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第一部:第六章 後始末と始まり
(四)幼馴染②
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ラーソルバールの父と、アルディス・フォンドラークの父は騎士団の同期であり、住まいも近かったため、子供同士も一緒に育った。
エフィアナも、フォンドラーク家に仕える一家の長女として、一緒に育った。
三人は幼馴染というよりは、言わば兄妹のような間柄であった。
ラーソルバールの父が病を発し、その後に城勤めの為に転居するまで、家族ぐるみで良い付き合いをしていた。
転居後にも、幼年学校では時折顔を合わせており、今でも冗談を言い合える仲になっている。
「合同演習、ラーソルは何班?」
「予定だと二班」
「そうか、それじゃあエフィアナの班か」
事前通達された内容では、二年生から二つ、一年生からは一つのクラスが参加し、一班から三班、四班から六班で敵味方に別れて部隊戦闘を行うことになっていた。
演習は武装をして、本陣に立てた旗を奪い合うもので、体の数ヵ所に付けられた塗料袋を破られたら、死亡扱いとなる。
弓の使用も可能で、矢の先端にも塗料が付いており、命中時の場所によっては、同じように死亡扱いと決められていた。
アルディス、シェラ、フォルテシアらは、四班に割り当てられていたため、ラーソルバールとは敵対する形になった。
演習自体は、一年生を新兵と見立てて、どのような戦略を立てるのかという、二年生主体のものとなっている。
演習場には小川や森、岩場などがあり、それを戦術に有効活用する事が求められる。
旗が奪われた時点で敗北となるが、制限時間の経過時点の状況や、中途であっても部隊の損害状況によって、勝敗が判定される。
あとからやって来た講師の指示に従い、全員がそれぞれの陣に移動する。
指揮官は各陣営三名ずつ。各班の班長が務めることになっていた。
エフィアナは副班長として、作戦会議に出席していたが、早々に決議したとのことで、すぐに戻ってきた。
「一班が本陣を防御、三班を進軍させる振りをして、この二隊で敵を引き付ける。二班は状況に応じて敵陣に攻めるか、半分に割って両班の支援に回る。追って指示するので、各自支度をせよ」
班長、副班長ともに、くじ引きで決まったらしいが、エフィアナの堂に入った振る舞いは、まさに適任と言って良かった。
彼女は自らの班員二十名の顔と名前を確認し、皆に青い腕章を配った。
この腕章は、陣営の判別が出来るように着用するもので、もう一方の陣営は赤とだと知らされた。
「結果はうちの班の出来次第になるよ。楽しいでしょ」
エフィアナは笑顔で、ラーソルバールの肩をポンと叩くと、周囲を見渡した。
「エフィ姉…、いえ、副班長殿は責任重大ですね」
「なぁに、私は管理だけで、あとは班長様にお任せだよ」
二人は顔を見合わせて笑った。
「アル兄は?」
「見事に班長を引き当てた。敵に回すと厄介だよ」
苦笑しながらも、エフィアナの顔はどこか嬉しそうに見えた。
「我々二班は、二年生は前衛、一年生は後衛となる。各人名簿順に従い整列せよ」
班長が指示を出す。
二年生は即座に対応するが、一年生は慣れていないためか、慌てたように個々別々に動きながら、何とか列を作ることができた。
「間もなく開始時刻となる! 合図の狼煙が上がったら、各班は班長の指示に従い、行動を開始せよ!」
総指揮を執る一斑の班長の声が響く。
呼応するように、軍靴を鳴らして全員が一斉に敬礼をした。
エフィアナも、フォンドラーク家に仕える一家の長女として、一緒に育った。
三人は幼馴染というよりは、言わば兄妹のような間柄であった。
ラーソルバールの父が病を発し、その後に城勤めの為に転居するまで、家族ぐるみで良い付き合いをしていた。
転居後にも、幼年学校では時折顔を合わせており、今でも冗談を言い合える仲になっている。
「合同演習、ラーソルは何班?」
「予定だと二班」
「そうか、それじゃあエフィアナの班か」
事前通達された内容では、二年生から二つ、一年生からは一つのクラスが参加し、一班から三班、四班から六班で敵味方に別れて部隊戦闘を行うことになっていた。
演習は武装をして、本陣に立てた旗を奪い合うもので、体の数ヵ所に付けられた塗料袋を破られたら、死亡扱いとなる。
弓の使用も可能で、矢の先端にも塗料が付いており、命中時の場所によっては、同じように死亡扱いと決められていた。
アルディス、シェラ、フォルテシアらは、四班に割り当てられていたため、ラーソルバールとは敵対する形になった。
演習自体は、一年生を新兵と見立てて、どのような戦略を立てるのかという、二年生主体のものとなっている。
演習場には小川や森、岩場などがあり、それを戦術に有効活用する事が求められる。
旗が奪われた時点で敗北となるが、制限時間の経過時点の状況や、中途であっても部隊の損害状況によって、勝敗が判定される。
あとからやって来た講師の指示に従い、全員がそれぞれの陣に移動する。
指揮官は各陣営三名ずつ。各班の班長が務めることになっていた。
エフィアナは副班長として、作戦会議に出席していたが、早々に決議したとのことで、すぐに戻ってきた。
「一班が本陣を防御、三班を進軍させる振りをして、この二隊で敵を引き付ける。二班は状況に応じて敵陣に攻めるか、半分に割って両班の支援に回る。追って指示するので、各自支度をせよ」
班長、副班長ともに、くじ引きで決まったらしいが、エフィアナの堂に入った振る舞いは、まさに適任と言って良かった。
彼女は自らの班員二十名の顔と名前を確認し、皆に青い腕章を配った。
この腕章は、陣営の判別が出来るように着用するもので、もう一方の陣営は赤とだと知らされた。
「結果はうちの班の出来次第になるよ。楽しいでしょ」
エフィアナは笑顔で、ラーソルバールの肩をポンと叩くと、周囲を見渡した。
「エフィ姉…、いえ、副班長殿は責任重大ですね」
「なぁに、私は管理だけで、あとは班長様にお任せだよ」
二人は顔を見合わせて笑った。
「アル兄は?」
「見事に班長を引き当てた。敵に回すと厄介だよ」
苦笑しながらも、エフィアナの顔はどこか嬉しそうに見えた。
「我々二班は、二年生は前衛、一年生は後衛となる。各人名簿順に従い整列せよ」
班長が指示を出す。
二年生は即座に対応するが、一年生は慣れていないためか、慌てたように個々別々に動きながら、何とか列を作ることができた。
「間もなく開始時刻となる! 合図の狼煙が上がったら、各班は班長の指示に従い、行動を開始せよ!」
総指揮を執る一斑の班長の声が響く。
呼応するように、軍靴を鳴らして全員が一斉に敬礼をした。
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