33 / 42
暗殺者
第64話「便利と支配」
しおりを挟む
カスティニャダ「まあ、聞け。
例えば生きるものの本懐ってのが、同胞を増やすことであるならば、コイツらに人間達は支配されていると考えられなくないか?」
「え・・?」
ロレンツォはますます怪訝そうな顔をしている。
「カスティニャダさんの言ってることはなんとなく分かります、私は農民の出なので。」
エレロがカスティニャダ達の会話に混ざってきた。
「またまた、エレロさんは調子がいいんだから・・」
ロレンツォはエレロにさらに怪訝そうにして顔を向けた。
エレロ「小麦というのは、植物の中でも貧弱な存在なんですよ。
だから一生懸命世話してやらないと、彼らはたちまちこの世から姿を消していたかもしれません。」
ロレンツォ「小麦に彼らって・・相変わらず頭おかしいですね。」
エレロはにっこり微笑んだ。
「それが今や人間がせっせと彼らの繁栄を手助けして、たちまち世の中に溢れています。
そういう意味では、人間は小麦の奴隷なのかもしれませんね。」
ロレンツォ「それは牛だって同じじゃないですか?
けれど、いくら牛が増えたって、牛は僕たちに食べられる為に生まれてきてますよ?
そんな存在ってどうなんですか?」
カスティニャダ「確かにそうなんだがな。
もちろん喰われるのは勘弁してほしいが、今の人間だって惨めに見える時がある。」
ロレンツォ「?
ヤナコナ達の気持ちになって何か考えてるんですか?」
カスティニャダ「いや、ヤナコナは人間ではないだろう。
例えば、多くのものを支配している我々でさえ、時間や未来の奴隷なのではないかと思うときがある。」
エレロ「こんな話がありますね。
狩りのみをして暮らしている人たちに比べて、畑を耕している者の方が労働に費やす時間が格段に多いと聞いたことがあります。
農耕を覚え未来への計算がより出来る様になり、逆に時間に追われる様になったと。」
カスティニャダ「航海中は特に良かった。
待ち望んでいる手紙も、煩わしい手紙も届かない。
地上でいるのと違い、単独で何処かに行くことも出来ない。」
エレロ「海上では、様々な事を諦めなくてはなりませんからね。
不自由ゆえに縛られないってとこですかね。」
ロレンツォ「2人とも何を言ってるんです?
待ち望んでる手紙なら早く受け取りたいじゃないですか?」
カスティニャダ「例えば、技術が進歩し、はるか遠くの地とすぐに連絡が取れる様になったらどうする?」
ロレンツォ「便利で快適じゃないですか?
使わない手はないですよ!」
カスティニャダ「そう便利なものは使わずにいられない。
そしてより多くの事を気にかける様になる。
そんな世の中は、結果的に窮屈だと思うがな。」
ロレンツォ「そんな事言って、便利な事は取り入れていかないと、時間よりも前に誰かに支配されちゃいますよ。」
カスティニャダ「まあ、知ってしまった者は取り入れていくしかないんだろうな。」
ロレンツォ「そうですよ。
考えたとこで何も変わらない話より、今に目を向けましょうよ。」
カスティニャダ「そうだな。
ん?黄色い花が見えてきたな。」
例えば生きるものの本懐ってのが、同胞を増やすことであるならば、コイツらに人間達は支配されていると考えられなくないか?」
「え・・?」
ロレンツォはますます怪訝そうな顔をしている。
「カスティニャダさんの言ってることはなんとなく分かります、私は農民の出なので。」
エレロがカスティニャダ達の会話に混ざってきた。
「またまた、エレロさんは調子がいいんだから・・」
ロレンツォはエレロにさらに怪訝そうにして顔を向けた。
エレロ「小麦というのは、植物の中でも貧弱な存在なんですよ。
だから一生懸命世話してやらないと、彼らはたちまちこの世から姿を消していたかもしれません。」
ロレンツォ「小麦に彼らって・・相変わらず頭おかしいですね。」
エレロはにっこり微笑んだ。
「それが今や人間がせっせと彼らの繁栄を手助けして、たちまち世の中に溢れています。
そういう意味では、人間は小麦の奴隷なのかもしれませんね。」
ロレンツォ「それは牛だって同じじゃないですか?
けれど、いくら牛が増えたって、牛は僕たちに食べられる為に生まれてきてますよ?
そんな存在ってどうなんですか?」
カスティニャダ「確かにそうなんだがな。
もちろん喰われるのは勘弁してほしいが、今の人間だって惨めに見える時がある。」
ロレンツォ「?
ヤナコナ達の気持ちになって何か考えてるんですか?」
カスティニャダ「いや、ヤナコナは人間ではないだろう。
例えば、多くのものを支配している我々でさえ、時間や未来の奴隷なのではないかと思うときがある。」
エレロ「こんな話がありますね。
狩りのみをして暮らしている人たちに比べて、畑を耕している者の方が労働に費やす時間が格段に多いと聞いたことがあります。
農耕を覚え未来への計算がより出来る様になり、逆に時間に追われる様になったと。」
カスティニャダ「航海中は特に良かった。
待ち望んでいる手紙も、煩わしい手紙も届かない。
地上でいるのと違い、単独で何処かに行くことも出来ない。」
エレロ「海上では、様々な事を諦めなくてはなりませんからね。
不自由ゆえに縛られないってとこですかね。」
ロレンツォ「2人とも何を言ってるんです?
待ち望んでる手紙なら早く受け取りたいじゃないですか?」
カスティニャダ「例えば、技術が進歩し、はるか遠くの地とすぐに連絡が取れる様になったらどうする?」
ロレンツォ「便利で快適じゃないですか?
使わない手はないですよ!」
カスティニャダ「そう便利なものは使わずにいられない。
そしてより多くの事を気にかける様になる。
そんな世の中は、結果的に窮屈だと思うがな。」
ロレンツォ「そんな事言って、便利な事は取り入れていかないと、時間よりも前に誰かに支配されちゃいますよ。」
カスティニャダ「まあ、知ってしまった者は取り入れていくしかないんだろうな。」
ロレンツォ「そうですよ。
考えたとこで何も変わらない話より、今に目を向けましょうよ。」
カスティニャダ「そうだな。
ん?黄色い花が見えてきたな。」
30
あなたにおすすめの小説
【アラウコの叫び 】第1巻/16世紀の南米史
ヘロヘロデス
歴史・時代
【毎日07:20投稿】 1500年以降から300年に渡り繰り広げられた「アラウコ戦争」を題材にした物語です。
マプチェ族とスペイン勢力との激突だけでなく、
スペイン勢力内部での覇権争い、
そしてインカ帝国と複雑に様々な勢力が絡み合っていきます。
※ 現地の友人からの情報や様々な文献を元に史実に基づいて描かれている部分もあれば、
フィクションも混在しています。
また動画制作などを視野に入れてる為、脚本として使いやすい様に、基本は会話形式で書いています。
HPでは人物紹介や年表等、最新話を先行公開しています。
公式HP:アラウコの叫び
youtubeチャンネル名:ヘロヘロデス
insta:herohero_agency
tiktok:herohero_agency
【アラウコの叫び 】第3巻/16世紀の南米史
ヘロヘロデス
歴史・時代
【毎週月曜07:20投稿】
3巻からは戦争編になります。
戦物語に関心のある方は、ここから読み始めるのも良いかもしれません。
※1、2巻は序章的な物語、伝承、風土や生活等事を扱っています。
1500年以降から300年に渡り繰り広げられた「アラウコ戦争」を題材にした物語です。
マプチェ族とスペイン勢力との激突だけでなく、
スペイン勢力内部での覇権争い、
そしてインカ帝国と複雑に様々な勢力が絡み合っていきます。
※ 現地の友人からの情報や様々な文献を元に史実に基づいて描かれている部分もあれば、
フィクションも混在しています。
動画制作などを視野に入れてる為、脚本として使いやすい様に、基本は会話形式で書いています。
HPでは人物紹介や年表等、最新話を先行公開しています。
公式HP:アラウコの叫び
youtubeチャンネル名:ヘロヘロデス
insta:herohero_agency
tiktok:herohero_agency
M性に目覚めた若かりしころの思い出
kazu106
青春
わたし自身が生涯の性癖として持ち合わせるM性について、それをはじめて自覚した中学時代の体験になります。歳を重ねた者の、人生の回顧録のひとつとして、読んでいただけましたら幸いです。
一部、フィクションも交えながら、述べさせていただいてます。フィクション/ノンフィクションの境界は、読んでくださった方の想像におまかせいたします。
M性に目覚めた若かりしころの思い出 その2
kazu106
青春
わたし自身が生涯の性癖として持ち合わせるM性について、終活的に少しづつ綴らせていただいてます。
荒れていた地域での、高校時代の体験になります。このような、古き良き(?)時代があったことを、理解いただけましたらうれしいです。
一部、フィクションも交えながら、述べさせていただいてます。フィクション/ノンフィクションの境界は、読んでくださった方の想像におまかせいたします。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~
bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる


