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#138 豆味噌(赤味噌)を作ろう。その2
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さて、全体に麹菌が塗されたので、ここから発酵に入る。
木製のバットに移して広げ、大豆が乾燥しない様に、濡らして硬く絞った布を被せる。
「サユリ、大豆の温度判る?」
「うむ? ん、29度だカピな」
「丁度良いな。この温度を保ったまま20時間ぐらい。頼める?」
「解ったカピ」
また右前足を上げるサユリ。
「終わったカピ」
「ありがとう。じゃあ手入れをして、と」
布を外し、大豆を手早く混ぜて行く。また布を掛ける。
「また29度を保ったまま、そうだな、30時間ぐらい。サユリ、お願い」
「うむカピ」
サユリの右前足が空を書く。
「終わりカピ」
「ありがとう。さて、どうかな」
布を外して見てみると、大豆の表面が緑の粉を吹いたみたいになっている。両手で掬い上げると、粒がバラバラになっていた。
「やった、豆麹完成! サユリありがとう! 次は味噌の仕込み!」
壱が安堵して息を吐きながら言うと、サユリはテーブルの上で得意げな表情。
さて、ここで漸く味噌作りである。先程大豆を洗ったり浸けたりしたボウルで、塩水を作る。
塩が溶ける様に、しっかりと手で掻き混ぜて。
塩水が透明になったら、先程完成した豆麹を入れ、混ぜて行く。
そうして出来上がった種を木桶に入れて行く。
「ここから2日ほど置く。サユリよろしく頼むよ。その間に俺、マッシャーと擂り鉢と擂り粉木取りに行って来る」
「解ったカピ」
壱は厨房に降りて、器具を取り、そしてついでとばかりに棚からきゃべつを取って、2階に戻る。
「壱、終わったカピよ」
「ありがとう。じゃ、水分吸ってもっと柔らかくなった大豆を潰すよ」
容器のままマッシャーを突っ込み、潰して行く。粗方潰れたら、擂り鉢に適量ずつ移しながら、更に細かくして行く。
そうして出来たものを、また木桶に戻し、本格的に熟成を始める。出来る限り空気に触れない様に布で蓋をして、中蓋をして、重石を乗せる。塩の容器を代用した。重ささえ足りていれば良いのだ。
「さて、これで2年!」
「2年カピか。それはなかなかカピな。ま、良いカピ」
サユリはまた右前足を上げ、回す。これは少し時間を要した。
「ふむ、終わったカピ」
「ありがとうサユリ! ちゃんと出来たかな!?」
待ち遠しくて堪らない。慌てて開けてみると、そこには艶々とした、濃い赤い色の味噌が出来上がっていた。
「おお……!」
壱は感嘆の声を上げると、スプーンを持って来て、早速少量を掬った。
心を躍らせながら、口に運ぶ。
広がる風味。やや辛い。しかし大豆の甘みもしっかりと感じる。
見事な赤味噌が出来上がっていた。
久しぶりの味。壱は懐かしさを感じ、眼を細めた。
「壱よ、どうじゃ? 出来たのかの?」
茂造がそわそわしながら訊いてくる。壱は嬉しさを隠そうとせず、大きく頷いた。
「出来た! じいちゃんも味見してみて。スプーン持って来る!」
壱が茂造に新しいスプーンを渡してやると、茂造がごっそりと掬おうとしたので、壱は慌てて止める。
「それだと辛いよ。ほんの少しで大丈夫。スプーンの先にちょこっとだけで充分」
茂造が壱の言う通りにし、少量を舐める様に口にする。
「おお! 成る程の! 赤味噌じゃ。これは良いのう。確かに辛いと言うか濃いんじゃが、旨味も甘みもしっかりあるのう。いつもの味噌汁も勿論旨いんじゃが、味噌が変わるとまた気分も変わって良いだろうからのう」
茂造は嬉しそうに頬を綻ばせる。
「そうじゃ、良く家内が赤味噌で蜆や浅蜊で味噌汁を作ってくれておったのう。懐かしいのう」
茂造がしみじみと眼を細める。この世界に連れて来られる直前に亡くした祖母を思い出しているのか。
確かに貝類の味噌汁に多く使われる味噌のイメージだ。だが豆腐でも麩でも美味しい。どちらもこの世界には無いものだが。
壱としては、味噌汁は勿論だが、醤油代わりの調味料に使う事が多くなると思う。そうすると汁物にもメインにも味噌が使える。それは壱にとってとても素晴らしい事なのだ。
「じゃあ早速、きゃべつに付けて食べてみよう!」
壱はきゃべつをざく切りにするとザルに入れて洗い、上下に振って良く水分を切る。
「少しずつ加減して味噌に付けてみて。赤味噌はきゃべつに良く合うよ」
茂造が嬉しそうにきゃべつを手にする。壱もきゃべつを取ると赤味噌を少し付け、サユリの口に運んでやる。サユリは香りを確認する様に鼻を動かした後、噛り付いた。
壱も自分の分を用意し、口に放り込む。しっかりと咀嚼して味わう。
やはり美味しく出来ている。きゃべつの甘みと相まって、味噌の旨味も引き出される。
「うむ、成る程カピ。これもなかなか良い味噌だカピな。いつものより確かに辛いカピが、甘いきゃべつと合っているカピ」
「うんうん、良いのう。旨いのう」
サユリも茂造も、満足げに口を動かしている。壱は嬉しくなって、笑みを浮かべた。
木製のバットに移して広げ、大豆が乾燥しない様に、濡らして硬く絞った布を被せる。
「サユリ、大豆の温度判る?」
「うむ? ん、29度だカピな」
「丁度良いな。この温度を保ったまま20時間ぐらい。頼める?」
「解ったカピ」
また右前足を上げるサユリ。
「終わったカピ」
「ありがとう。じゃあ手入れをして、と」
布を外し、大豆を手早く混ぜて行く。また布を掛ける。
「また29度を保ったまま、そうだな、30時間ぐらい。サユリ、お願い」
「うむカピ」
サユリの右前足が空を書く。
「終わりカピ」
「ありがとう。さて、どうかな」
布を外して見てみると、大豆の表面が緑の粉を吹いたみたいになっている。両手で掬い上げると、粒がバラバラになっていた。
「やった、豆麹完成! サユリありがとう! 次は味噌の仕込み!」
壱が安堵して息を吐きながら言うと、サユリはテーブルの上で得意げな表情。
さて、ここで漸く味噌作りである。先程大豆を洗ったり浸けたりしたボウルで、塩水を作る。
塩が溶ける様に、しっかりと手で掻き混ぜて。
塩水が透明になったら、先程完成した豆麹を入れ、混ぜて行く。
そうして出来上がった種を木桶に入れて行く。
「ここから2日ほど置く。サユリよろしく頼むよ。その間に俺、マッシャーと擂り鉢と擂り粉木取りに行って来る」
「解ったカピ」
壱は厨房に降りて、器具を取り、そしてついでとばかりに棚からきゃべつを取って、2階に戻る。
「壱、終わったカピよ」
「ありがとう。じゃ、水分吸ってもっと柔らかくなった大豆を潰すよ」
容器のままマッシャーを突っ込み、潰して行く。粗方潰れたら、擂り鉢に適量ずつ移しながら、更に細かくして行く。
そうして出来たものを、また木桶に戻し、本格的に熟成を始める。出来る限り空気に触れない様に布で蓋をして、中蓋をして、重石を乗せる。塩の容器を代用した。重ささえ足りていれば良いのだ。
「さて、これで2年!」
「2年カピか。それはなかなかカピな。ま、良いカピ」
サユリはまた右前足を上げ、回す。これは少し時間を要した。
「ふむ、終わったカピ」
「ありがとうサユリ! ちゃんと出来たかな!?」
待ち遠しくて堪らない。慌てて開けてみると、そこには艶々とした、濃い赤い色の味噌が出来上がっていた。
「おお……!」
壱は感嘆の声を上げると、スプーンを持って来て、早速少量を掬った。
心を躍らせながら、口に運ぶ。
広がる風味。やや辛い。しかし大豆の甘みもしっかりと感じる。
見事な赤味噌が出来上がっていた。
久しぶりの味。壱は懐かしさを感じ、眼を細めた。
「壱よ、どうじゃ? 出来たのかの?」
茂造がそわそわしながら訊いてくる。壱は嬉しさを隠そうとせず、大きく頷いた。
「出来た! じいちゃんも味見してみて。スプーン持って来る!」
壱が茂造に新しいスプーンを渡してやると、茂造がごっそりと掬おうとしたので、壱は慌てて止める。
「それだと辛いよ。ほんの少しで大丈夫。スプーンの先にちょこっとだけで充分」
茂造が壱の言う通りにし、少量を舐める様に口にする。
「おお! 成る程の! 赤味噌じゃ。これは良いのう。確かに辛いと言うか濃いんじゃが、旨味も甘みもしっかりあるのう。いつもの味噌汁も勿論旨いんじゃが、味噌が変わるとまた気分も変わって良いだろうからのう」
茂造は嬉しそうに頬を綻ばせる。
「そうじゃ、良く家内が赤味噌で蜆や浅蜊で味噌汁を作ってくれておったのう。懐かしいのう」
茂造がしみじみと眼を細める。この世界に連れて来られる直前に亡くした祖母を思い出しているのか。
確かに貝類の味噌汁に多く使われる味噌のイメージだ。だが豆腐でも麩でも美味しい。どちらもこの世界には無いものだが。
壱としては、味噌汁は勿論だが、醤油代わりの調味料に使う事が多くなると思う。そうすると汁物にもメインにも味噌が使える。それは壱にとってとても素晴らしい事なのだ。
「じゃあ早速、きゃべつに付けて食べてみよう!」
壱はきゃべつをざく切りにするとザルに入れて洗い、上下に振って良く水分を切る。
「少しずつ加減して味噌に付けてみて。赤味噌はきゃべつに良く合うよ」
茂造が嬉しそうにきゃべつを手にする。壱もきゃべつを取ると赤味噌を少し付け、サユリの口に運んでやる。サユリは香りを確認する様に鼻を動かした後、噛り付いた。
壱も自分の分を用意し、口に放り込む。しっかりと咀嚼して味わう。
やはり美味しく出来ている。きゃべつの甘みと相まって、味噌の旨味も引き出される。
「うむ、成る程カピ。これもなかなか良い味噌だカピな。いつものより確かに辛いカピが、甘いきゃべつと合っているカピ」
「うんうん、良いのう。旨いのう」
サユリも茂造も、満足げに口を動かしている。壱は嬉しくなって、笑みを浮かべた。
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