婚約者はやさぐれ王子でした

ダイナイ

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本編

6話 レオン・クライトン

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 クライトン王国の王都。
 私は、血まみれになったドレスから着替えを済ませて、馬車から降りた。

「遅かったな」

「シルヴィアお姉様、道にでも迷ったのですか?」

 既に王都に到着していたお父様とセレナから、遅かった嫌味いやみを言われました。

「申し訳ございません、お父様。少し道中で手間取ってしまいまして......」

「まぁ、良い。私とセレナは別件があるから、シルヴィアは一人でレオン王子殿下と会って来なさい」

「はい、お父様」

 それだけ言うとお父様たちは、また馬車へと乗り込んで王都の内部へと進んで行きました。
 私とレオン王子殿下の婚約のために、王都に来たのではなかったのですか。
 そう思ったけれど、口にすることはしませんでした。

「シルヴィアお嬢様、案内をしますので馬車にお乗り下さい」

「分かりましたわ」

 お父様とセレナは、すでにどこかへと行ってしまい、残されたのは私と従者と護衛の兵士だけです。

 私は、従者に言われるがままに馬車へと乗り込みました。
 馬車は、お父様たちとは別の方向へと行き、王都の内部ではなくて外れへと向かっているようです。

 レオン王子殿下は、こんな外れにいるのですか?
 こんな所には王宮も、王城もありませんよ......。
 建物もどんどん少なくなって行き、周囲には木が多くなって来ました。

 そんなことを考えていると、馬車は進むを辞めました。
 どうやら、目的地へとついたみたいです。
 目的地は、王都の外れにポツンと立っているあまり大きくはない屋敷でした。

 私は、従者の手を取って足元に気を付けながら馬車から降りました。

「ようこそアーヴァイン公爵令嬢、シルヴィア様。お待ちしておりました」

 屋敷前には、一人の執事が立っていて私を見ると話しかけて来ました。

「まぁ、丁寧にありがとう。今日はよろしくですわ」

「案内をします。どうぞこちらに」

 護衛の兵士と従者はその場に残り、私一人で案内の執事について行くことになりました。
 美しく整えられた庭を通り、屋敷へと案内された。
 そして、屋敷の廊下を通ってとある部屋の前まで、歩いて行きました。

「レオン様、アーヴァイン公爵令嬢のシルヴィア様をお連れしました」

 どうやらここは、レオン王子殿下が待つ場所のようです。
 部屋の中からは特に返事はなく、案内の執事は扉を開ける。

「レオン王子殿下、アーヴァイン公爵家のシルヴィアでございます。今回は、婚約の取り決めの件で来ました」

 私は、マナーを守ってあいさつをしました。
 頭を上げると、部屋には二人の男性がいました。

「これはこれはシルヴィア様、ようこそ起こし下さいました。私は、国王陛下代理の者です」

 体のふくよかな男性は、国王陛下の代理の人らしい。
 第二王子とはいえ、仮にも王子の婚約なのに国王陛下は来ないのですね。

 私は、もう一人の男性へと視線を向けた。
 紺色の髪に整った顔立ち、うわさではよく知っている人物。
 やさぐれ王子のレオン王子殿下、一体どのような方なのでしょうか。

「やぁ、よく来てくれた。アーヴァイン公爵令嬢のシルヴィア、いや、私の婚約者シルヴィアよ。俺がクライトン王国第二王子のレオン・クライトンだ」

 ......。
 ......え?

 私は驚きのあまり、口をポカンと開けて固まってしまいました。
 これがやさぐれ王子!?
 あまりにも想像と違い過ぎて、驚きを通り越して、固まってしまいました。

「レオン王子、シルヴィア様は緊張されている様子です」

「ああ、それは済まないね。では、先に婚約の件について決めてしまおうか」

「あ、すみませんレオン王子殿下......」

「シルヴィア公爵令嬢、敬称は必要ないよ。俺たちはこれからは、婚約者となるのだからね」

 驚いているうちに、私とレオン王子殿下の婚約の手続きは完了しました。
 これで、私とレオン王子殿下は婚約者となったのです。

「これで、アーヴァイン公爵令嬢シルヴィア様とクライトン王国第二王子のレオン王子殿下の婚約は完了しました。これからはお二人は、婚約者同士として扱われます」

 国王陛下代理の人が、書類を出して私とレオン王子殿下はサインを書き終えました。
 二つの書類を、クライトン王家とアーヴァイン公爵家にわけて保管することになります。

「本来であれば、国王陛下が来るべきなのですが、多忙なので来られず申し訳ないです」

「い、いえ、とんでもありませんわ」

 国王陛下代理の人は、謝罪をしてくる。

「これからは宜しく頼むよ、シルヴィア」

「え、ええ。レオンさ、ま?」

 レオン王子殿下は、私に微笑ほほえみながらそう言って来ました。
 どこか違和感いわかんを覚えながらも、こうして私たちは婚約者となったのです。

 私は、うわさと人物のレオン王子殿下の違いに困惑しながら、アーヴァイン公爵領へと戻って行きました——。
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