異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜

山いい奈

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#41 トマトミートソースの作り方(コンソメのだしがら復活編)

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 壱はカリルに教えて貰いながら、トマトミートソース作りに取り掛かる。

「まず材料な。コンソメを作る時に使った出汁殼だしがらを使うんだ。それと牛肉とトマト。まずはトマトを角切りにするっと」

 カリルが冷蔵庫から出して来た真っ赤に完熟したトマトを、ふたり掛かりで切って行き、ボウルに入れておく。勿論皮の湯剥ゆむきはしない。

「次は牛肉をミンチにするぞ。手間が掛かるけど、頑張れ!」

 またふたり掛かりで、牛の塊肉かたまりにくを切って行く。まずは薄くスライスし、それを細い千切りにしてやって、次に微塵切みじんぎりにする様に切って行く。最後には2本の包丁を使って、刃で叩く様に切って行く。

 1度で大量に出来ないので、なかなか大変な作業だ。

「次は、コンソメをすんだ」

 カリルは棚から大鍋とそれに合うサイズのザル、そして布を取る。

「時間掛かるけど、濁らない様にレードルで静かにな。出汁だしに使った肉なんかも全部残さずだぜ」

 ふたり掛かりでコンソメの大鍋からレードルを使い、布を敷いたザルを置いた大鍋に丁寧に移して行く。

 ザルを持ち上げると、大鍋には澄んだコンソメが。これはこれからポトフになる。ザルに残ったのが出汁殼だしがらだ。

「ここから玉ねぎの皮を避けてっと」

 木べらで返しながら、玉ねぎの皮を丁寧に取り除く。これは味出しでは無く、色付けの為に入れている。

 また新たな鍋を出しコンロに掛けると、オリーブオイルとにんにくの微塵切りを入れて、弱火に掛ける。

「にんにくの香りが出るまで弱火でじっくり炒めてな」

 木べらを動かす。徐々にオリーブオイルが温まり、にんにくの回りにじわじわと小さな泡が沸いて来る。香りが立つまで時間はさほど掛からない。

「じゃあ、ここに牛肉とナツメグを入れて、ポロポロになる様に、しっかり炒めてな」

 ボウルに入れていた牛ミンチを鍋に入れ、ナツメグを振る。火力を少し上げたら木べらで切りながら混ぜて炒めて行く。赤い色の身が次第にベージュに変わる。

「炒まったか? じゃ、ここに出汁殼を入れてな」

 ザルを傾けて、出汁殼を鍋に移す。

 コンソメを作る為にブイヨンに入れるたねには、ミンチ状にした鶏肉、玉ねぎ、人参、セロリ、卵白を使う。

 それらをハンバーグや肉団子などを作る時の様に良くねて、ブイヨンに入れるのだ。

 旨味うまみが出てしまっていると思われがちだ。確かにスープにその旨味は移っている。だが同時に、出来たスープの旨味が出汁殻に含まれているのだ。なのでそれを使ってソースなどを作れば、コンソメの旨味も利用する事が出来る。

「牛ミンチと混ぜて、そこにトマトを入れるんだ」

 壱はまた木べらを動かす。混ざったら、トマトを入れて、また混ぜる。

「トマトをつぶす様にしてな。そうそう、巧い巧い」

 木べらを立てて、トマトを更に細かくして行く。勿論混ぜる事も忘れない。

 やがて鍋の端からくつくつと沸いて来ると、弱火に落とす。

「で、砂糖と塩と胡椒こしょうを入れて、と」

 また混ぜる。

「ローリエとオレガノを入れて、時々かき混ぜながら煮込むっと。そんな難しくねーだろ?」

「これって、ブイヨンの出汁殼使ってるから、少しは楽が出来てるって事なのかな」

「そーだな。いちから作るんだったら、野菜を微塵切りにして、肉のミンチももっとるなー。まぁコンソメ作る時に同じ作業してんだけど。これは、ブイヨンの出汁殼をムダにしない為に作る様になったんだってさ。本当に食べるものをムダにしないって凄げーよな」

「そうだな」

 下拵したごしらえの時に向いた野菜の皮は、ブイヨン作りに使われる。村人が丹精込めて育てた野菜たち。少しでも無駄にしない様に。

 それは恐らく、この村をおこした時からのものなのだろう。たった3人と1匹から初始めて、助け合って来た。

 森の恵みや海の恵みを頂き、やがて畑を作り、酪農らくのうを始め、それらの苦労を乗り越えて来た。なら食べ物を粗末そまつになんて、絶対にしなかっただろう。

 食べ物が豊富にあっても無くても、それはきっと人としても大事な事なのだろう。壱も良く母親に言われた。食べ物を粗末にしてはいけませんよ、と。食べ物を扱う商売をしているからこそ、余計に。
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