691 / 1,035
第三章 第五節 エンマアイの記憶
第690話 亜獣を倒すつもりです
しおりを挟む
「ヤマト、うしろに逃げるだけでは倒せんぞ!」
ブライトが司令官の椅子から立ちあがって、苛だちをあらわにした。
「ブライトさん、簡単に言わないでもらえますか。この場所ではさけようがないんですから」
「タケルくん。あまり後退しないで。そっちには『防災シェルター』があるの」
リンが当然のように、後方への注意をうながしてきた。
「なんでです!。『防災シェルター』なんでしょう!」
タケルが声を荒げると、今度はアルがそれに意見してきた。
「あの溶解液に耐えられるつくりにはなってねぇんだよ、タケル。あの溶解液は厄介なことに『ロンズデーライト合金』さえ溶かしちまうのさ」
「ほんとうに厄介ですね。でもどうしようもない」
「どうしようもない?。それはどういう意味だ。ヤマト!」
ブライトがタケルの言葉尻にかみついた。
「ぼくにはどうしようもない、っていう意味です。だってぼくの任務は亜獣『ラーゼファン』を倒すことで、ひとの命を救うことじゃあありませんからね」
「なにを言っている?」
「ぼくは一万や二万の人命を尊重して、命を落とすわけにはいかないんです。ぼくが死んだら、地球は終わりなんですから。それとも100億人の命と引き換えに、目の前のわずかなひとの命を救えと?。シモンみたいに」
「ヤマト、きさま、脅すつもりか!」
「脅す?。まさか。ブライトさん、ただ覚悟してくださいって言ってるんです」
「覚悟?。何の覚悟だ」
「地球を救うという覚悟です」
その挑発的態度に不安を覚えたのか、リンが横から口をはさんできた。
「なにをする気、タケルくん、あんまり無茶をしたら……」
「ご心配なく、リンさん。無茶も無理もしませんよ。だから……、犠牲を覚悟して下さいっていうことです!」
「なにをするつもり!」
「はは、きまってるじゃないですか……」
「亜獣を倒すつもりです」
あたしはタケルがなにをしようとしているのか、ますますわからなくなった。
ブライトたちへの当てつけなら、出動を拒めばいいだけだし、反省を促したいのなら亜獣と戦わなきゃいいだけ。
だけどあの物言いは……そう、とてもうしろむきの行動を考えては、でてこないものだ。
なにかをしかけようとしている——?。
タケルはいつからこんな尊大な態度をとるようになったのだろう——。
あたしとツガうというのを拒否したとき?。
ヤマト隊長とツルゴ叔父さんをうしなったとき?。
もしかしたら、あたしと出会った時にはすでにそうだったのか?。あたしがお姉さんでタケルに対して、頭ごなしに接していたから気づかなかっただけ——。
いや、ちがう……。
ブライトが司令官の椅子から立ちあがって、苛だちをあらわにした。
「ブライトさん、簡単に言わないでもらえますか。この場所ではさけようがないんですから」
「タケルくん。あまり後退しないで。そっちには『防災シェルター』があるの」
リンが当然のように、後方への注意をうながしてきた。
「なんでです!。『防災シェルター』なんでしょう!」
タケルが声を荒げると、今度はアルがそれに意見してきた。
「あの溶解液に耐えられるつくりにはなってねぇんだよ、タケル。あの溶解液は厄介なことに『ロンズデーライト合金』さえ溶かしちまうのさ」
「ほんとうに厄介ですね。でもどうしようもない」
「どうしようもない?。それはどういう意味だ。ヤマト!」
ブライトがタケルの言葉尻にかみついた。
「ぼくにはどうしようもない、っていう意味です。だってぼくの任務は亜獣『ラーゼファン』を倒すことで、ひとの命を救うことじゃあありませんからね」
「なにを言っている?」
「ぼくは一万や二万の人命を尊重して、命を落とすわけにはいかないんです。ぼくが死んだら、地球は終わりなんですから。それとも100億人の命と引き換えに、目の前のわずかなひとの命を救えと?。シモンみたいに」
「ヤマト、きさま、脅すつもりか!」
「脅す?。まさか。ブライトさん、ただ覚悟してくださいって言ってるんです」
「覚悟?。何の覚悟だ」
「地球を救うという覚悟です」
その挑発的態度に不安を覚えたのか、リンが横から口をはさんできた。
「なにをする気、タケルくん、あんまり無茶をしたら……」
「ご心配なく、リンさん。無茶も無理もしませんよ。だから……、犠牲を覚悟して下さいっていうことです!」
「なにをするつもり!」
「はは、きまってるじゃないですか……」
「亜獣を倒すつもりです」
あたしはタケルがなにをしようとしているのか、ますますわからなくなった。
ブライトたちへの当てつけなら、出動を拒めばいいだけだし、反省を促したいのなら亜獣と戦わなきゃいいだけ。
だけどあの物言いは……そう、とてもうしろむきの行動を考えては、でてこないものだ。
なにかをしかけようとしている——?。
タケルはいつからこんな尊大な態度をとるようになったのだろう——。
あたしとツガうというのを拒否したとき?。
ヤマト隊長とツルゴ叔父さんをうしなったとき?。
もしかしたら、あたしと出会った時にはすでにそうだったのか?。あたしがお姉さんでタケルに対して、頭ごなしに接していたから気づかなかっただけ——。
いや、ちがう……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる