宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ

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8話 第三王子、帰還

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 王国にある国王の部屋。
 国王と第三王子カールがいた。

「この馬鹿者がぁ!」

「ど、どうしたのですか父上!」

 国王は窓際で外を見ながら言った。

「どうしたもこうしたもあるかっ! 何なのだあの無駄に金ピカに輝いている馬車は。あんな物は無かったはずだぞ」

 国王の視線の先には、第三王子カールが乗っていた馬車があった。

「それはですね! 僕の移動用に購入したのです。王族の僕が直接行くのですから、それ相応の馬車でなければ、示しがつきません」

「そんな金は無かったはずだが?」

「......? お金なら、父上がくれたではないですか」

「はぁ......」

 国王はあきれた様子で、ため息をついた。
 頭に手を置いて、やれやれといった様子で、第三王子カールを見た。

「カール、やはりお前には早かったようだな」

「そんなことはありません! 今回は失敗してしまいましたが、次こそは必ず連れて来てみせます」

「お前に次はない」

 国王は我が子に向けるようなものではない、冷たい視線を第三王子カールに向けた。

「な、何故ですか父上! 僕はまだ出来ます」

「何故だめか理解出来て居ない時点で、お前はダメなのだ。お前に渡した金はメアリーへの補償金だ。お前の自由に使える金など、硬化1枚すらない。それをお前は我が物として、あの無駄な馬車に使ってしまった」

「それは......。僕が、王族が行くのですから必要な出費なのでは」

「うるさいっ!」

 大声をあげた国王に、第三王子カールは驚いた。
 普段は温厚な国王がここまで怒鳴ることは、見たことがなかった。

「そもそも、賠償金もなしにメアリーが戻って来るはずがないだろうが......お前はどうやって戻って来て貰うつもりだったのだ」

「それは——」

 第三王子カールは、今回の件の説明をした。
 話を盛ることはせず、淡々と事実のみを語って行く。

「やはり頼んだわしが馬鹿だった。カール、お前は勉強し直せばならんようだな」

「ま、まさか」

「そのまさかだ。カールは王国の学園で勉学に励むように。それと、一年間は王子としての身分を剥奪とする」

「それはいくらなんでもあんまりです!」

「学費と生活費は最低限は出してやろう、話はこれで終わりだ。もう部屋を出なさい」

 国王の言葉に第三王子カールは、肩を落としながら部屋を出て行った。
 一度決定したことを覆さないことを知っていたので、反論することはしなかった。



 第三王子カールが出て行った室内。
 国王は、一枚の報告書片手にしている。

「あそこまでカールがアホだったとはな」

 ため息をつく。

「聖女の回復魔法......か、噂が何であれ、これでメアリーを連れ戻さなければならない理由が増えたな。他国に取られるようなことがあってはならない」

 国王は、鋭い目つきでそう言った。

 報告書には、冒険者都市でのメアリーの生活状況と、仕事について書いてある。
 そこにはもちろん、あの出来事についても記載されていた——。
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