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#57 田んぼの作り方(その2、レンガの素材加工)
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朝食の鰹のタタキ定食を食べ終わり、茂造が洗う食器を壱が拭く。
その時、壱は呟く様に言った。
「じいちゃん、大変な事があるんだ」
「何じゃ?」
「米がもうすぐ無くなる」
「何と! それは一大事じゃ!」
壱はともかく、10年振りに米にありついた茂造。まだまだ食べ足りないだろう。
そんなふたりの会話をテーブルの上で聞いていたサユリが、何の気無しに言った。
「米が育つまでの間、我が増やしてやるカピ」
その台詞に、壱と茂造は勢い良く振り返った。恐らく眼が血走っていたのだろう、サユリがびくりと身体を揺らした。
「驚いたカピ。そんなに大事な事なのカピか?」
「そりゃあ大事じゃぞい。米は儂ら日本人の主食じゃ。小さな頃からほぼ毎日食べておったものじゃ。この世界に来て10年、やっと食べられる様になったのじゃから、出来るなら毎日でも食べたいぞい」
「俺が毎日味噌を食べたいのと同じだよな。解る」
壱は大きく何度も頷く。
「米も味噌も日本人に欠かせない食材だよ。それが食べられなくなるなんて耐えられない。じいちゃん本当に良く10年も我慢したね」
「どう足掻いても食べられないと解っていたからのう」
茂造は言いながら、深い溜め息を吐いた。
「じゃから諦めるしか無いと思っとったんじゃ。じゃがどうしても口には出てしまうでの。サユリさんが察してくれたんじゃのう、壱と一緒に持って来てくれたのは本当に嬉しかったんじゃ。そして壱が炊いてくれて、本当に本当に嬉しかったんじゃよ」
茂造がそう言い、眼を細めた。薄っすらと目尻が光った気がした。
「うんうん、俺もこの世界に大豆があるって知って、本当にほっとしたもんな。味噌の無い人生は人生じゃ無い」
「そこまでカピか」
「食事情は大事だよ、サユリ。食べ物の恨みは深いって聞くし、地獄には食べ物専用の地獄もあるって聞くし」
確か飢餓道と言った。詳しくは覚えていないが、飢えの地獄だったと思う。絶対に堕ちたく無い。
「この世界にはこの世界の死後の世界があるカピがな。ともあれお前たちの情熱は解ったカピ。まずは米を増やしてやるから、安心するカピ」
「ありがとうのう、サユリさん」
茂造が嬉しそうに頬を緩めた。
「壱はどうするカピ? 味噌増やすカピか?」
「んー……、増やしてもらった上で発酵が進まない様に時間魔法を掛けて貰うか、味噌を作る度に時間魔法を使って貰うの、どっちが楽?」
「前者カピ」
サユリは思案する事も無く応える。
「じゃあよろしく!」
「解ったカピ」
サユリはやや呆れた様に息を吐くと、しかし口角を上げる。
「確かに、食は大事だカピな」
米と味噌の確保が確実なものとなり、壱たちは嬉しくて笑みを浮かべた。
昼営業が終わり、少し休憩したら煉瓦作りの続きである。今回は昨日採掘して来た粘性の土と、骨材となる砂を混ぜる作業である。
壱が念の為に調べてみたところによると、煉瓦を作るには他にも混ぜなければならないものがあったと思う。だがこの村では、粘性の土と砂、そして硬さ調節の為の水があれば良いのだとか。
土が違うのだろうか。良くは判らないのだが。
ともあれ、また力仕事だ! と茂造に続いて厨房のドアから裏庭に出ようとすると、茂造が振り返る。
「おっと、うっかりしておった。壱には違う仕事を頼みたいんじゃ。紙工房で紙を貰って、チラシを書いて欲しいんじゃ」
「チラシ? 何の?」
「米農家募集のチラシじゃ。米を育てるとなると、やはり専業の人間が何人かはいるからのう。全職場に配るから、ええと」
茂造は考えながら指折り数える。
「13枚ほどかの。詳しい事はサユリさんに聞いてくれの」
「煉瓦は大丈夫なのか?」
「カリルとサントに頼んでおるし、昨日の男衆も来てくれるから大丈夫じゃ。じゃ、頼むぞい」
「ん、解った」
壱は踵を返すと厨房からフロアに行き、表の入り口から外に出る。足元にはサユリも付いて来ていた。
「紙工房で紙を貰うって、サイズとかは?」
「大丈夫カピ。茂造の使いでチラシ用を貰いに来たと言うと出してくれるカピ」
「そっか。じゃあとりあえず行ってみよう」
そして少し歩き、着いた紙工房を覗いた。
その時、壱は呟く様に言った。
「じいちゃん、大変な事があるんだ」
「何じゃ?」
「米がもうすぐ無くなる」
「何と! それは一大事じゃ!」
壱はともかく、10年振りに米にありついた茂造。まだまだ食べ足りないだろう。
そんなふたりの会話をテーブルの上で聞いていたサユリが、何の気無しに言った。
「米が育つまでの間、我が増やしてやるカピ」
その台詞に、壱と茂造は勢い良く振り返った。恐らく眼が血走っていたのだろう、サユリがびくりと身体を揺らした。
「驚いたカピ。そんなに大事な事なのカピか?」
「そりゃあ大事じゃぞい。米は儂ら日本人の主食じゃ。小さな頃からほぼ毎日食べておったものじゃ。この世界に来て10年、やっと食べられる様になったのじゃから、出来るなら毎日でも食べたいぞい」
「俺が毎日味噌を食べたいのと同じだよな。解る」
壱は大きく何度も頷く。
「米も味噌も日本人に欠かせない食材だよ。それが食べられなくなるなんて耐えられない。じいちゃん本当に良く10年も我慢したね」
「どう足掻いても食べられないと解っていたからのう」
茂造は言いながら、深い溜め息を吐いた。
「じゃから諦めるしか無いと思っとったんじゃ。じゃがどうしても口には出てしまうでの。サユリさんが察してくれたんじゃのう、壱と一緒に持って来てくれたのは本当に嬉しかったんじゃ。そして壱が炊いてくれて、本当に本当に嬉しかったんじゃよ」
茂造がそう言い、眼を細めた。薄っすらと目尻が光った気がした。
「うんうん、俺もこの世界に大豆があるって知って、本当にほっとしたもんな。味噌の無い人生は人生じゃ無い」
「そこまでカピか」
「食事情は大事だよ、サユリ。食べ物の恨みは深いって聞くし、地獄には食べ物専用の地獄もあるって聞くし」
確か飢餓道と言った。詳しくは覚えていないが、飢えの地獄だったと思う。絶対に堕ちたく無い。
「この世界にはこの世界の死後の世界があるカピがな。ともあれお前たちの情熱は解ったカピ。まずは米を増やしてやるから、安心するカピ」
「ありがとうのう、サユリさん」
茂造が嬉しそうに頬を緩めた。
「壱はどうするカピ? 味噌増やすカピか?」
「んー……、増やしてもらった上で発酵が進まない様に時間魔法を掛けて貰うか、味噌を作る度に時間魔法を使って貰うの、どっちが楽?」
「前者カピ」
サユリは思案する事も無く応える。
「じゃあよろしく!」
「解ったカピ」
サユリはやや呆れた様に息を吐くと、しかし口角を上げる。
「確かに、食は大事だカピな」
米と味噌の確保が確実なものとなり、壱たちは嬉しくて笑みを浮かべた。
昼営業が終わり、少し休憩したら煉瓦作りの続きである。今回は昨日採掘して来た粘性の土と、骨材となる砂を混ぜる作業である。
壱が念の為に調べてみたところによると、煉瓦を作るには他にも混ぜなければならないものがあったと思う。だがこの村では、粘性の土と砂、そして硬さ調節の為の水があれば良いのだとか。
土が違うのだろうか。良くは判らないのだが。
ともあれ、また力仕事だ! と茂造に続いて厨房のドアから裏庭に出ようとすると、茂造が振り返る。
「おっと、うっかりしておった。壱には違う仕事を頼みたいんじゃ。紙工房で紙を貰って、チラシを書いて欲しいんじゃ」
「チラシ? 何の?」
「米農家募集のチラシじゃ。米を育てるとなると、やはり専業の人間が何人かはいるからのう。全職場に配るから、ええと」
茂造は考えながら指折り数える。
「13枚ほどかの。詳しい事はサユリさんに聞いてくれの」
「煉瓦は大丈夫なのか?」
「カリルとサントに頼んでおるし、昨日の男衆も来てくれるから大丈夫じゃ。じゃ、頼むぞい」
「ん、解った」
壱は踵を返すと厨房からフロアに行き、表の入り口から外に出る。足元にはサユリも付いて来ていた。
「紙工房で紙を貰うって、サイズとかは?」
「大丈夫カピ。茂造の使いでチラシ用を貰いに来たと言うと出してくれるカピ」
「そっか。じゃあとりあえず行ってみよう」
そして少し歩き、着いた紙工房を覗いた。
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