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#160 とある食材との出会い
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ガイたちと米の苗に水を遣っている最中に、ノルドが訪ねて来た。
「イチくん、みなさん、おはようございます。作業の途中ですいません。イチくん、本日はよろしくお願いします」
ノルドは言いながら、壱たちに深く頭を下げた。
「ノルドさん、おはようございます。もう少し待っててください」
壱は如雨露を傾けながら、首だけをノルドに向けて返事をする。
「こちらこそ、タイミングが悪くて申し訳無いです。ゆっくり作業をなさってください」
ノルドが笑顔で言うと、ガイが口を開く。
「こちらは大丈夫ですから、イチくん、ノルドさん、いえ、ノルド先生ですね、どうぞ行ってください」
「いえ、そんな訳には! ただでさえイチくんにはご足労いただくのですから、私は大丈夫です」
「いや、でも」
「いえ、本当に」
ガイとノルドの、壱の譲り合いになってしまった。こうなると壱が出るしか無い。
「ガイさん、俺、この水遣りはちゃんと参加したいんです。夕方はお任せしちゃってるんですから。ノルドさんすいません、少し待っててください。もうそんなに掛からないんで」
壱が真摯にそう言うと、ふたりは眼を見合わせて、納得した様に頷いた。
「解りました。イチくん、では続きをしましょう」
「はい、勿論。お待ちしますので。私が早く来過ぎてしまったのです。すいません」
「いえいえ。じゃあ、とっととやっちゃいましょう」
壱が言うと、ガイたちは「はい」「おー」とそれぞれ声を上げて、水遣りを続けた。
さて水遣りを終え、壱とノルド、そしてサユリは並んで各所を回る。
「本当にありがとうございます、イチくん、サユリさん。私はまだこの村に慣れきってはいませんので、助かります」
恐縮して言うノルドに、壱は否定する様に手を振った。
「俺もここに来てそんなに経って無いですから。サユリがいてくれるのが大きいと思います」
「ま、我がいたら話は早いカピよ。とりあえず今は、我の事は身分証明書と思ってくれたら良いカピ」
サユリのぶっきら棒な物言いに、ノルドはやはり腰が低い。
「はい、勿論サユリさんにも感謝しています。ありがとうございます」
これがノルドの人間性なのだと解ってはいる。壱はやや不安に思いつつ、だがこの村なら、それが良い様な気もする。
午前中は陶製工房などの工房を回る。軽い世間話をしつつ、順調に時間割りを埋めて。
食堂に戻って昼食を摂った後、午後からは畑や牧場を回る。
さて、その畑で、壱は欲しかったものを見付ける事になる。
畑の、それぞれの栽培物を巡っていた時の事。
朝食を作る度に、欲しいと思っていたもの。
それが青々と成っていた。
そこは玉ねぎ畑である。
それは玉ねぎが光合成をし、養分を蓄える為に必要な部分。太く厚く、天に向かって伸びている。
壱はつい、玉ねぎ畑をじっくりと見回る。すると、その青い部分の太さ、そして柔らかさはどうやら株によって様々。
壱の知識不足だった。玉ねぎの上部、土から出ている部分なんて、これまで考えた事が無かった。
壱はノルドと話をした後の、玉ねぎ担当の村人を捕まえる。
「あの、これ、玉ねぎの上に出てる葉っぱ、食べられるますか?」
すると玉ねぎ担当は首を捻る。
「食べられるぜ。じゃがいもの芽と違って毒は無いからな。でもここでは食べる事は無いな。硬いしよ。収穫する時に全部切り落として、後は畑の肥料になるぜ」
それは、厳密に言えば欲しかったものでは無い。だがそれにとても似たもの。まだ柔らかい内なら、充分その役割を果たしてくれる筈だ。
壱は考える。出ているそれをここから貰えば話は早い。
しかし玉ねぎが丸々と育つ頃に硬くなってしまったそれは、恐らく美味しく無い。だが柔らかい内に刈ってしまうと、多分玉ねぎの成長に影響が出る。
なら食堂の裏庭で地道に育てるか、もしくはサユリの魔法に頼るか。
出来るなら、ほぼ毎日使いたい。となると、確実なのは後者な訳だが。
今までの経験上、サユリの魔法に不可能も死角も無い様に思える。ならお願いするのも手かも知れない。
しかしあまりにもサユリに頼り切りではあるので、流石の壱もそろそろ遠慮するタイミングである様な気がする。
壱は玉ねぎ担当に訊いた。
「玉ねぎの種か苗を、幾つか譲って貰えませんか?」
すると玉ねぎ担当はきょとんとする。
「んん? 玉ねぎが欲しけりゃ、いつでもここに来たら良いのに。ま、譲るのは勿論良いけどさ」
玉ねぎ担当は畑の端に向かうと、苗を結構な株数掘り起こしてくれた。
「ほら。こんなもんで大丈夫か?」
「はい。ありがとうございます!」
壱は頭を下げて、苗を両手で受け取った。
「そこの小屋に袋があるから、使ってくれて良いぜ」
「ありがとうございます」
有り難く頂く事にする。指された小屋に入ると、新品の紙袋が積んであったので、1枚頂戴し、玉ねぎの苗を入れた。
これで益々美味しい朝食が食べられる。
壱がずっと欲しかったもの、それはネギなのだった。
「イチくん、みなさん、おはようございます。作業の途中ですいません。イチくん、本日はよろしくお願いします」
ノルドは言いながら、壱たちに深く頭を下げた。
「ノルドさん、おはようございます。もう少し待っててください」
壱は如雨露を傾けながら、首だけをノルドに向けて返事をする。
「こちらこそ、タイミングが悪くて申し訳無いです。ゆっくり作業をなさってください」
ノルドが笑顔で言うと、ガイが口を開く。
「こちらは大丈夫ですから、イチくん、ノルドさん、いえ、ノルド先生ですね、どうぞ行ってください」
「いえ、そんな訳には! ただでさえイチくんにはご足労いただくのですから、私は大丈夫です」
「いや、でも」
「いえ、本当に」
ガイとノルドの、壱の譲り合いになってしまった。こうなると壱が出るしか無い。
「ガイさん、俺、この水遣りはちゃんと参加したいんです。夕方はお任せしちゃってるんですから。ノルドさんすいません、少し待っててください。もうそんなに掛からないんで」
壱が真摯にそう言うと、ふたりは眼を見合わせて、納得した様に頷いた。
「解りました。イチくん、では続きをしましょう」
「はい、勿論。お待ちしますので。私が早く来過ぎてしまったのです。すいません」
「いえいえ。じゃあ、とっととやっちゃいましょう」
壱が言うと、ガイたちは「はい」「おー」とそれぞれ声を上げて、水遣りを続けた。
さて水遣りを終え、壱とノルド、そしてサユリは並んで各所を回る。
「本当にありがとうございます、イチくん、サユリさん。私はまだこの村に慣れきってはいませんので、助かります」
恐縮して言うノルドに、壱は否定する様に手を振った。
「俺もここに来てそんなに経って無いですから。サユリがいてくれるのが大きいと思います」
「ま、我がいたら話は早いカピよ。とりあえず今は、我の事は身分証明書と思ってくれたら良いカピ」
サユリのぶっきら棒な物言いに、ノルドはやはり腰が低い。
「はい、勿論サユリさんにも感謝しています。ありがとうございます」
これがノルドの人間性なのだと解ってはいる。壱はやや不安に思いつつ、だがこの村なら、それが良い様な気もする。
午前中は陶製工房などの工房を回る。軽い世間話をしつつ、順調に時間割りを埋めて。
食堂に戻って昼食を摂った後、午後からは畑や牧場を回る。
さて、その畑で、壱は欲しかったものを見付ける事になる。
畑の、それぞれの栽培物を巡っていた時の事。
朝食を作る度に、欲しいと思っていたもの。
それが青々と成っていた。
そこは玉ねぎ畑である。
それは玉ねぎが光合成をし、養分を蓄える為に必要な部分。太く厚く、天に向かって伸びている。
壱はつい、玉ねぎ畑をじっくりと見回る。すると、その青い部分の太さ、そして柔らかさはどうやら株によって様々。
壱の知識不足だった。玉ねぎの上部、土から出ている部分なんて、これまで考えた事が無かった。
壱はノルドと話をした後の、玉ねぎ担当の村人を捕まえる。
「あの、これ、玉ねぎの上に出てる葉っぱ、食べられるますか?」
すると玉ねぎ担当は首を捻る。
「食べられるぜ。じゃがいもの芽と違って毒は無いからな。でもここでは食べる事は無いな。硬いしよ。収穫する時に全部切り落として、後は畑の肥料になるぜ」
それは、厳密に言えば欲しかったものでは無い。だがそれにとても似たもの。まだ柔らかい内なら、充分その役割を果たしてくれる筈だ。
壱は考える。出ているそれをここから貰えば話は早い。
しかし玉ねぎが丸々と育つ頃に硬くなってしまったそれは、恐らく美味しく無い。だが柔らかい内に刈ってしまうと、多分玉ねぎの成長に影響が出る。
なら食堂の裏庭で地道に育てるか、もしくはサユリの魔法に頼るか。
出来るなら、ほぼ毎日使いたい。となると、確実なのは後者な訳だが。
今までの経験上、サユリの魔法に不可能も死角も無い様に思える。ならお願いするのも手かも知れない。
しかしあまりにもサユリに頼り切りではあるので、流石の壱もそろそろ遠慮するタイミングである様な気がする。
壱は玉ねぎ担当に訊いた。
「玉ねぎの種か苗を、幾つか譲って貰えませんか?」
すると玉ねぎ担当はきょとんとする。
「んん? 玉ねぎが欲しけりゃ、いつでもここに来たら良いのに。ま、譲るのは勿論良いけどさ」
玉ねぎ担当は畑の端に向かうと、苗を結構な株数掘り起こしてくれた。
「ほら。こんなもんで大丈夫か?」
「はい。ありがとうございます!」
壱は頭を下げて、苗を両手で受け取った。
「そこの小屋に袋があるから、使ってくれて良いぜ」
「ありがとうございます」
有り難く頂く事にする。指された小屋に入ると、新品の紙袋が積んであったので、1枚頂戴し、玉ねぎの苗を入れた。
これで益々美味しい朝食が食べられる。
壱がずっと欲しかったもの、それはネギなのだった。
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