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第一章 魔法の剣
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サムとはそれからもう少しだけ話しを続けた。
「どうしてここは年中寒いか分かるか?」
「いや」とエドは首を横に振る。
「俺にも分からない。ただ、この環境をつくったのは昔に実在した賢者、もしくは錬金術師らしい」
「そうなのか?」
「こんなのが自然でできたとは思えないだろ? 昔は魔法使いが実在したらしい。だが、いつの時からか人間は魔法を失った。古い言い伝えには魔法はそもそも神からの授かりものであり、神の信仰を忘れ争いを始め森の木を切り倒した時から、神は力を失っていったという話だ。神が人間を見放したのではなく、人間が神の力を奪ったというのだから、本当のところ人間は魔法を手放したのか、失ったのかさえ分からない。神は森や海、空、あちこちに存在した。だが、森はなぎ倒され、それによって森にいた神の力は失われ、神の力であった魔法も人間の中から同時に消失したというなら、人間はやはり自ら魔法を失ったと考えるべきだろうな」
「魔法の剣というのは」
「世界から魔法が消える前にできるだけかき集めた魔法の力をある器の中に閉じ込めた錬金術師の話しがある。それが恐らく魔法の剣に繋がっているんだろう。その点、この森はほとんど人間の手が加えられていない……というより、加えようもんなら獣達が襲ってくる。しかも、他の野生よりここのは大きい。ここは太古のままなんだ。多分、魔法もまだこの土地には残っている筈だ。だから、自然も魔法に影響してるんじゃないかって思うんだ。魔法の剣が錬金術師と絡んでいるなら、この魔法が今も宿る土地と錬金術師の組み合わせがまさにこの試練をつくり上げているんだよ」
「気になったんだけど、魔剣はなんであるのかな? 魔剣の剣の中にわざわざ混ざっているのも、あれも試練なのかな」
「さぁな。そこまでは知らん。それに俺が言ったのは根拠もない妄想話しだ。立証なんて誰もできやしない。なんせ、言い伝えの全てが本当かすら不明なんだからな」
エドは持参してきた乾パンを食べ終えると、それをサムは見た。
「もう行くのか?」
「サムは?」
「俺もそろそろ行くところだ。だが、旅には同行するつもりはない。分かるだろ? その方がお互いの為だ」
エドは仕方なしに頷いた。本当は一緒に行った方が心細さがないし、協力して行くことも出来ただろう。だが、旅には裏切りがつきものだ。何故か森深くに進むと、己の欲求が増して他人を蹴落そうと強欲で傲慢に人は変わってしまうと父のメモ帳にはあった。
とある国の王子が魔法の剣欲しさに護衛をつけて森に入ったら、仲間同士で殺し合いが始まってしまったらしい。
その話しが広まると、旅人は基本単独行動に徹するようになった。
試練は一人で受けろ、そう森に旅人達は言われているようだった。
「俺はあんたが行ったのを見て暫くしてから出発するよ。その前にもし旅に必要な道具があれば譲ってやってもいい。同じ旅人なんだ。そこはお互い宜しくやろうぜ。勿論、お金はいただくがよ」
エドは笑った。
「ここに来ても商売をしようとするなんて、根っからの商人の息子だよね。でも、譲ってもらえるなら、買おう」
エドはそう言って、サムから獣が嫌う臭いの霧吹きと寒さを和らげる薬を買った。
「また、会うことがあればまた応じるぜ。ああ、それからもし獣を狩るようなことがあるなら、食料は多めに持ち歩いた方がいいな。歩くのに邪魔になるが、その方が誰かとまた会った時に取り引き条件に使えるからな。ま、俺は金で買い取るぐらいだけど」
「分かった。そうするよ」
エドはそう言ってサムと別れ、旅を再開した。
「どうしてここは年中寒いか分かるか?」
「いや」とエドは首を横に振る。
「俺にも分からない。ただ、この環境をつくったのは昔に実在した賢者、もしくは錬金術師らしい」
「そうなのか?」
「こんなのが自然でできたとは思えないだろ? 昔は魔法使いが実在したらしい。だが、いつの時からか人間は魔法を失った。古い言い伝えには魔法はそもそも神からの授かりものであり、神の信仰を忘れ争いを始め森の木を切り倒した時から、神は力を失っていったという話だ。神が人間を見放したのではなく、人間が神の力を奪ったというのだから、本当のところ人間は魔法を手放したのか、失ったのかさえ分からない。神は森や海、空、あちこちに存在した。だが、森はなぎ倒され、それによって森にいた神の力は失われ、神の力であった魔法も人間の中から同時に消失したというなら、人間はやはり自ら魔法を失ったと考えるべきだろうな」
「魔法の剣というのは」
「世界から魔法が消える前にできるだけかき集めた魔法の力をある器の中に閉じ込めた錬金術師の話しがある。それが恐らく魔法の剣に繋がっているんだろう。その点、この森はほとんど人間の手が加えられていない……というより、加えようもんなら獣達が襲ってくる。しかも、他の野生よりここのは大きい。ここは太古のままなんだ。多分、魔法もまだこの土地には残っている筈だ。だから、自然も魔法に影響してるんじゃないかって思うんだ。魔法の剣が錬金術師と絡んでいるなら、この魔法が今も宿る土地と錬金術師の組み合わせがまさにこの試練をつくり上げているんだよ」
「気になったんだけど、魔剣はなんであるのかな? 魔剣の剣の中にわざわざ混ざっているのも、あれも試練なのかな」
「さぁな。そこまでは知らん。それに俺が言ったのは根拠もない妄想話しだ。立証なんて誰もできやしない。なんせ、言い伝えの全てが本当かすら不明なんだからな」
エドは持参してきた乾パンを食べ終えると、それをサムは見た。
「もう行くのか?」
「サムは?」
「俺もそろそろ行くところだ。だが、旅には同行するつもりはない。分かるだろ? その方がお互いの為だ」
エドは仕方なしに頷いた。本当は一緒に行った方が心細さがないし、協力して行くことも出来ただろう。だが、旅には裏切りがつきものだ。何故か森深くに進むと、己の欲求が増して他人を蹴落そうと強欲で傲慢に人は変わってしまうと父のメモ帳にはあった。
とある国の王子が魔法の剣欲しさに護衛をつけて森に入ったら、仲間同士で殺し合いが始まってしまったらしい。
その話しが広まると、旅人は基本単独行動に徹するようになった。
試練は一人で受けろ、そう森に旅人達は言われているようだった。
「俺はあんたが行ったのを見て暫くしてから出発するよ。その前にもし旅に必要な道具があれば譲ってやってもいい。同じ旅人なんだ。そこはお互い宜しくやろうぜ。勿論、お金はいただくがよ」
エドは笑った。
「ここに来ても商売をしようとするなんて、根っからの商人の息子だよね。でも、譲ってもらえるなら、買おう」
エドはそう言って、サムから獣が嫌う臭いの霧吹きと寒さを和らげる薬を買った。
「また、会うことがあればまた応じるぜ。ああ、それからもし獣を狩るようなことがあるなら、食料は多めに持ち歩いた方がいいな。歩くのに邪魔になるが、その方が誰かとまた会った時に取り引き条件に使えるからな。ま、俺は金で買い取るぐらいだけど」
「分かった。そうするよ」
エドはそう言ってサムと別れ、旅を再開した。
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