悪役令嬢は反省しない!

束原ミヤコ

文字の大きさ
45 / 53

しおりを挟む


 ふかふかの桃色の絨毯の上に裸足で立っている私は、ささっと服を脱がされて体を採寸されている。
 今までのドレスは採寸なく体に馴染んでいたのを不思議に思って尋ねてみると、「アスタロト様やらメルクルがだいたいこんな感じって言うから、それどおりに選んだだけよ」とアイリスさんが教えてくれた。
「本当はちゃあんと採寸したかったんだけど、誰もリディちゃんを連れてきてくれないんだもん」と言って、アイリスさんは少し拗ねた様子を見せた。声は野太いのだけれど、アイリスさんは気安くてとても話しやすい方だ。
 手早く採寸が終わり服を着せてもらって、私は採寸室の白い長椅子に座るように促された。
 長椅子の前のテーブルに、アイリスさんの羽が輝いた途端に白いティーカップに注がれたお茶が用意された。
 香りと色合いからいって恐らく紅茶だろう。

「アイリスさん、ありがとうございます」

「まぁ、飲みなさいな」

 アイリスさんが長椅子の私の隣に腰かける。レースをふんだんにあしらったスカートがふわりと撓んだ。
 透き通る羽は、長椅子に座っても邪魔にはならないようだ。私の体にも少し触れているが、質量は感じない。不思議なものだと思う。

「ねぇ、リディちゃん。アンタの事情は知らないけど、本当にジルベルト様と結婚するつもりなの?」

「はい。楽しみにしておりますわ」

「本当に、良いの?」

 悩まし気にアイリスさんが問う。

「あのね、アタシは立場上アリア様の事も良く知ってたんだけど、あの子はいっつも暗い顔をしていたわ。生真面目で言葉の少ない子だったんだけど、一度だけ教えてくれたことがあるの」

『ユール様は、手に入らないものを追い続けているの』

 アリアは哀しそうに微笑んで、アイリスさんにそう言ったらしい。

『王の傍にいたのはリアだから詳しい事はしらないけれど、ハインゾルデ様からルシス様へと代替わりした時の祝いの席で、ルシス様はエルヴィーザ様をはじめて間近で見たそうよ。ハインゾルデ様は、公平な方だった。ルシス様もはじめはそうだったのだけど、いつしかエルヴィーザ様に恋焦がれるようになってしまったの』

 アリアはリアと似た毛足の長い三角の耳を持った、可愛らしいというよりはどちらかといえば美しい女性だったようだ。長く生きている為かどこか達観した処があって、あまり自分の感情を表に出さないような方だったのだという。

『エルヴィーザ様は、初代エンデバラード王と仲睦まじくていらっしゃったわ。エンデバラード王が天寿を全うしてからは、神殿で国を見守りながらひっそりとお過ごしになっていた。何度かお話をしたことがあるけれど、優しい方だったわ。だからたぶん……お嫌、だったのでしょうね。度重なるルシス様の求愛に嫌気がさして、ある時自らの命を絶ってしまったの』

 私は首を傾げる。
 求愛に嫌気がさして命を絶とうと考える意味が分からなかった。
 女神なのだから愛されるのは当然だろう。それは国民からの愛情であったり、エンデバラード王家からの愛情であったり、もちろんルシスからの愛情を向けられてしまうのも致し方ない事だ。
 女神のように美しい、いや、女神以上に美しい私だって、愛されてしまう罪を背負っている。全ての愛情は受け入れて差し上げるべきだとは思うけれど、どうしてもそれが出来なければただ毅然とした態度で拒絶すれば良いだけの話だ。
 生きていなければ何もできないのだから、命を絶つというのは、いささか飛躍しすぎている気がする。

『ルシス様は、悲しんだのでしょうね。リアの話では、どうしようもなく愚かになってしまったということだったわ。それからしばらくして、エルヴィーザ様の生まれ変わりの人族の少女がみつかったの。彼女の額にはエルヴィーザ様を示す陽の刻印が浮かんでいた。ルシス様はもちろん、欲しがったみたいね。でも、女神はエンデバラード王家にとって、エヴァンディア王国にとって重要な存在よ。当たり前だけれど、王家に保護されてルシス様の元へは来ることが無かったわ』

 女神の存在を知らずに育った私にとって、女神がどれほどの重要な立場なのかはよく分からない。
 ジルベルト様たちのように不可思議な力を持っているのかもしれないし、愛と平和をもたらす豊穣の女神なのだから、その存在があるだけで国に平和が訪れる――などといった存在なのかもしれない。
 国の平和とはより良い施政者が作り上げるものであって、女神の力なんてなんだかよくわからないものがもたらすものではないとは思うのだが、そういう風に世界ができているのだとしたら、受け入れるしかないだろう。
 実際私は創造神だとか言っていたカミシールにも会っているし、二度目の人生を生きて居たりもするので、そういったことを否定できはしない。
 そうだとしたら、確かにエヴァンディア王国に女神が存在するということはとても大切だ。
 他国での女神の存在はどういったものなのかは知らないけれど、もしかしたら存在することが大切なので、秘されているのかもしれない。

『そのうちに、……あの頃は、人族の事を食べ物か何かだと思っていた吸血族の王であるクライブが、少女を攫う事を繰り返し始めたの。アスタロトも、まるで玩具のように人族で遊び始めた。酷い話よ。見るのも、関わるのも嫌だったわ。人族は魔族を嫌い、あっという間に大戦が起こったの』

 作為的な何かを感じたと、アリアは言ったのだという。

『クライブは純粋に酷い男だったけれど、アスタロトは王に忠実だったから。魔族と人族との溝を更に深める様なことをしたのは、大戦を起こすためだったのかもしれない。考えすぎかもしれないけれど、エンデバラード王家を滅ぼして、ルシス様の為に女神の器を手に入れようと思ったのかもしれないし、人蝶族や精霊たちや、美しいけれど力の弱いものたちは、人族に売り物にされたり奴隷のように扱われていたから、その腹いせだったのかもしれないわ』

 その話はメルクルから少し聞いた。
 今も昔も、残酷な人たちは存在する。それと同時に良い方たちもいる。
 とても難しいけれど、そうならないように法を整備し取り締まるのが上に立つものの務めだ。
 過去のエンデバラード王家は、魔族を食い物にすることを許していたのだろうか。
 姿かたちが違うものたちを下に見る事は往々にしてあるものだ。私は可愛いと思うアナホリヤスデを、不気味だと言って酷く嫌う人たちもいる。そういう事だろう。

『私たち争いを嫌う者たちは、王の城の周囲にある深い森の中に隠れたの。ルシス様も私たちを守る気はあったのでしょうね、戦火はそこまでは及んでこなかった。外の世界がどうなったのかはしらないけれど、やがて魔族が多く住んでいた城を中心とした名前のない国を覆うように結界が張られた。……外に残った魔族もいたのでしょうけれど、その後どうなったのかは知らないわ』

 フォンテーヌ家に保護されたクライブは元気にしているけれど、それ以外の魔族の方を私は知らない。
 王国の中でひっそりと隠れ住んでいるのかもしれないし、他の国に逃れたのかもしれない。
 大戦の憎しみの中、根絶やしにされてしまったという可能性もある。
 良くは、分からない。

『結界の中、この国でもその後争いが起こったりもしたけれど、私は嫌だったから耳を塞いでいたわ。ルシス様は魔族の側妃を沢山作られたようだけれど、それが種族の争いにも繋がったようだから、嫌になるわよね。ハインゾルデ様がいなくなって、全てがおかしくなってしまったの。……ハインゾルデ様が、恋しい』

「アリア様は、ハインゾルデ様を慕っていたということですの?」

「さぁ、どうなのかしら。アタシはハインゾルデ様が居なくなった後に産まれたから知らないけど、アリアにとってはハインゾルデ様は父親になるんだから、そりゃ好きだったんじゃないかしらね」

 アイリスさんはそう言って、一度深い溜息をついた。

『ユール様は、可哀想な方。生きる事が嫌になったルシス様が、それでも女神を諦められずに、その記憶と共に全てを押し付けられた。見たこともない女神の記憶に囚われて、女神の器を愛してしまっているのよ。馬鹿よね。女神なんて、この世からいなくなればいいのにね』

 そんな風に言って疲れたように笑ったのが、アイリスさんがアリアを見た最後だったようだ。

「アリアは、可哀想だから傍に居てあげているんだと言っていたけど、ユールよりも長く生きてるから、その分プライドもあったんじゃないかしら。弱音を吐かない分、色々溜まっていって、あんなことになっちゃったのよ、きっと」

「……ジルベルト様に自らの魔力を全て受け渡したあと、身を投げたと」

「らしいわね。詳しい事は知らないけど、メルクルが泣きながら話してたから、何となくは知ってるわ。ジルベルト様は悪い方には見えないけど、ルシス様の馬鹿げた執着とユール様の苦しみの記憶を継いでいるし、女神を恨んでいたアリアの魔力もその身に受けてしまっているから、良く普通に生きてるなって思えるぐらいの立場にいるわ。そんな方と、あんたみたいなまだ若い子が無理をして結ばれることはないんじゃないかしら」

 とても心配そうに、アイリスさんは言う。
 アイリスさんはメルクルから聞いただけで直接見た訳ではないのだろうけれど、間接的に聞いただけの方が状況が分かるという場合もある。
 親切心で私の行く末を気にしてくれているようだ。有難いとこだと思う。

「アイリスさん。ありがとうございます。私はひとめみただけでは儚く無力で可憐な少女に見えてしまうでしょうけれど、フォンテーヌ公爵家に産まれたリディス・アマリア・フォンテーヌですわ。私の責務は、ジルベルト様の良き伴侶となって、過去の大戦で別れてしまった二つの国を、再びつなげる事ですの。私は争いは嫌いです。憎しみあうのは無益なことですわ。私ならば、ジルベルト様と共に理想の国を築き上げ、他国の指標となることができますわ」

 私はジルベルト様を恋しく思ってしまっているけれど、根底は変わっていないつもりだ。
 二度目の人生を歩ませてもらっている分、よりよい世界を作るために力をふるう必要がある。
 大丈夫だと微笑むと、アイリスさんはぱちぱちと瞬きを繰り返した。

「リディちゃんてば、お上品な子だと思っていたけど、面白い子ねぇ」

「アイリスさん、私いくども、女神の器にジルベルト様を奪われることが怖くないかと、問われましたの」

「そうなのね。じゃあ、余計なおせっかいだったかしら」

「いいえ、心配してくださるのはありがたいことです。……大切なのは愛や恋ではなく、責務を果たす事だと考えていた私は、そう言ったことはとくに気に病んでおりませんでしたの。……でも、正直、今はわかりませんわ」

 アイリスさんになら、言っても良いような気がした。
 多分それは、過去の事について隠さずに全て教えてくれたからだろう。ここで私が嘘をつくのは、間違っていると思う。そうまでして感情を隠すのは、不誠実な事だ。

「ジルベルト様が好きなのね?」

「えぇ。……最初は、粗野で怠慢で、王の心得が無い困った方だと思っておりましたけれど。……今は違いますわ」

「リディちゃん……」

 アイリスさんが私の手を強く握る。かなり力強いため、ちょっと痛い。
 心なしかうるうるしている瞳を、真っ直ぐに見返した。

「動揺は、してしまうかもしれません。悲しく思ってしまうかもしれません。……けれど私は、私のできることをしますわ。私は女神にも負けず劣らす美しく聡明な、神が齎した奇跡のような美少女ですもの」

「良いわ、良いわよリディちゃん!」

 野太い声で歓声を上げながら、私を抱き上げてくるくる回るアイリスさんに、かつてよく私を抱き上げてお嬢様尊いの舞いを踊っていたクライブを思い出した。
 クライブの過去がどうであれ、今の彼は私にとって面白おかしい愛すべき執事長だ。
 過去に囚われてしまっては前に進むことなどできない。
 恐らく女神の器であるシンシアさんに、以前の私はラファエル様を奪われてしまっているけれど、だからといって恐れる必要はない。私はどう考えてもどこからどう見ても、シンシアさんよりも美しい。

「アタシ、自分のドレスを着せるからには、リディちゃんには幸せになってもらいたいの。でもどうしても駄目なときは、いつでもいらっしゃい。アンタは立派な公爵令嬢かもしれないけど、まだ若い女の子でもあるのよ。たまには、ただの女の子に戻りなさい」

「……ありがとうございます」

 抱き上げた私を降ろしながら、アイリスさんが言う。
 ジルベルト様に甘やかされている時、自分が自分でなくなるような感覚になる理由がやっとわかったような気がした。
 私は愛されていたし、皆が「リディスなら大丈夫」だと言ってくれた。それは信頼の証だ。
 でも、ジルベルト様だけは違う。
 私は常に誇り高い公爵令嬢リディスなのだけれど、ジルベルト様がただの女の子のように私を守ってくれようとするから、時々それを忘れてしまいそうになるのだろう。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。 辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。 夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆  異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆ 

気配消し令嬢の失敗

かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。 15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。 ※王子は曾祖母コンです。 ※ユリアは悪役令嬢ではありません。 ※タグを少し修正しました。 初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン

残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎

水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。 もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。 振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!! え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!? でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!? と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう! 前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい! だからこっちに熱い眼差しを送らないで! 答えられないんです! これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。 または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。 小説家になろうでも投稿してます。 こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。

処理中です...