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本編
7話 考えるシルヴィア
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クライトン王国の王都から、アーヴァイン公爵領にある屋敷に帰って来た。
王都での私とレオン王子殿下の婚約は、無事に終わり私たちは婚約者となったのだった。
なったのだった......けれど私は、前のような嫌な気持ちではありません。
あれから、実物のレオン王子殿下を見てからというもの、何だかよく分からない気持ちになります。
「どっちが本当のレオン王子殿下なの......?」
何が本当で、何が違うのでしょうか。
そもそも、私が見たのは本当にレオン王子殿下だったのでしょうか。
あれが別人だと言われても、素直に信じてしまう気がします。
「うわさのやさぐれ王子は、人との関わりを拒絶して、冷酷な人だと言われています」
隣国の、レオン王子殿下に気がある貴族に冷たい態度を取って、「このやさぐれ王子がっ!」と言われるほどだと......。
現にクライトン王国で、うわさされているやさぐれ王子のレオン王子殿下も、このような性格の持ち主だと言われています。
「だけど実際のレオン王子殿下は、とてもそうは見えませんでしたわ。少なくとも、うわさのようなやさぐれ王子なんかではありませんでした」
実際のレオン王子殿下は、私に対しても微笑みながら声をかけてくれました。
私が緊張していると見ると、それに合わせた対応をしてくれて、とても冷酷な人物には見えませんでした。
むしろ、やさぐれ王子などとは程遠い存在であると言えます。
「一体、どういうことなのでしょうか......」
私は、自室のベッドに横たわりゴロゴロと転がりながら考えました。
私以外には誰もいない室内で、独り言を呟きながらレオン王子殿下のことを考えます。
「うーん、考えても分からないことは、考えてもしかたありませんわ」
いくら一人で考えても、結局レオン王子殿下のことは分かりませんでした。
私は、余計に混乱するのを避けるために、考えるのを放棄することにしました。
それに、ちょうどお昼の時間です。
◇
アーヴァイン公爵家にある食堂。
いつものように、私とセレナとお父様がいます。
机には、また大量の荷物が置かれています。
「セレナ、国内外の親交ある貴族から婚約祝いの品々が届いたよ」
「わぁ、こんなにたくさんあるのですわね」
セレナは、目を輝かせてはしゃいでいます。
「婚約、ですか?」
私は、知らないふりをして聞いてみました。
「シルヴィアお姉様、私婚約しましたのよ!」
「へ、へぇ。そうなのね」
「しかも相手はあのケヴィン王太子殿下ですわ」
もちろん、妹が婚約をしていることも、相手がケヴィン王太子殿下なのも知っています。
「そうだったな、シルヴィアには言っていなかったな。その件もあって、王都では別行動となったのだ」
「そうだったのですね」
「それよりも、お前はうまくいったのか? レオン王子殿下と会えたのか」
「問題ありませんわ、お父様。レオン王子殿下との婚約も無事にすることが出来ました」
「それなら良いんだ」
お父様は、それ以上何かを言ってくることはありませんでした。
「シルヴィアお姉様、レオン王子殿下ってどんな方でしたの?」
「レオン王子殿下はあれよあれ......そんなことよりも、セレナこそどうだったの?」
妹は、レオン王子殿下がやさぐれ王子なのを知って聞いて来た。
レオン王子殿下が、どれだけ酷かったのかを聞きたいのだろうけど、私は言葉を濁しました。
そして、誤魔化すようにうまくセレナに質問を返したのです。
「そんなに聞きたいのですか? 私とケヴィン王太子殿下のことを」
「え、ええ。私は聞きたいわ」
妹は嬉しそうに語り始めた。
「ケヴィン王太子殿下は、その......少しだけふくよかな方ですけど、とても良い方でしたわ」
そう言って、とあるものを見せて来ました。
「これを見てくださいお姉様! ケヴィン王太子殿下ったら、この宝石をくださいましたの——」
そんなセレナの自慢話を聞きながら、お昼ご飯を食べ進めました。
ケヴィン王太子殿下からもらった、宝石のことや国王陛下からも祝福してもらったことなどを話してくれました。
妹の話に疲れを感じて来た私は、机と積まれた荷物へと視線を向ける。
どうせまた、この大量の荷物の中に私宛のものはないのでしょうね......。
「あっー、お姉様! 今回はあげませんからね。全て私のものですわ!」
「ええ、分かっていますよセレナ」
私は、笑いながらそう言った。
いつもの荷物とは違って、今回はセレナ宛に国内外の貴族たちから渡されたものです。
仕方ないことなのです。
「あれ? シルヴィアお姉様宛に届いていますわよ?」
「えっ?」
私は、妹から荷物を受け取って確認してみる。
すると、そこには確かにシルヴィア・アーヴァイン公爵令嬢宛と書かれていました。
私は、滅多に届かない自分宛の荷物に胸が高鳴るのを感じました。
「あ、これはお母様の実家からですわね」
ガタン、とお父様が机から立ち上がりました。
「いや、失礼。私は用事を思い出したので、食事は後で食べることにする」
そう言って、お父様は食堂から出て行ってしまいました。
残された私と妹は、二人で食事を食べながら会話を続けました——。
王都での私とレオン王子殿下の婚約は、無事に終わり私たちは婚約者となったのだった。
なったのだった......けれど私は、前のような嫌な気持ちではありません。
あれから、実物のレオン王子殿下を見てからというもの、何だかよく分からない気持ちになります。
「どっちが本当のレオン王子殿下なの......?」
何が本当で、何が違うのでしょうか。
そもそも、私が見たのは本当にレオン王子殿下だったのでしょうか。
あれが別人だと言われても、素直に信じてしまう気がします。
「うわさのやさぐれ王子は、人との関わりを拒絶して、冷酷な人だと言われています」
隣国の、レオン王子殿下に気がある貴族に冷たい態度を取って、「このやさぐれ王子がっ!」と言われるほどだと......。
現にクライトン王国で、うわさされているやさぐれ王子のレオン王子殿下も、このような性格の持ち主だと言われています。
「だけど実際のレオン王子殿下は、とてもそうは見えませんでしたわ。少なくとも、うわさのようなやさぐれ王子なんかではありませんでした」
実際のレオン王子殿下は、私に対しても微笑みながら声をかけてくれました。
私が緊張していると見ると、それに合わせた対応をしてくれて、とても冷酷な人物には見えませんでした。
むしろ、やさぐれ王子などとは程遠い存在であると言えます。
「一体、どういうことなのでしょうか......」
私は、自室のベッドに横たわりゴロゴロと転がりながら考えました。
私以外には誰もいない室内で、独り言を呟きながらレオン王子殿下のことを考えます。
「うーん、考えても分からないことは、考えてもしかたありませんわ」
いくら一人で考えても、結局レオン王子殿下のことは分かりませんでした。
私は、余計に混乱するのを避けるために、考えるのを放棄することにしました。
それに、ちょうどお昼の時間です。
◇
アーヴァイン公爵家にある食堂。
いつものように、私とセレナとお父様がいます。
机には、また大量の荷物が置かれています。
「セレナ、国内外の親交ある貴族から婚約祝いの品々が届いたよ」
「わぁ、こんなにたくさんあるのですわね」
セレナは、目を輝かせてはしゃいでいます。
「婚約、ですか?」
私は、知らないふりをして聞いてみました。
「シルヴィアお姉様、私婚約しましたのよ!」
「へ、へぇ。そうなのね」
「しかも相手はあのケヴィン王太子殿下ですわ」
もちろん、妹が婚約をしていることも、相手がケヴィン王太子殿下なのも知っています。
「そうだったな、シルヴィアには言っていなかったな。その件もあって、王都では別行動となったのだ」
「そうだったのですね」
「それよりも、お前はうまくいったのか? レオン王子殿下と会えたのか」
「問題ありませんわ、お父様。レオン王子殿下との婚約も無事にすることが出来ました」
「それなら良いんだ」
お父様は、それ以上何かを言ってくることはありませんでした。
「シルヴィアお姉様、レオン王子殿下ってどんな方でしたの?」
「レオン王子殿下はあれよあれ......そんなことよりも、セレナこそどうだったの?」
妹は、レオン王子殿下がやさぐれ王子なのを知って聞いて来た。
レオン王子殿下が、どれだけ酷かったのかを聞きたいのだろうけど、私は言葉を濁しました。
そして、誤魔化すようにうまくセレナに質問を返したのです。
「そんなに聞きたいのですか? 私とケヴィン王太子殿下のことを」
「え、ええ。私は聞きたいわ」
妹は嬉しそうに語り始めた。
「ケヴィン王太子殿下は、その......少しだけふくよかな方ですけど、とても良い方でしたわ」
そう言って、とあるものを見せて来ました。
「これを見てくださいお姉様! ケヴィン王太子殿下ったら、この宝石をくださいましたの——」
そんなセレナの自慢話を聞きながら、お昼ご飯を食べ進めました。
ケヴィン王太子殿下からもらった、宝石のことや国王陛下からも祝福してもらったことなどを話してくれました。
妹の話に疲れを感じて来た私は、机と積まれた荷物へと視線を向ける。
どうせまた、この大量の荷物の中に私宛のものはないのでしょうね......。
「あっー、お姉様! 今回はあげませんからね。全て私のものですわ!」
「ええ、分かっていますよセレナ」
私は、笑いながらそう言った。
いつもの荷物とは違って、今回はセレナ宛に国内外の貴族たちから渡されたものです。
仕方ないことなのです。
「あれ? シルヴィアお姉様宛に届いていますわよ?」
「えっ?」
私は、妹から荷物を受け取って確認してみる。
すると、そこには確かにシルヴィア・アーヴァイン公爵令嬢宛と書かれていました。
私は、滅多に届かない自分宛の荷物に胸が高鳴るのを感じました。
「あ、これはお母様の実家からですわね」
ガタン、とお父様が机から立ち上がりました。
「いや、失礼。私は用事を思い出したので、食事は後で食べることにする」
そう言って、お父様は食堂から出て行ってしまいました。
残された私と妹は、二人で食事を食べながら会話を続けました——。
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