…………そんなバカ王子の頭はツルッツルだった。
(ヒューズが、頭をツルッツルにすると聞いた時は何で? と思ったものだけど……)
どうやら、自慢の髪の毛を失ったらしいバカ王子へのダメージは明らかに大きかった。膝から崩れたバカ王子……いえ、元王子は明らかに灰になっていた。
(これで終わり……かな?)
バカ王子の協力者となっていたシシリーさんは、バカ王子の罪をせきららに証言する事で刑務所行きは免れていた。
それでも、無罪放免というわけにもいかず、規律ギッチギチの修道院に行く事が決定した。娼館行きでも良いのでは? そんな声もあったそうだけど、彼女が数多くの男性を誑かしていた余罪が明らかになり“娼館行きは男好きだから喜ばせるだけ”と判断され、お堅い修道院行きが決定したらしい。
魔術師のキールは、ヒューズの願いを聞く事と、しばらく対価無しで陛下にこき使われる事で罪の免除となっていた。
こうして、長い長い回り道をした私とヒューズの、呪われた告白から始まった騒動は終わりを迎えようとしていた。
─────……
そして……
「お姉様、綺麗です!」
「ジュート、ありがとう」
弟のジュートが私に駆け寄ってくる。
「本当に綺麗よ、オリヴィア」
「お母様!」
「私とジュートが領地に帰っている間に婚約破棄やら新しい婚約やら結婚やらと目まぐるしいスピードで話が進んでいて本当に驚いたわ」
「ご、ごめんなさい……」
お母様がふぅ、と溜息をつきながらそんな事を言う。
「本当に父親も勝手なんだから……」
「……」
「オリヴィアのこんなに綺麗な花嫁姿見れなくて残念がっていればいいのよ!」
お母様はお父様が勝手に色々な画策をした事にご立腹で、特にバカ王子……元王子と復縁させようとして事にはたいそうお怒りだった。
今日の私の結婚式への参列も許さなかった。
「オリヴィア、幸せ?」
「ええ、とっても!」
私が満面の笑みで答えるとお母様は微笑みながら言った。
「オリヴィアは昔からヒューズが、ヒューズがって毎日煩かったものね」
「う、煩かったっ!?」
「彼の事を口にしない日は無かったじゃないの」
「……!」
それ、どこかで聞いたわ!!
(私とヒューズって似たもの同士なのかしら?)
何だかとても照れ臭い。
「オリヴィアの幸せが一番よ!」
「お母様……ありがとう!」
そんな話をした所で本日の花婿、ヒューズが顔を覗かせた。
「オリヴィア。支度は…………うわっ! か! き!」
「ヒューズ?」
ヒューズは口元を押さえながら顔を真っ赤にして妙な言葉を発した。
(ふふ、まるで呪いがぶり返したみたいに聞こえたわ)
「すまない。あまりの神々しさに言葉が……」
「大袈裟ね」
「大袈裟なものか! 俺のオリヴィアは……最高なんだ!」
「ヒューズ……」
ヒューズがウェディングドレス姿の私をそっと抱きしめる。
「綺麗だよ、世界で一番可愛い俺の奥さん」
「ふふ、ありがとう、世界で一番カッコイイ私の旦那様」
「オリヴィア……」
「知らなかった。ヒューズが結婚式の手配してくれていたなんて」
「当たり前だろ? 叶えないわけないじゃないか! オリヴィアの昔からの夢だったんだから」
その気持ちが嬉しくて嬉しくて、私はギューッと抱きついた。
「こら! オリヴィア、お腹が……」
「大丈夫よ、ヒューズは大袈裟ね」
「そうは言うが……」
結婚式の数日前に分かった事なのけれど、今、私のお腹の中にはヒューズとの赤ちゃんがいる。
すると私を溺愛する夫、ヒューズの過保護っぷりにますます磨きがかかったので、少し大変。
(季節が変わる頃には家族が増えて賑やかになるわね)
そう思うと楽しみで仕方が無い。
ちなみにお父様には会わせる予定は……無い!
「ヒューズ、大好きよ。ありがとう」
「俺も……大好きだ、オリヴィア」
私達は微笑み合うと、どちらからともなく、そっと唇を重ねる。
「……はっ! 式が始まっちゃう!」
「そうだ急ごう!」
私達はしっかり手を繋いで会場へと向かう。
──もう、絶対にこの手を離さない。私の幸せはヒューズと共に生きる事だから。
こうして、不仲(だと思ってた)幼馴染が、夫になった私は誰よりも誰よりも幸せになりました!
~完~
✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼✼
これで完結です。
ありがとうございました!
無事に最後までお届けする事が出来ました。
また、返信に力尽きてますが……沢山の感想コメントもありがとうございます!
最近は本当にダメダメですね……申し訳ございません。
最後までお付き合い下さり本当にありがとうございます。
呪いに翻弄された二人の物語となりました。
だけど、途中で気付いたのですが、前にもこんな呪いにかかったヒーローの話を書いたなぁ……と。(自称“ヒロイン”の妹~)
まぁ、あっちは異世界転生要素があったし、いっか~って事で……お許しを!
何であれ最後までお読み下さりありがとうございました!
呪いの解呪をあの形にしたのは夫婦ならでは……ですね。
婚約者同士の話では出来ません。
あと、バカ王子のお仕置はどっかの精霊さん達の力を魔術師に使わせました 笑
この先の二人はこれまでの分(新しい家族も迎えて)幸せに暮らしていくでしょう!
次の話も始めてます!
『目が覚めて前世を思い出したら、ざまぁされた処刑寸前の悪役王女でした』
タイトルそのまんまのお話。
また、お付き合い頂けたら嬉しいです。
本当にありがとうございました!!
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