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総督の宣言
第132話「四人の権力者」
しおりを挟む-1547年12月6日バルパライソ港-
バルディビア「留守は頼んだぞ、フランシスコよ。」
バルディビアは決意を固め、
側近の者たちを連れペルーへ向かった。
同行したのは、アルデレテ、オロ、カセレス、ポゾ神父、他使用人などを合わせて8名である。
バルディビアは、ガスカとゴンサロの争いが
戦らしい戦にはならないと踏み、
自ら少人数でガスカのもとを訪れることを選んだ。
留守の間、チリ総督代理が誰になるかは話題の種となった。
本来ならば、バルディビアの最も信頼出来る者であるヘロニモ・デ・アルデレテが代理としては順当な位置ではある。
しかし、ガスカへの忠誠を示す為、
かつバルディビアとしては、
ガスカとアルデレテをこの機会に引き合わせておきたいという考えもあり、共にペルーへ向かわせる事になった。
また、これだけ少人数で向かうという事は、
チリの現状にそれだけ人員を割かなくてはいけない事を
政府に強く印象づける狙いもあった。
そしてバルディビアとしては、
せめて自身を含め、腹心だけでガスカに会いに来たという覚悟を示す目論見もあった。
そうなると地位や権力、統率力、資質の点で、
ある4人の者が適任者として噂された。
1人は、フワン・ゴメス・デ・アルマグロ《都の統治者》と呼ばれる程影響力のある人物で、チリの(※注1)マセ・デ・カンポ兼、(※注2)アルグアシル・マイヨールである。
もう1人は、サンチョ・デ・ラ・ホスというフランシスコ・ピサロの秘書をやっていた人物でアタワルパの身代金の分配など財政面で力を発揮し、スペイン宮廷にも顔が効く人物である。
そして、《双璧のフランシスコ》と呼ばれる2人のフランシスコの4人が有力視されていた。
最終的にバルディビアが選んだのは、
フランシスコ・デ・ビジャグラであった。
一方、フランシスコ・デ・アギーレに関しては、
先立ってビジャグラを代理としてバルディビアへ強く推していた。
当主がピサロ一族討伐へ向かう留守の間、
ピサロ派の者がチリを統括するとなると
良からぬ事を考える者が出るやもしれぬ、
と予めアギーレはバルディビアへ伝えていた。
ただ、フランシスコ・デ・ビジャグラは野心に溢れる人物と捉える者も多く、
サンティアゴに残されたバルディビアの直属の配下だけでなく、様々な派閥の幾人かは、この抜擢を不安視していた。
たった8名でペルーへ渡ったバルディビアの豪快さは
彼ならではのカリスマ性ではあるが、
仮にその間にクーデターでも起きれば
多くの者が謀叛人に吸収される事になる。
そしてチリ全土を巡りペルー同様、血みどろの内紛に突入する事になるだろう。
-サンティアゴ教会
聖堂内には告解室と呼ばれる
扉が二つ付いた小部屋があった。
そこへ1人の司祭が入っていった。
名をフワン・ロボといい、聖職者とは思えぬほど
筋骨隆々な恵まれた体格をしていた。
サンティアゴ周辺の戦で武器を手に取り
戦った事もあるが、バルディビアは
その軍事行動には触れる事はなかった。
さらにバルディビアは
原住民の改宗者と教会の管理者として
皇帝へ推薦する程、彼を贔屓していた。
ロボ司祭「さて、今日も迷える子羊の告白を聞きましょう。」
1人の男が聖堂へ立ち寄り、告解室へ入っていった。
ロボ司祭(この方は・・)
彼は自身の抱える問題を告白した。
「あなたの罪を許します。
神と精霊と父の名に於いて・・」
(※注1)マセ・デ・カンポは、陸軍司令官の様な役職であり、国王から報酬を受けた8人のアルバラデロス(ハルバートを担ぐ護衛)が常に側にいた。
(※注2)アルグアシル・マイヨールは、保安長官の様なもので、法と秩序を維持するための重要な役職だった。日々の裁判に出席し、逮捕命令を執行する責任があった。
細かく禁止事項も決められており、囚人から賄賂を受け取る、規定とは異なる方法で逮捕、理由もなく被拘禁者を釈放する事など、務める者には厳格な人物が求められた。
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