【アラウコの叫び 】第4巻/16世紀の南米史

ヘロヘロデス

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「終結!ハキハワナ」

第159話「アンデスの悪魔は生き続ける」

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センテノはハキハワナの戦が終結してから、
何度も戦で煮湯を飲まされ続けたカルバハルにすら
敬意を表するアピールをしていた。

センテノは、カルバハルの所業から
どんな事をしようとも死刑になるのが分かっていた。

しかし、センテノは度量の大きさを見せようと、
カルバハルに対して寛大な処置を求める様にと
上申していた。

カルバハル「しかし、頭が良過ぎるのも考えものですな。」

センテノ「な、なんの話をしておるのだ?」

カルバハル「ワシは今まで何事にも怒りを覚えた事はありませぬ。
理解できない事などなく、何事にも対処出来たもので。
今ならばとも思ったのですが、
自ら作り上げた状況ではどうやらダメな様です。
ワシも一度で良いから怒りを体験してみたかった。」

センテノはカルバハルに返す言葉なく、
そそくさとその場を後にした。


カルバハルは死の際まで皮肉を言いながら
楽しげにして生涯を終えた。

ポゾ神父「神はあなたを赦します。
心を開き、神の愛を受け入れてください。
自分の罪を悔い改め、神の前で心を清めましょう。
死は終わりではなく、新たな始まりです。
神のもとで永遠の平安を見つけてください。」

カルバハル「ただ殺されるだけなんじゃが。
この会話は何の役に立つのですかな?
ワシの良心に重くのしかかるものなんぞ
何もないんですがのぅ。
強いて言うなら・・セビリアの店主に半レアルの借金を
していたのを忘れておった事ぐらいですかな。」

メルカド「な、なんたる不届者よ・・」

センテノはただ無感情で呆然とカルバハルを眺めていた。

コルドバ「一時とは言え、
この様な者の傘下に入っていたなど
某の一生の不覚・・」

カルバハルは極悪な所業から人々の溜飲を下げる為に、
絞首刑の前に辱めを受ける事になった。

カルバハルは狭い籠に押し込められると、
馬に引かずられ人々の晒し者にされた。

兵士「良い気味だ、クソジジイめ!
自身の惨めさをたっぷり味わってこい!!」

カルバハルは兵士の言葉に、特に反応する事はなかった。

馬が走り出し籠が引きずられだすと、
カルバハルは突如、陽気に歌い出した。

「ヒョッホぅ!!
赤ん坊の~揺り籠や~🎵
そして今やぁ、老人の揺り籠よぉ~🎶」

「ま、まるで・・アンデスの悪魔よ・・」
人々はカルバハルの信じ難い狂気じみた振る舞いに
人外の恐ろしさを感じ、嘲笑うどころか、
ただただ戦慄した。

カルバハルの視線の先にはブロンドの髪の少女の姿があった。

カルバハルは泥だらけの顔をそちらに向けてニッコリ微笑んだ。

レモンはカルバハルを見ている様で
その存在にすら気付いていない
その様な眼差しで、その場に佇んでいた。

バルディビア「最後まで変わらぬご老人よ。」

引き回しが終わり刑が執行された。

結局カルバハルの首は切断される事になり、
リマの門でパイクで串刺しにされた
ゴンサロの首の隣で同様に晒し首となった。

そしてカルバハルは死してなお、
人々の心を蝕み続けた・・

その後リマの住民、特に老女達は
〈アンデスの悪魔〉の名が挙がる度に、
その都度十字を切っていたと言われている。




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