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学園からレックスの屋敷へと帰る途中の馬車で、アリシアは正面に座るレックスに「隣に座ってもいいですか?」と訊ねた。
珍しいな、と思いながらも「もちろん」と笑顔で応じるレックス。
失礼します。と座ったかと思えば「もう一つ、いいですか?」と前置きしたアリシアは、
「右手を触らせてもらってもいいですか?」
と言ってきた。
「? どうぞ?」
レックスが右手を差し出す。アリシアはレックスの右手を両手で触ったり、揉みはじめた。かと思えば、レックスの右手を自分の頭にのせたりした。何だろう、これは。レックスが首をかしげる。
「……あの、アリシア?」
しばらくしてアリシアは、ぽつぽつと語りはじめた。
「──いま。わたしは、自分にとって都合のいい夢を見ているのかもしれません。いつ覚めるかもわからないので、自分の気持ちに正直になろうと思いまして」
レックスの右手を両手で握りしめながら、アリシアはレックスに視線を向けた。僅かに震えているのが、右手越しに伝わってきた。
「わたしは、レックス様が好きです。ずっとレックス様と一緒にいたいです」
レックスは少しだけ目を見張ったあと、慈しむように、目を細めた。
「……そっか。嬉しいよ、アリシア」
アリシアはレックスの返事に、ほっと息をついた。それから「あの、では。レックス様が良ければ、まずはお付き合いからお願いします」とぺこりと頭をさげた。
「お付き合い?」
「はい。婚約はまだ、早いと思うのです。それにまた婚約解消になれば、レックス様の評判にもかかわります。これ以上は、絶対に迷惑をかけるわけにはいきませんので」
「…………」
いろいろ突っ込みたいことはあったが、レックスはなんとか胸の内に止めた。これがアリシアの、精一杯なのだろうと思ったから。
「……うん。それじゃあ、改めて」
レックスは顔を近付けると、アリシアの頰にそっと唇をあてた。アリシアが、瞬時にかたまる。レックスは口元を緩め、
「これからよろしくね、アリシア」
と、見惚れるほど綺麗に微笑んだ。
珍しいな、と思いながらも「もちろん」と笑顔で応じるレックス。
失礼します。と座ったかと思えば「もう一つ、いいですか?」と前置きしたアリシアは、
「右手を触らせてもらってもいいですか?」
と言ってきた。
「? どうぞ?」
レックスが右手を差し出す。アリシアはレックスの右手を両手で触ったり、揉みはじめた。かと思えば、レックスの右手を自分の頭にのせたりした。何だろう、これは。レックスが首をかしげる。
「……あの、アリシア?」
しばらくしてアリシアは、ぽつぽつと語りはじめた。
「──いま。わたしは、自分にとって都合のいい夢を見ているのかもしれません。いつ覚めるかもわからないので、自分の気持ちに正直になろうと思いまして」
レックスの右手を両手で握りしめながら、アリシアはレックスに視線を向けた。僅かに震えているのが、右手越しに伝わってきた。
「わたしは、レックス様が好きです。ずっとレックス様と一緒にいたいです」
レックスは少しだけ目を見張ったあと、慈しむように、目を細めた。
「……そっか。嬉しいよ、アリシア」
アリシアはレックスの返事に、ほっと息をついた。それから「あの、では。レックス様が良ければ、まずはお付き合いからお願いします」とぺこりと頭をさげた。
「お付き合い?」
「はい。婚約はまだ、早いと思うのです。それにまた婚約解消になれば、レックス様の評判にもかかわります。これ以上は、絶対に迷惑をかけるわけにはいきませんので」
「…………」
いろいろ突っ込みたいことはあったが、レックスはなんとか胸の内に止めた。これがアリシアの、精一杯なのだろうと思ったから。
「……うん。それじゃあ、改めて」
レックスは顔を近付けると、アリシアの頰にそっと唇をあてた。アリシアが、瞬時にかたまる。レックスは口元を緩め、
「これからよろしくね、アリシア」
と、見惚れるほど綺麗に微笑んだ。
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