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第一章 魔法の剣
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最後の山、そこは妙に冷たく、寒い。沢山の魔法の剣が山の大地に突き刺さっているというのに、それよりも二人の方に意識がいってしまう。
一人は謎の男。こいつがキルケに命令していた男ということか。
もう一人は、自らを魔女Xと名乗る女だ。
「ローレンス、これはいったいどういうことなの!?」
四人の頭上の空は明るい紫色の空をしていた。オーロラではない。太陽もこの場所からは見えない。なのに、明るい。月も見当たらず、あるのは無数の星星がキラキラと光っている。一つ一つは小さな金平糖のようだ。
これは本当に地球なのだろうか。
「私がかわりに教えてあげるわ。ローレンスは錬金術師の末裔。彼の一族の男性は魔法を代々受け継がれた家系。それはもはや魔女の血筋と変わらない程に続いた一族。ローレンス家は魔女と戦い、ほとんどの魔女を殺してきた。残っているのは僅か。最初は異端として。科学の道を歩みだした人類にとって、未だ魔法というオカルトにしがみつく古い家を滅ぼすことで、人類がオカルトに惑わされないよう、科学を徹底的に当たり前にしてきた。結果、ほとんどの人間は科学では証明できないものには疑いを持つようになり、科学には人間はすっかり心を奪われてしまったかのように心酔し、信じた。ローレンスの一族は人類に科学をもたらし、発展させた一族。次第に、ローレンス一族は自らの魔法も封じた。次の代には魔法は受け継がれることはなくなり、ローレンス家は裏の立役者となった。表では、科学者が大発見を成し遂げ、裏のローレンス家は魔女狩りを行い、人類に洗脳に近い科学の道を歩ませた。こうして、世界は科学が支配し、人類はそれに従ってきた。だが、長い戦争がおき、忘れていたものを掘り起こすかのように思い出した。魔法というオカルトを。この地にはまだそれが残っている。古い場所には不思議な力が宿っているもので、それはオカルト現象と呼ばれた。魔法を再び取り戻したローレンス家は魔法の剣をつくり、ノアの箱舟のように人類の選別を行った。私は人類に全て滅んで欲しかった。彼だけは生かしてね。他の魔女も賛同した。でも、彼は許さなくて、全員の魔女を殺してしまった。私と僅かしかいない魔女ではどうすることもできず、更には死んでいった魔女達は人間を襲うよう呪いまで撒き散らした。ただ死んでいけば良かったのに。世の中は単純にはいかなかった。この世界同様にどうしても、ストーリーを進めていくと途中から紐が複雑に絡まり始めてしまう。それはほどくことが難しく、それはまるであらわすなら混沌のよう」
長々と自称魔女Xは話しをしていたが、途中で別の洞窟の出口からミアが出てきた。
それを見てエドは驚き、ホッとした。
「ミア!」
エドは彼女を呼んだ。
「エド!? ここは……最後の山?」
「魔女メーデイアの弟子ね」
「お前はまさか!?」
「あら、覚えていたのね。そう、あなたの師匠に一度お会いしに行ったことがあるの。その時、あなたもいたわね」
「本当に……お前が第二の騎士なのか?」
「あら、私をそう呼ぶの? まぁ、好きなように呼べばいいわ」
魔女Xはそう言うと、そばにあった剣を迷いもせずに引き抜いた。
「あなたが欲していた剣よ」
「いいのか? 俺にそれを渡して」
「もう、未練はないの。それに、私そんなものでは死なないから」
魔法の剣をローレンスに向け投げると、ローレンスのそばでそれは突き刺さる。それをローレンスは引き抜いた。
これで、ローレンスは剣を3本手に入れたことになる。
「ローレンス、本当に世界を滅ぼすつもり?」
「世界とは大袈裟だ。人間が言う世界なんて精々地球の話だ。人類は一度は宇宙に行ったが、地球を捨てて人類が他で生きていくなんて身勝手もいいところだ。我々人類は強欲の罪からは逃れられない。一度あらゆるものを手にしてきた人類がこれ以上得ようものなら、また争いが起きるだけだ」
「せっかく、第二の騎士を目前にしておいて悪いわね」
「人間にはリセットが必要だ」
ローレンスは魔女Xにもらった剣を高々にあげる。
「世界を滅ぼすエネルギーまではこいつにはない。できるエネルギーは精々、地球をリセットするぐらいのエネルギーさ」
ローレンスの持つ剣が紫色に輝く。
「させない!」
ミアは叫ぶが、そこに二人を追ってきていたキマイラが現れた。
「エド!」
キマイラの鋭い爪が、エドの背中の肉を切り裂いた。
悲鳴をあげるエド。
「キルケ! エドを守れ」
ミアはキルケに言うが、キルケは身動きがとれなかった。
「魔女メーデイアの弟子、こいつは俺の命令に従う。服従の呪いをかけてあるんだ。それに、今すぐに分かる。それが無駄なことだと」
直後、ローレンスの魔法の剣は全力の光を放った。
天使の歌声のような美しく神秘的な音楽が流れた。
大地は悲鳴をあげるように大地震を引き起こし、大地は割れ、全てをのみ込んでいった。暗闇の底に。
(第一章 魔法の剣・完)
一人は謎の男。こいつがキルケに命令していた男ということか。
もう一人は、自らを魔女Xと名乗る女だ。
「ローレンス、これはいったいどういうことなの!?」
四人の頭上の空は明るい紫色の空をしていた。オーロラではない。太陽もこの場所からは見えない。なのに、明るい。月も見当たらず、あるのは無数の星星がキラキラと光っている。一つ一つは小さな金平糖のようだ。
これは本当に地球なのだろうか。
「私がかわりに教えてあげるわ。ローレンスは錬金術師の末裔。彼の一族の男性は魔法を代々受け継がれた家系。それはもはや魔女の血筋と変わらない程に続いた一族。ローレンス家は魔女と戦い、ほとんどの魔女を殺してきた。残っているのは僅か。最初は異端として。科学の道を歩みだした人類にとって、未だ魔法というオカルトにしがみつく古い家を滅ぼすことで、人類がオカルトに惑わされないよう、科学を徹底的に当たり前にしてきた。結果、ほとんどの人間は科学では証明できないものには疑いを持つようになり、科学には人間はすっかり心を奪われてしまったかのように心酔し、信じた。ローレンスの一族は人類に科学をもたらし、発展させた一族。次第に、ローレンス一族は自らの魔法も封じた。次の代には魔法は受け継がれることはなくなり、ローレンス家は裏の立役者となった。表では、科学者が大発見を成し遂げ、裏のローレンス家は魔女狩りを行い、人類に洗脳に近い科学の道を歩ませた。こうして、世界は科学が支配し、人類はそれに従ってきた。だが、長い戦争がおき、忘れていたものを掘り起こすかのように思い出した。魔法というオカルトを。この地にはまだそれが残っている。古い場所には不思議な力が宿っているもので、それはオカルト現象と呼ばれた。魔法を再び取り戻したローレンス家は魔法の剣をつくり、ノアの箱舟のように人類の選別を行った。私は人類に全て滅んで欲しかった。彼だけは生かしてね。他の魔女も賛同した。でも、彼は許さなくて、全員の魔女を殺してしまった。私と僅かしかいない魔女ではどうすることもできず、更には死んでいった魔女達は人間を襲うよう呪いまで撒き散らした。ただ死んでいけば良かったのに。世の中は単純にはいかなかった。この世界同様にどうしても、ストーリーを進めていくと途中から紐が複雑に絡まり始めてしまう。それはほどくことが難しく、それはまるであらわすなら混沌のよう」
長々と自称魔女Xは話しをしていたが、途中で別の洞窟の出口からミアが出てきた。
それを見てエドは驚き、ホッとした。
「ミア!」
エドは彼女を呼んだ。
「エド!? ここは……最後の山?」
「魔女メーデイアの弟子ね」
「お前はまさか!?」
「あら、覚えていたのね。そう、あなたの師匠に一度お会いしに行ったことがあるの。その時、あなたもいたわね」
「本当に……お前が第二の騎士なのか?」
「あら、私をそう呼ぶの? まぁ、好きなように呼べばいいわ」
魔女Xはそう言うと、そばにあった剣を迷いもせずに引き抜いた。
「あなたが欲していた剣よ」
「いいのか? 俺にそれを渡して」
「もう、未練はないの。それに、私そんなものでは死なないから」
魔法の剣をローレンスに向け投げると、ローレンスのそばでそれは突き刺さる。それをローレンスは引き抜いた。
これで、ローレンスは剣を3本手に入れたことになる。
「ローレンス、本当に世界を滅ぼすつもり?」
「世界とは大袈裟だ。人間が言う世界なんて精々地球の話だ。人類は一度は宇宙に行ったが、地球を捨てて人類が他で生きていくなんて身勝手もいいところだ。我々人類は強欲の罪からは逃れられない。一度あらゆるものを手にしてきた人類がこれ以上得ようものなら、また争いが起きるだけだ」
「せっかく、第二の騎士を目前にしておいて悪いわね」
「人間にはリセットが必要だ」
ローレンスは魔女Xにもらった剣を高々にあげる。
「世界を滅ぼすエネルギーまではこいつにはない。できるエネルギーは精々、地球をリセットするぐらいのエネルギーさ」
ローレンスの持つ剣が紫色に輝く。
「させない!」
ミアは叫ぶが、そこに二人を追ってきていたキマイラが現れた。
「エド!」
キマイラの鋭い爪が、エドの背中の肉を切り裂いた。
悲鳴をあげるエド。
「キルケ! エドを守れ」
ミアはキルケに言うが、キルケは身動きがとれなかった。
「魔女メーデイアの弟子、こいつは俺の命令に従う。服従の呪いをかけてあるんだ。それに、今すぐに分かる。それが無駄なことだと」
直後、ローレンスの魔法の剣は全力の光を放った。
天使の歌声のような美しく神秘的な音楽が流れた。
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