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第二部:第十九章 シルネラ共和国へ
(二)ラモサの夜②
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男はギルモッサと名乗り、「縁が有ればまた会うだろう、俺が生きていたらな」と付け加えて、ラーソルバールとエラゼルに仲間の待つ席へ戻るよう促した。
エラゼルにしてみれば姉を暗殺しようとした相手だが、不思議と憎しみは無かった。男のサバサバした態度に、毒気を抜かれたのかもしれない。
席に戻ってきた二人を仲間は不思議そうな顔で迎えた。王都から遠く離れたこの地で
「お知り合い?」
椅子に座ろうとするラーソルバールにシェラが問いかけた。
「うん、前にちょっとだけ」
ラーソルバールが語尾を濁した事を、シェラは気にしなかった。聞くべきではないと察したのかもしれない。
「そうそう、聞いたことも無い料理がいっぱい有るよ!」
嬉しそうに言うシェラに笑顔を向けると、ラーソルバールは隻腕の男に視線をやる。男は満足そうに食事を平らげたところで同じように二人を見たあと、勘定を済ませ出ていった。
また会うかもしれない、何だかそんな予感がした。
食事が運ばれてくると、一同は食事をしながら会話を弾ませた。
饒舌ではないが、エラゼルも会話に加わっている。寮の食堂でもエラゼルとは良く会話をしているが、デラネトゥス家のような良家でも食事をしながらの会話は可能なのだろうか、と野暮な事を考える。ラーソルバールは貴族の良家は、黙って静かに食事をするものだと勝手に想像していた。
もちろんそこに「良家」ではないミルエルシ家は含まれない。
「それで、行程としては、シルネラ入りは明後日か?」
余計な事を考えていたら、急に話を振られたので、ラーソルバールは少々慌てた。
「え、ああ…ええと、明日はフィラードで宿泊して、明後日の夕方にはシルネラに入る予定になってる」
「フィラードって、何か名物有るの?」
半ば旅行気分で居るシェラ。理由はどうあれ、長期で旅に出る機会などなかなか無いので致し方ない。
「その前に、馬車酔いをどうにかしないといけない……」
「あぅ……」
珍しくフォルテシアが皮肉を言うので、シェラは対応に窮した。そのやり取りが面白かったようで、ディナレスは横を向き声を圧し殺して笑い始める。
道中で不調を訴える度に癒して貰っていただけに、シェラとしては何も言えない。赤くなって困り果てる姿が全員の笑いを誘った。
しばらくの間、初めて食べる料理を味わいつつ、楽しい会話を弾ませる。
料理は内陸地だけあって、野菜や鳥等の家畜が主体となっている。魚料理がほぼ無いのは、川が温泉の影響を受けて殆ど捕れない事が原因らしい。
真似が出来そうな料理が有ったら覚えて置こうと、誰かが言い出したので、色々注文して食べながらあれこれ考え、調理方法について考え合う。
「夜営も有るから、出来そうな物を優先的に」とのフォルテシアの提案で、いくつかの料理を後で真似できるよう、メモをとる。研究と称して注文した沢山の料理も、最終的には若者の胃袋に全て収まった。
「さあ、宿に帰ろう」
満腹になった一行は、勘定を済ませると、温泉を楽しみに夜道を歩く。この頃にはディナレスとモルアールも、打ち解け屈託の無い笑顔を見せていた。
エラゼルにしてみれば姉を暗殺しようとした相手だが、不思議と憎しみは無かった。男のサバサバした態度に、毒気を抜かれたのかもしれない。
席に戻ってきた二人を仲間は不思議そうな顔で迎えた。王都から遠く離れたこの地で
「お知り合い?」
椅子に座ろうとするラーソルバールにシェラが問いかけた。
「うん、前にちょっとだけ」
ラーソルバールが語尾を濁した事を、シェラは気にしなかった。聞くべきではないと察したのかもしれない。
「そうそう、聞いたことも無い料理がいっぱい有るよ!」
嬉しそうに言うシェラに笑顔を向けると、ラーソルバールは隻腕の男に視線をやる。男は満足そうに食事を平らげたところで同じように二人を見たあと、勘定を済ませ出ていった。
また会うかもしれない、何だかそんな予感がした。
食事が運ばれてくると、一同は食事をしながら会話を弾ませた。
饒舌ではないが、エラゼルも会話に加わっている。寮の食堂でもエラゼルとは良く会話をしているが、デラネトゥス家のような良家でも食事をしながらの会話は可能なのだろうか、と野暮な事を考える。ラーソルバールは貴族の良家は、黙って静かに食事をするものだと勝手に想像していた。
もちろんそこに「良家」ではないミルエルシ家は含まれない。
「それで、行程としては、シルネラ入りは明後日か?」
余計な事を考えていたら、急に話を振られたので、ラーソルバールは少々慌てた。
「え、ああ…ええと、明日はフィラードで宿泊して、明後日の夕方にはシルネラに入る予定になってる」
「フィラードって、何か名物有るの?」
半ば旅行気分で居るシェラ。理由はどうあれ、長期で旅に出る機会などなかなか無いので致し方ない。
「その前に、馬車酔いをどうにかしないといけない……」
「あぅ……」
珍しくフォルテシアが皮肉を言うので、シェラは対応に窮した。そのやり取りが面白かったようで、ディナレスは横を向き声を圧し殺して笑い始める。
道中で不調を訴える度に癒して貰っていただけに、シェラとしては何も言えない。赤くなって困り果てる姿が全員の笑いを誘った。
しばらくの間、初めて食べる料理を味わいつつ、楽しい会話を弾ませる。
料理は内陸地だけあって、野菜や鳥等の家畜が主体となっている。魚料理がほぼ無いのは、川が温泉の影響を受けて殆ど捕れない事が原因らしい。
真似が出来そうな料理が有ったら覚えて置こうと、誰かが言い出したので、色々注文して食べながらあれこれ考え、調理方法について考え合う。
「夜営も有るから、出来そうな物を優先的に」とのフォルテシアの提案で、いくつかの料理を後で真似できるよう、メモをとる。研究と称して注文した沢山の料理も、最終的には若者の胃袋に全て収まった。
「さあ、宿に帰ろう」
満腹になった一行は、勘定を済ませると、温泉を楽しみに夜道を歩く。この頃にはディナレスとモルアールも、打ち解け屈託の無い笑顔を見せていた。
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