いつか日本人(ぼく)が地球を救う

多比良栄一

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第三章 第五節 エンマアイの記憶

第695話 世界中のひとたちにぼくの決意を宣言してくるよ

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 だけどタケルはメディアの前でなぶりものになる会見を、ふたつ返事で引き受けた。

 あたしは会見にむかうタケルを、全力でとめた。

「世界中の人々から、非難を浴びるのよ」

「あぁ、そうだろうね」
「それにブライトたちおとなは、タケルに全責任を押しつける」
「だって、実際にそうだ。ぼくの責任だからね」
「タケル、あなた、もうデミリアンに乗らせてもらえなく……。ううん、あなたはまた乗りたくないっていうかも……」
「アイ、心配しなくていい。ぼくは任務から引き離されないし、もうそんな無責任なことは言いださない」
「でも、世界中から憎まれる……」

「これはぼくのけじめだ。ついでに世界中のひとたちに、ぼくの決意を宣言してくるよ」

「宣言?。なにを言うつもり?」
「まぁ、見ていて」


 それは『会見』というていのいいリンチの場でしかなかった——。

 ブライトの釈明などほとんどだれも聞いていなかったと思う。パイロットであるヤマト・タケルに対して、世界中の記者は非難を浴びせようと、待ち構えているのが画面越しにもわかった。
 だれが一番、タケルを厳しく弾劾できるか競おう、とでもいうような空気が充ち満ちてみえた。
 ブライトの説明が終わると、すぐに世界中の記者たちから、非難という質問が飛び交った。
 それはまさに怒号でしかなかった。

『4万人近い犠牲者が出たんですよ。なにか言うことばがあるでしょう!』
『キミ、これだけの犠牲がでたのになんの反省もないのか!』
『犠牲者や遺族に対して言うべきことばがあるでしょ!』
 タケルはふた言、み言、記者と話をかわしたあと、立ちあがって頭をさげた。

「亡くなられた方々、そして遺族のみなさん……本当に悪かったと思います……』
 顔をあげると、タケルはいたずらっぽい笑みを浮かべて言った。
『運がね』

 その瞬間、世界中が、文字通り全人類100億人がみな、怒りに打ちふるえたはずだ。たぶんそうだと思う。
 でもあたしはちがった。

 それを聞いた瞬間、モニタの前で大声をあげて笑っていた。


 タケルはブライトを許さなかった——。
 許さなかったのはブライトだけじゃない。そのうしろで糸をひいていた上層部の連中も許さなかった。

 でもなによりも許さなかったのは、『正義の味方』に守ってもらうのを、当然の権利とでも思っている100億の人類そのものだったのだと思う——。
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