【アラウコの叫び 】第3巻/16世紀の南米史

ヘロヘロデス

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キラクラの戦い/漆黒の四騎士②

第89話「威風老翁」

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-バルディビア軍前線左翼-
セペダ「思ったより、やつら動揺してませんね・・」

アロンソ「この新天地においてカラコール兵にここまで動揺しない原住民は初めてですね。」

1人のヤナクナが2人の会話に入ってきた。

ニナ「失礼します。お話してもよろしいでしょうか?」

アロンソ「許可する。」

ニナ「今対峙している群れは、おそらくマプチェ族です。
ここより南の地には、大きな獣が多数生息しおります。
なので馬にも臆する事がないのかと思われます。
かつ、インカ帝国よりはるかに規模が小さいにも関わらず果敢に抗ってきた民族でもあります。」

アロンソ「して、マプチェ族というのは戦闘能力も高いのか?」

ニナ「個々として突出した者も何人かいますが、
何より集団として団結力が秀でております。
我々がマプチェ族と戦う場合は、常に3倍の兵力で当たらざるをえませんでした。」

セペダ「ふーん。通りでガスパル様たちが、凄みが!凄みが!とか言ってる訳だ。
けれど、確実にあちらの兵は減ってきてるし、このままカラコール兵で削っていっても良さそうですがね。」

アロンソは一呼吸置き、口を開いた。
「セペダ殿、念の為貴君の軍を
前線付近まで上げておいて下され。」

「かしまりました。」
思わずセペダは、アロンソの威厳のある言葉に一つ返事で頷いてしまっていた。

セペダ(て、え?!
アロンソ様は何を警戒してるんだ?
いちいちあそこまで移動するの面倒だな・・)

セペダはトボトボと前線に移動していった。


-マジョケテ軍前線右翼-

ガルバリノ「いいか、おまえら。
じいさんが矢を射かけたら、手筈通り頼むぞ。」

ガルバリノ兵「へい。
面白い事になりそうでさー。」

ガルバリノ「そうだ。
じいさんに壮観な景色を見せてやろうぜ!」

ガルバリノ兵「ミジャラプエさんの度肝を抜いてやりしょうや。
ほんと兄貴は、人を驚かせるのが好きですな。」

ガルバリノ「まあ、老い先短い
敬愛するじいさんへの贈り物さ!」

遠くからミジャラプエが声を張り上げた。
「ガルバリノよ!
そろそろ初めるぞ!」

ガルバリノ「あいよー」

ドン、ドン、ドン

前線では変わらずカラコール兵が、
次々と標的を殲滅していた。
まるで、巨大カタツムリがのしのしと
前線を押し上げている様に。

スペイン兵「カラコール兵のおかげで、
うちらは何もしなくて済みそうだな。
後は傷ついたらやつらを処理するだけかな。」

セペダ(そうなんだよな。今回アロンソ様側に来てラッキーって思ってたんだけど。
戦狂いのあの2人と違って、無駄な事はしないアロンソ様と一緒ならいつもはほぼ仕事しなくて済むのに・・まあ、軽く用心だけはしておくか。」

セペダはおもむろにマプチェ陣営を見つめた。
(ん?なんだあの爺さん・・やけに堂々してるな。
向こうの大将かなんかか?
矢でも射掛けてみるか?
さっさと今日の仕事が終わるかもしれないな。)

ザワザワ

「何だあの爺さん??」

セペダの周りの兵たちも勇壮に佇む老人の様相に
注目し始めた。

セペダ(周りのやつらは今頃気づいたか、もう遅い。手柄だけは頂かせてもらう。)
ミジャラプエへに向かって矢を構えた。

ミジャラプエ「殺気を感じるのぅ。
随分遠くからでワシの目には見えなくてが、分かるぞい。
ワシを狙ってるものがおるわ。」

ドドドドッ

変わらず旋回しているカラコール兵たちの起点となるものに、ミジャラプエは気持ちの照準を合わせた。

「もうすぐじゃな。」
ミジャラプエは矢を2つ番えて準備に入った。

ビュッ!

「貰った!!」
セペダの矢は真っ直ぐにミジャラプエの眉間を目掛けて飛んでいる。
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