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「心配せずとも、エディは、脅迫されたことを世に訴えるつもりはないそうです。願いは、ただ一つだけ──」
ジェンキンス伯爵の言葉に応じるように、エディは、ルソー伯爵の前に立った。
「僕は、コーリーを泣かせました。屋敷を追い出すということは、ルソー伯爵家から除籍されるということですよね。手続き、お願いします」
「こ、この恩知らずが……っ」
ぷるぷる怒りに震えるルソー伯爵とエディのあいだに割って入ったコーリーが、涙ながらに訴えかけてきた。
「ま、待って。待ってお兄様っ」
「コーリー……お前は、ルソー伯爵と同じで、僕を人買いに売らせたいのか?」
「ち、違う! そんなひどいこと、お父様はしないっ」
「するよ。少なくとも僕は、そう確信している。ジェンキンス伯爵がいなければ、きっとそうされていた」
「お兄様は、ミアに騙されているのよ!」
「──あら。あたしが、どんな風にエディを騙したというのかしら」
落ち着いた声色に、コーリーは目を吊り上がらせた。
「どうやったのか知らないけど、お兄様を洗脳したんでしょう?! ありもしない記憶を植え付けて、あたしとお兄様を引き裂こうとしているんだわ!!」
殺意を向けられたルシンダが、呆れたように、頬に手を添えた。
「洗脳? ありもしない記憶の植え付け? それって本当に可能なの?」
「知らないわよ!!」
この感じ。この二人は、確かに。
「あなたとルソー伯爵って、そっくりね。さすがは、親子だわ」
その場にいる者の思いを代弁するように、ルシンダは吐露した。馬鹿にされた。見下された。そう感じたコーリーは、ルシンダにつかつかと詰め寄った。させまいと、エディが前に立ち塞がる。
「……お兄様! いい加減、目を覚ましてください!」
「覚めたよ。彼女のおかげで、僕は、ルソー伯爵に虐待されていることを知った。ルソー伯爵家の屋敷にいると、息苦しくてたまらなかったわけも、よくやく気付くことができた。ぜんぶ、彼女のおかげだ」
「ぎゃ、虐待だなんてっ」
「お前は、何を言っても納得はしないだろうね。ルソー伯爵と同じで、話しが通じない人間だから」
「ひ、ひどい……っ。あたし、そんなことっ」
「そういう、すべて、自分が可哀想、被害者だと思い込むところ。僕は、そのことを言っているんだ。わがままという言葉では生ぬるいぐらい、お前は、どうしようもない」
貴様!
ルソー伯爵が叫ぶが、執事に両手を掴まれているので、吼えることしかできない。
「愛する人より、お前を優先しなければいけなかった僕の気持ちが、わかるか? ミアの気持ちは? 少しは考えてみてほしいけれど、お前には、一生わからないかもね」
長年の気持ちを吐き出すように、エディは淡々と、けれど確かな恨みを宿して、告げた。
ジェンキンス伯爵の言葉に応じるように、エディは、ルソー伯爵の前に立った。
「僕は、コーリーを泣かせました。屋敷を追い出すということは、ルソー伯爵家から除籍されるということですよね。手続き、お願いします」
「こ、この恩知らずが……っ」
ぷるぷる怒りに震えるルソー伯爵とエディのあいだに割って入ったコーリーが、涙ながらに訴えかけてきた。
「ま、待って。待ってお兄様っ」
「コーリー……お前は、ルソー伯爵と同じで、僕を人買いに売らせたいのか?」
「ち、違う! そんなひどいこと、お父様はしないっ」
「するよ。少なくとも僕は、そう確信している。ジェンキンス伯爵がいなければ、きっとそうされていた」
「お兄様は、ミアに騙されているのよ!」
「──あら。あたしが、どんな風にエディを騙したというのかしら」
落ち着いた声色に、コーリーは目を吊り上がらせた。
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殺意を向けられたルシンダが、呆れたように、頬に手を添えた。
「洗脳? ありもしない記憶の植え付け? それって本当に可能なの?」
「知らないわよ!!」
この感じ。この二人は、確かに。
「あなたとルソー伯爵って、そっくりね。さすがは、親子だわ」
その場にいる者の思いを代弁するように、ルシンダは吐露した。馬鹿にされた。見下された。そう感じたコーリーは、ルシンダにつかつかと詰め寄った。させまいと、エディが前に立ち塞がる。
「……お兄様! いい加減、目を覚ましてください!」
「覚めたよ。彼女のおかげで、僕は、ルソー伯爵に虐待されていることを知った。ルソー伯爵家の屋敷にいると、息苦しくてたまらなかったわけも、よくやく気付くことができた。ぜんぶ、彼女のおかげだ」
「ぎゃ、虐待だなんてっ」
「お前は、何を言っても納得はしないだろうね。ルソー伯爵と同じで、話しが通じない人間だから」
「ひ、ひどい……っ。あたし、そんなことっ」
「そういう、すべて、自分が可哀想、被害者だと思い込むところ。僕は、そのことを言っているんだ。わがままという言葉では生ぬるいぐらい、お前は、どうしようもない」
貴様!
ルソー伯爵が叫ぶが、執事に両手を掴まれているので、吼えることしかできない。
「愛する人より、お前を優先しなければいけなかった僕の気持ちが、わかるか? ミアの気持ちは? 少しは考えてみてほしいけれど、お前には、一生わからないかもね」
長年の気持ちを吐き出すように、エディは淡々と、けれど確かな恨みを宿して、告げた。
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