真実の愛は、誰のもの?

ふまさ

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「いいんだってば。ほら、あたしの住んでいる部屋に行きましょう。少し狭いけど、これから二人で頑張ってお金を稼いで、もっと広いところに引っ越しましょうね」

 手を差し伸べるジェマ。エディは、ごめんね、と申し訳なさそうに謝罪した。

「気持ちは、本当に嬉しいよ。優しいきみだから、ミアもきっと、心にもないことを言って、僕と別れようとしたんだろうな」

「……馬鹿ね。まだあの女のこと、信じてるの?」

「ジェマはミアと会ったばかりだから、わからないのも無理はない。でも、僕にはわかる。何年も、ずっと一緒にいたからね」

「……信じたい気持ちはわかるわ。でも、事実から目を逸らしては駄目よ」

「少なくとも、ミアが実父から虐待されていたのは、本当だよ」

「それは、あなたにかまってもらいたくて、あの女がついた嘘よ」

 ──いまは通じないか。

 エディは諦め、一歩、ジェマから距離をとった。

「ごめん。ミアのところに戻らないと。いまごろ、一人で泣いているだろうから」

 返事を待たず、エディは、ミアの屋敷の方へと駆けだした。待って。背後から、ジェマが追ってくるのがわかる。でも、エディは足を止めるつもりはなかった。


「──エディ!」


 名を呼ばれたのは、背後ではなく、前方からだった。止まりかけた馬車から、青い顔をしたミアが飛び出してきた。

「な、なにをしているのですか……怪我をしたばかりだというのに、そんなに走って……っ」

 心配と怒りが入り交じった、震えた声色。

 目覚めたばかりのミアの表情と、ジェマから聞いたミアの科白を思い出し、エディの中で、愛しさが膨れ上がっていく。

「……ミアっ」

 愛しい者の名を呼びながら、エディはミアを抱き締めた。ミアの目が、驚愕に見開いていく。

「……記憶、が」

「戻ったよ。記憶って、些細なきっかけで戻ることもあるんだね」

「……あ」

 身体中から力が抜け、膝から崩れ落ちそうになるミアを、エディが受け止める。その光景を目にしたジェマが、馬鹿、と叫んだ。

「エディ、騙されちゃ駄目! あんたもよ! エディを見捨てたくせに、記憶が戻ったと知ったとたん、ころっと態度を変えて、最低ね! 信じらんない!」


「──あなたがジェマさんね」


 ミアが乗っていた馬車から、気品溢れる女性が、ゆるりと降りてきた。貴族のそれとわかる雰囲気に、ジェマが圧倒される。


「娘が、大変ご迷惑をおかけしました。きちんと説明させてもらいますので、ぜひ、お屋敷にいらしてくださいな」

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