【アラウコの叫び 】第2巻/16世紀の南米史

ヘロヘロデス

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傑物の交錯

第61話「双璧のフランシスコ」

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-サンティアゴ-

 
サンティアゴではその頃、華やかな酒宴が開かれていた。
 
「ビジャグラ殿、此度はこの様な酒宴に呼んでいただき有難うございます。」
男の名はフランシスコ・デ・アギーレといい、傑物と評される人物である。
 
彼は知性と教養に溢れ
かつ由緒正しい家柄の貴族であった。
 
アギーレが話しかけた男は、沢山の女性を侍らせていた。
 
男は手を上げ女性たちに席を外させた。
「こちらこそ、アギーレ殿が私の酒宴に来て頂けて光栄です。」
 
男はこの酒宴の主催者でフランシスコ・デ・ビジャグラといった。

名門ビジャグラ家の出身であり、その中でも特に傑出していると評判の人物である。
 
アギーレとビジャグラの名は奇しくも同じフランシスコだった。
 
彼らはバルディビアからの信頼が厚く、
「双璧のフランシスコ」としてバルディビア勢力に箔を付けていた。
 
アギーレ「現在ペルーは非常に複雑な状況ですな。」
 
ビジャグラ「いかにも。もし運命の糸が違えていたなら、我等は争う事になっていたかもしれません。」
 
アギーレ「ゴンサロ殿を救出後、ロハス殿と同行していなければ、ワシも反政府軍として戦っていたやもしれぬ。」
 
ビジャグラン「むしろ私はラス・サリナスで敗軍の将となりゴンサロ殿に処刑されかけてましたからね。
その後、紆余曲折を経てロハス殿が貴方と引き合わせてくれました。」
 
アギーレ「ロハス殿はその後北へ、貴方とワシは南へ、そしてワシらはバルディビア様とアタカマで落ちあった。」
 
ビジャグラ「結果として、私達はペルーの複雑な抗争から蚊帳の外にいる。」
 
アギーレ「運命とは分からないものですな。」

2人は盃を合わせ、乾杯した。
 
アギーレ「所で、従甥のガブリエル殿がヌニェス殿の軍に加わっておるとか。」
 
ビジャグラ「お耳が早いですな。
あやつは正義感に溢れ、血気盛んな所があって、ほとほと困っております。」
 
アギーレ「それはご心配でしょう。
しかも、今ゴンサロ殿の側近にはあのフランシスコ・デ・カルバハル殿がおられる。」
 
ビジャグラ「なんと!あの老人が・・
ヌニェス殿の軍は危ういかもしれませぬな。」
 
アギーレ「現在、バルディビア様は両勢力の争いには中立の立場におられる。」
 
ビジャグラ「適切な対応だと思います。
ガブリエルの事は気がかりですが、武運を祈るしかございませぬ。」
 
アギーレ「心中お察しします。」
 
ビジャグラ「しかし、ここ数年は本当に目まぐるしかったですね。
アルマグロ様が処刑されたかと思いきや、今度はピサロ様が暗殺されるという事態。」
 
アギーレ「暗殺首謀者のエルモソ様ももはやこの世にはいない。」
 
ビジャグラ「アルマグロ様達は戦に敗れて処断されたのは分かるのですが、ピサロ様の暗殺は不可解でしたね。
警備も厳重だったはずなのに。」
 
アギーレ「どうやら凄腕の暗殺者が送り込まれたという噂がある様です。」
 
 
ビジャグラン「ほう・・
して、その者は今はどうしておるのですか。」
 
アギーレ「エルモソ様が処刑された際に、行方を眩ましたと聞いております。」
 
 
 
-1541年 リマ-

「ピサロ様どういたしましたか?」
 
「く、黒い影・・」
そう言い残しピサロは息絶えた。
 
衛兵の目に人影が一瞬映り消えた。
「何奴?!」
 
衛兵が扉の外に出ると、緑の布を羽織る小柄な者が走っている姿が見えた。

「待て!
誰か、その者を捕まえろー!」
 
衛兵達は怪しい出立の者を追跡したが見失ってしまった。
 
「ん?どこへいった?」
 
バタ、バタ、バタ
 
突如、衛兵達は眠る様に一人一人倒れていった。
 
 
 
⚫️相関図
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