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「純白のドレス」
第161話「メンシアのワイン」
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-1549年10月28日 クスコ市庁舎-
「メンシア・デ・ロス・ニドス、只今到着しました。」
ベニート「よく来たな。
クスコでの暮らしに不自由はないか?」
ハキハワナの戦いを前に政府側についた功績により、
有力者のベニート・スワレス・デ・カルバハルは、
その年の9月にクスコ市長兼司法長官に任命されていた。
メンシア「はい、お陰様で。」
「メンシアよ。
これからも遠慮なく私を頼ってくれ。」
そう言うとベニートはメンシアの手を両手で握りしめた。
メンシア「ありがとうございます。」
ベニート「お前も年頃の女。
あんな事もあり、1人で生きてゆくのは
辛いであろう。」
メンシア「いえ、今も変わらず私の中で兄さまは生き続けております。」
「そうか。
誰かよいひとはおらぬ様だな。」
そう言うとベニートは2つグラスを手に取り、
テーブルに置いた。
ベニート「良いワインが手に入ってな。」
メンシアはベニートの落ち着いた口調の中にも、どこか嬉々としている雰囲気を感じた。
ベニート「そう、丁度お前の名と同じ地名、
メンシア産の上物だそうだ。
一杯付き合ってくれぬか?」
メンシア「私でよければ。」
ベニート「私も市長になり立場のある身、なかなか心を許せる者がいなくて寂しい日々なのだ。」
そう言うとベニートは、赤黒いワインをグラスに注いだ。
ベニート「ここからでも、すみれの香りがするであろう?
それにラズベリーにバニラと様々なものが加わった逸品よ。
女のお前でもきっと気にいると思うぞ。」
ベニートはメンシアにグラスを渡した。
ベニート、メンシア「サルー。」
2人はグラス重ね、お互いの目を合わせると
ワインに口をつけた。
ベニート「せっかくだ、こちらで飲もう。」
メンシアはベニート共にバルコニーに出た。
ベニート「どうだ?
市長室から眺める景色はなかなか絶景であろう?」
メンシアはクスコを一望できる夜景を眺めた。
ベニート「気品のある香り聡明な味わい。
しかし、舌で転がせば濃厚な味わいが押し寄せてくる。
気に入ってもらえたか?」
メンシア「美味しゅうございます。」
ベニート「気品があって聡明、メンシア種は
正にお前の様であるな。
よりお前を知る事が出来れば、
このワインの様に濃厚な側面があるのかのぅ。」
少しの沈黙の後、メンシアは口を開いた。
「いえいえ、私など・・
日々を生きるのにやっとです。」
ベニートはメンシアの腰に手を回した。
「メンシア・デ・ロス・ニドス、只今到着しました。」
ベニート「よく来たな。
クスコでの暮らしに不自由はないか?」
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ベニート「お前も年頃の女。
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