【アラウコの叫び 】第2巻/16世紀の南米史

ヘロヘロデス

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第69話「変転」

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「貴方がロレンツォ殿ですね。」
 
ボトッ
 
「私どもの傘下へ入るつもりはありませんか?」

ロレンツォの剣は、キロガの喉元でピタリと止まった。
 
ロレンツォ「私をご存知で?」
 
キロガ「お噂はかねがね。
私はバルディビア様に仕えるキロガという物です。」
 
ロレンツォ「キロガさん?」
 
ロレンツォは先程までの研ぎ澄まされた表情から一変して、子供の様な顔でキロガに話しかけた。
「あの有名なロドリゴ・デ・キロガ殿ですか?!
カスティニャダさーん!!」
 
しかし、カスティニャダの耳にはロレンツォの声は届かなかった。
 
視界の悪い中での集団と集団の衝突で、大声を上げた所で誰も振り向きもしなかった。
 
キロガ「困りましたねぇ。
今、あのご婦人とやり合ってるのがカスティニャダ殿ですね。」
 
ロレンツォ「おっしゃる通りです。
私どもも貴方がたに加わりたいと思い馳せ参じました。」
 
キロガ「私も貴方がたを仲間にしたいと思っていました。
ただ、今カスティニャダ殿とやりあってるご婦人は、集中してしまうと周りが見えなくなってしまいます・・」
 
 
ガン!ゴッ!ガガッ!
 
カスティニャダ(こやつはいつになったら攻撃の手が緩むのだ?
この剣は・・)
 
カスティニャダは攻撃を捌きながら、イネスの剣の綻びに気付いた。

カスティニャダ(狙ってみるか・・)
 
カスティニャダは、イネスの剣へダメージを与える様に防ぎ始めた。
 
イネスは襲って来た時と同じ覇気を保ちながら、変わらずカスティニャダに剣を猛烈に打ち込んでゆく。
 
ガン、ゴ、ガン、ゴッ、ガツ・・
 
カスティニャダ(そろそろ行けるか?)
 
ガキン!!

イネスの剣の先端が折れ、宙を舞った。
 
カスティニャダはそのまま、イネスに牽制のつもりで剣を向けようとした。
 
その時、馬車の中で寝ていたアマルが、異質な空気を感じピクリと動いた。
 
ゴガッ・・
 
暗闇の中からさらに濃い影が、カスティニャダの剣を重い一撃で弾いた。
 
カスティニャダ(この衝撃と空気感・・覚えがある・・)
 
イネスの傍から大きな人影が浮かび上がり、カスティニャダまで伸びて来た。

カスティニャダ「お、おまえは・・」
 
異質な空気を纏う者が突如現れ、人だけでなく、ありとあらゆるものが硬直した。
 
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