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本編
16話 思い出の味
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屋敷の厨房。
「やっと出来ましたわ」
「おめでとうございます、シルヴィア様」
「ここまで来れたのは、セバスチャンのおかげですわ」
「いえいえ、シルヴィア様の努力あってこそのものでございます。私が出来たのは、ほんの少しだけのサポートに過ぎません」
私は、セバスチャンからレオン様もつくったことのあるおにぎりのつくり方を教えてもらっていました。
最初につくった時から、何度も改良を続けていました。
私が、どれ程のものをつくれるようになったかと言うと。
「やっとおにぎりが丸く握れるようになりましたわ」
あれから、何度も何度もおにぎりを握り続けていました。
しかし何度握っても、ボコボコとしたいびつな形にしかならなかったのです。
それがようやく、いびつな形のおにぎりを卒業して、丸く美しいものが作れるようになりました。
「これで私から教えられることはございません。シルヴィア様のつくったそれは、まさしくおにぎりと呼んでもいいものでございます」
「ありがとう、セバスチャン。あなたのおかげで、おにぎりを完成させることが出来ましたわ」
こうして、数日間練習をしていたおにぎりを完成させることが出来ました。
セバスチャンからも、合格をもらうことが出来たので、どこに出しても恥ずかしくはないはずです。
後は、レオン王子殿下に持って行くだけです。
少しでも喜んでもらえると良いのですが。
◇
レオン王子殿下の部屋の前。
セバスチャンから、この時間にレオン王子殿下が室内にいるのは確認済みです。
私は、緊張しながら扉を叩いた。
コンコンコン
「セバスか? 昼は食堂で食べると言っておいただろう」
「その......レオン様、シルヴィアです」
はぁ、と小さなため息が聞こえて来た。
ため息の理由は、セバスチャンと勘違いしたからなのか、私が来たからなのかは分かりません。
ここで落ち込んでいてはいけません。
こうなることは、事前に分かっていたはずです。
私は、自分に対して慰めるように頭の中で考える。
少しだけ間が空いてから、声が聞こえて来た。
「部屋は開いているぞ」
私は、扉を開けて部屋の中へと入った。
「失礼しますわ、レオン様」
「それで、一体どんな用だと言うのだ? よっぽどの何かがあるのだろうな」
レオン王子殿下は、私の訪問を歓迎してはいない様子です。
私は、お皿に乗せて持って来たおにぎりを見せました。
すると、レオン王子殿下は目を大きく見開いた。
「セバスの仕業か......」
また小さくため息をついた。
椅子に腰をかけたまま、手のひらで顔を覆いながら言った。
「シルヴィア公爵令嬢、前回俺が言ったことを忘れたのか?」
「いいえ、覚えていますわレオン様」
レオン王子殿下は、前回のように大声で怒鳴ることはありませんでした。
だけど静かであるけれど、怒っているのは伝わって来ます。
「ならそれは何だ?」
「おにぎりですわ」
「そんなことは知っている。なぜ、そんなものを持って来たのかと聞いている」
「私のつくった、このおにぎりをレオン様に食べてもらいたくて持って来たのですわ」
レオン王子殿下は、おにぎりを指差しながら言ってきました。
それに対して私は、つくったものを食べて欲しいことを伝えます。
「何か食べて欲しい、と言うのなら前回のプリンだけでいいだろう」
「え、食べてくれましたの?」
前回は、プリンを部屋において帰りましたけど、まさか食べていてくれたとは。
レオン王子殿下は、私の問いには答えてはくれない様子です。
「とにかく、二度と来るな。そして俺に構うな、何度言えば分かるのだ」
「嫌ですわレオン様。私たちは婚約者です、何度だって諦めずに来ますわ」
私は、ここで引くわけには行きません。
例え、レオン王子殿下を怒らせることになってしまったとしても。
なんとしてでも、私のつくった料理をレオン王子殿下に、食べてもらう必要があるのです。
「はぁ......その目は諦めないと言った様子だな」
「はい」
「今回だけは許してやる、だからさっさと部屋から出て行け」
私は、お皿を持ったまま部屋から出て行こうとした。
すると、背後から声をかけられる。
一体、何だと言うのでしょうか。
「待て、その皿は置いて行け。つくられたものに罪はない。食べ物をゴミとして捨てるわけにはいかない」
「は、はいっ! ぜひ食べてください!」
「良いからさっさと行け」
レオン王子殿下は、あきれた顔をしながら出て行けと言ってきます。
私は、嬉しい気持ちを抑えながら部屋から出て行きました。
◇
シルヴィアが出て行った後の、レオン王子の部屋。
そこには、先程持って来たばかりのおにぎりがおかれている。
レオン王子は、おにぎりを手に取って口へと運ぶ。
「しょっぱい......」
静かに、もぐもぐと食べる。
「セバスやサラのつくったおにぎりの方が美味しい」
皿にあった、もう一つのおにぎりを手に取った。
「だけど......」
レオン王子は、それ以上は口に出すことはなく、静かにおにぎりを食べ続けた——。
「やっと出来ましたわ」
「おめでとうございます、シルヴィア様」
「ここまで来れたのは、セバスチャンのおかげですわ」
「いえいえ、シルヴィア様の努力あってこそのものでございます。私が出来たのは、ほんの少しだけのサポートに過ぎません」
私は、セバスチャンからレオン様もつくったことのあるおにぎりのつくり方を教えてもらっていました。
最初につくった時から、何度も改良を続けていました。
私が、どれ程のものをつくれるようになったかと言うと。
「やっとおにぎりが丸く握れるようになりましたわ」
あれから、何度も何度もおにぎりを握り続けていました。
しかし何度握っても、ボコボコとしたいびつな形にしかならなかったのです。
それがようやく、いびつな形のおにぎりを卒業して、丸く美しいものが作れるようになりました。
「これで私から教えられることはございません。シルヴィア様のつくったそれは、まさしくおにぎりと呼んでもいいものでございます」
「ありがとう、セバスチャン。あなたのおかげで、おにぎりを完成させることが出来ましたわ」
こうして、数日間練習をしていたおにぎりを完成させることが出来ました。
セバスチャンからも、合格をもらうことが出来たので、どこに出しても恥ずかしくはないはずです。
後は、レオン王子殿下に持って行くだけです。
少しでも喜んでもらえると良いのですが。
◇
レオン王子殿下の部屋の前。
セバスチャンから、この時間にレオン王子殿下が室内にいるのは確認済みです。
私は、緊張しながら扉を叩いた。
コンコンコン
「セバスか? 昼は食堂で食べると言っておいただろう」
「その......レオン様、シルヴィアです」
はぁ、と小さなため息が聞こえて来た。
ため息の理由は、セバスチャンと勘違いしたからなのか、私が来たからなのかは分かりません。
ここで落ち込んでいてはいけません。
こうなることは、事前に分かっていたはずです。
私は、自分に対して慰めるように頭の中で考える。
少しだけ間が空いてから、声が聞こえて来た。
「部屋は開いているぞ」
私は、扉を開けて部屋の中へと入った。
「失礼しますわ、レオン様」
「それで、一体どんな用だと言うのだ? よっぽどの何かがあるのだろうな」
レオン王子殿下は、私の訪問を歓迎してはいない様子です。
私は、お皿に乗せて持って来たおにぎりを見せました。
すると、レオン王子殿下は目を大きく見開いた。
「セバスの仕業か......」
また小さくため息をついた。
椅子に腰をかけたまま、手のひらで顔を覆いながら言った。
「シルヴィア公爵令嬢、前回俺が言ったことを忘れたのか?」
「いいえ、覚えていますわレオン様」
レオン王子殿下は、前回のように大声で怒鳴ることはありませんでした。
だけど静かであるけれど、怒っているのは伝わって来ます。
「ならそれは何だ?」
「おにぎりですわ」
「そんなことは知っている。なぜ、そんなものを持って来たのかと聞いている」
「私のつくった、このおにぎりをレオン様に食べてもらいたくて持って来たのですわ」
レオン王子殿下は、おにぎりを指差しながら言ってきました。
それに対して私は、つくったものを食べて欲しいことを伝えます。
「何か食べて欲しい、と言うのなら前回のプリンだけでいいだろう」
「え、食べてくれましたの?」
前回は、プリンを部屋において帰りましたけど、まさか食べていてくれたとは。
レオン王子殿下は、私の問いには答えてはくれない様子です。
「とにかく、二度と来るな。そして俺に構うな、何度言えば分かるのだ」
「嫌ですわレオン様。私たちは婚約者です、何度だって諦めずに来ますわ」
私は、ここで引くわけには行きません。
例え、レオン王子殿下を怒らせることになってしまったとしても。
なんとしてでも、私のつくった料理をレオン王子殿下に、食べてもらう必要があるのです。
「はぁ......その目は諦めないと言った様子だな」
「はい」
「今回だけは許してやる、だからさっさと部屋から出て行け」
私は、お皿を持ったまま部屋から出て行こうとした。
すると、背後から声をかけられる。
一体、何だと言うのでしょうか。
「待て、その皿は置いて行け。つくられたものに罪はない。食べ物をゴミとして捨てるわけにはいかない」
「は、はいっ! ぜひ食べてください!」
「良いからさっさと行け」
レオン王子殿下は、あきれた顔をしながら出て行けと言ってきます。
私は、嬉しい気持ちを抑えながら部屋から出て行きました。
◇
シルヴィアが出て行った後の、レオン王子の部屋。
そこには、先程持って来たばかりのおにぎりがおかれている。
レオン王子は、おにぎりを手に取って口へと運ぶ。
「しょっぱい......」
静かに、もぐもぐと食べる。
「セバスやサラのつくったおにぎりの方が美味しい」
皿にあった、もう一つのおにぎりを手に取った。
「だけど......」
レオン王子は、それ以上は口に出すことはなく、静かにおにぎりを食べ続けた——。
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