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第三章 第五節 エンマアイの記憶
第641話 いったい全体、なにが起きているのだ!
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「いったい全体、なにが起きているのだ!」
ウルスラ・カツエ大将は怒鳴った。だれに向けたものでもないと同時に、全員に向けたものでもあった。見苦しいとわかっていたが、叫ばずにはいられなかった。
これだけの凶事が続けざまに起きたのでは、冷静でいられるほうがどうかしている。
デミリアンが足どめされ調査にでかけたところで、亜獣が出現し兵士が喰われたというのに、本部には魔法少女が出現し、おおいなる混乱がおきている。
そこへもう一体の亜獣の出現——。
すでに出現したことのあるイオージャではない、姿形がちがう二体の未知の亜獣。それが箱根方面と熱海方面の両側に一度に出現した。
「ミサト!。そちらはどうなってる!」
「カツ……、いえ、ウルスラ総司令。お待ちください。こちらは今、兵士を喰った亜獣の解析にあたっています。AIは叫んだからと言って、処理を早めてはくれません」
ミサトは慇懃な態度でウルスラを制してきた。一瞬、イラッとしたが、職務に忠実に動いているのを咎めることはできない。
「ミライ!。そちらの解析は?」
「今、エドがとりかかっています」
「なにかヒントだけでもないのか!!」
「無茶をおっしゃらないでください。今の今現れたばかりです!」
「だが未知の亜獣が二体現れたのだぞ!。二体だ」
ウルスラは自分でそう言いながら、なかば自分がパニック状態になっていると感じた。あとからあとから不測の事態が襲いかかってきて、自分のなかでどれをもコントロールできていない。
「金田日先生。そちらでわかったことを教えてほしい」
モニタのむこうの金田日はその命令に対してなんの反応も示さなかった。声に出すと同時に、脳にも直接語りかけてもいるのだから、聞こえなかったなどということはない。せめて思念で、なにかしらかの返答をなすべきだ。
ウルスラは金田日が作業しているエリアに目をむけた。金田日は目の前にいくつも投映されているモニタに目を走らせながら、かたわらに現出させたバーチャル・コンソールに指を忙しなく這わせていた。
こちらに返事をしている状況ではないということなのだろう——。
だが、今、この戦いを指揮しているのはこの自分であって、難局を乗り切るための報告は義務なのだ。それはたとえ民間人であっても等しい。
それに金田日のおかれた状況をおもんばかってやれるほど、こちらに余裕があるわけではない。
「金田日博士、現時点でわかっている範囲で構わん、報告をお願いしたい」
金田日はあいかわらず忙しく、目の前に投写されたいくつものモニタを目で追っていたが、ことばだけをこちらに投げてきた。
「ウルスラ総司令。おどろくべきことがわかってきましたよ」
「それを教えてくれないか。わかった範囲でいい」
「まだ仮説にしかすぎませんが……」
「仮説でも構わん。わたしは部下に指示を出さねばならんのだ。なにもわからないよりは、不完全な分析でもあるだけマシだ」
「いやしかし、はじめての事例ですので、検証をしませんと」
「不要だ。亜獣探索もはじめてで、未知の亜獣が立て続けに二体も現れたのもはじめてだ。だれも経験したことなどない」
「いえ。そうではないのです」
「なにを言っている?」
「二体の亜獣ではないと申しあげているのです」
「は?」
「箱根と熱海に出現したあの二種類の亜獣は……」
「一体の亜獣のようです」
ウルスラ・カツエ大将は怒鳴った。だれに向けたものでもないと同時に、全員に向けたものでもあった。見苦しいとわかっていたが、叫ばずにはいられなかった。
これだけの凶事が続けざまに起きたのでは、冷静でいられるほうがどうかしている。
デミリアンが足どめされ調査にでかけたところで、亜獣が出現し兵士が喰われたというのに、本部には魔法少女が出現し、おおいなる混乱がおきている。
そこへもう一体の亜獣の出現——。
すでに出現したことのあるイオージャではない、姿形がちがう二体の未知の亜獣。それが箱根方面と熱海方面の両側に一度に出現した。
「ミサト!。そちらはどうなってる!」
「カツ……、いえ、ウルスラ総司令。お待ちください。こちらは今、兵士を喰った亜獣の解析にあたっています。AIは叫んだからと言って、処理を早めてはくれません」
ミサトは慇懃な態度でウルスラを制してきた。一瞬、イラッとしたが、職務に忠実に動いているのを咎めることはできない。
「ミライ!。そちらの解析は?」
「今、エドがとりかかっています」
「なにかヒントだけでもないのか!!」
「無茶をおっしゃらないでください。今の今現れたばかりです!」
「だが未知の亜獣が二体現れたのだぞ!。二体だ」
ウルスラは自分でそう言いながら、なかば自分がパニック状態になっていると感じた。あとからあとから不測の事態が襲いかかってきて、自分のなかでどれをもコントロールできていない。
「金田日先生。そちらでわかったことを教えてほしい」
モニタのむこうの金田日はその命令に対してなんの反応も示さなかった。声に出すと同時に、脳にも直接語りかけてもいるのだから、聞こえなかったなどということはない。せめて思念で、なにかしらかの返答をなすべきだ。
ウルスラは金田日が作業しているエリアに目をむけた。金田日は目の前にいくつも投映されているモニタに目を走らせながら、かたわらに現出させたバーチャル・コンソールに指を忙しなく這わせていた。
こちらに返事をしている状況ではないということなのだろう——。
だが、今、この戦いを指揮しているのはこの自分であって、難局を乗り切るための報告は義務なのだ。それはたとえ民間人であっても等しい。
それに金田日のおかれた状況をおもんばかってやれるほど、こちらに余裕があるわけではない。
「金田日博士、現時点でわかっている範囲で構わん、報告をお願いしたい」
金田日はあいかわらず忙しく、目の前に投写されたいくつものモニタを目で追っていたが、ことばだけをこちらに投げてきた。
「ウルスラ総司令。おどろくべきことがわかってきましたよ」
「それを教えてくれないか。わかった範囲でいい」
「まだ仮説にしかすぎませんが……」
「仮説でも構わん。わたしは部下に指示を出さねばならんのだ。なにもわからないよりは、不完全な分析でもあるだけマシだ」
「いやしかし、はじめての事例ですので、検証をしませんと」
「不要だ。亜獣探索もはじめてで、未知の亜獣が立て続けに二体も現れたのもはじめてだ。だれも経験したことなどない」
「いえ。そうではないのです」
「なにを言っている?」
「二体の亜獣ではないと申しあげているのです」
「は?」
「箱根と熱海に出現したあの二種類の亜獣は……」
「一体の亜獣のようです」
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