真実の愛は、誰のもの?

ふまさ

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「……つまり、相応しくないと思っていたのはミア様で、あたしと再会したときにエディが記憶喪失になったのは必然だと考え、あんな嘘をついたと」

 二回目の訪問となるジェンキンス伯爵の屋敷の応接室で、ジェマは、腕を組んでいた。

「あたしにはその考えはよくわかりませんが……ですが、その、辛い目に遭っていたのは本当だったのですね。申し訳ありませんでした」

 エディとジェンキンス伯爵夫人は口を挟まず、見守る中、ミアは、とんでもありません、と焦ったように口を開いた。

「わたしは嘘をつき、あなたを騙した卑怯者です。そしてあなたはただ、エディを必死に守ろうとしていただけ。謝るのは、わたしの方です」

 ごめんなさい。

 頭を下げるミアに、ジェマは苦笑した。

(こんなに腰の低い伯爵令嬢、はじめてだわ)

「ミア様。一つ、聞いてもいいでしょうか」

「はい」

「目の前に、幼い兄妹がいたとします。妹は泣きながら兄に近付こうとしているのに、兄は、くるな、と妹に怒鳴りつけます。あなたなら、なんて声をかけますか?」

 唐突過ぎる問いに、それでもミアは戸惑いながら、必死に考える。

「……そう、ですね。まずは二人に、理由をたずねると思います。妹には、どうして泣いているのか。そして兄には、どうして妹にくるなと言ったのかを」

「それはなぜですか?」

「なぜ……?」

「どんな理由があっても、妹を泣かせる兄は、注意すべきだとは考えないのですか?」

「ですが、もし妹に非があった場合、兄を深く傷付けることになってしまいます」

「……まあ、そうですよね」

 ジェマはちらっと、ミアの横に座るエディを見た。エディの表情は、少なくとも変わってはいないようだったけれど。

 あーあ。

 ジェマは、どかっと背もたれに体重を預けた。

「もう。あたし、まるっきり悪役じゃない」

「どうして? 僕を傷付けまいと、つかなくていい嘘をいくつもついてくれたよね。ありがとう」

 エディの科白に、ジェマが苦笑する。嫌味ではなく、本心なのだろうが。

(……ミア様のことはともかく、あたしがエディの恋人だって嘘も、軽く流されちゃったな)

 それとも、その嘘も、エディのためについたと思われているのだろうか。

 確かに、理由の一つはそうだ。

 でも。

(エディが記憶を取り戻さなかったら、あたしと結ばれる未来もあったのかしら)

 もし、あそこであの幼い兄妹に出くわさなければ。違う未来が待っていたのだろうか。

 考えてみるけど、そんな未来は、想像できなくて。あの兄妹への対応の違いのせいかは、わからないけど。

 ──どちらにせよ、エディは、ミア様と一緒の未来を歩んでいたような気がする。

 それこそ、ミアのいう、必然のような。

 並ぶ二人を見て、ジェマは、そう思った。



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