いつか日本人(ぼく)が地球を救う

多比良栄一

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第三章 第七節 さよならアイ

第821話 エドを挟撃す

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 草薙がマジカル・ソードを振り回してきた。

 ギリギリ届かない距離。
 空振り。
 目測を誤った——
 エドはそう思った。

「残念だね、草薙さん!」
 そう叫んだ瞬間、草薙が飛び出してきたビルのフロアから、ドンという音がして、ミサイルが飛んできた。その距離10メートル! 
 
 あっと思ったときには、エドの右足は吹き飛んでいた。着弾の衝撃でエドのからだが空中でくるくるまわる。
 羽根を羽ばたかせて、必死で姿勢を制御する。
 その混乱のさなかに自分を撃った相手の姿が見えた。

 アルだった——

 草薙が自分までを囮にして、アルの一発が効果を発揮するように陽動してきたのだ。

 アルが次のミサイルを装填しようとしている。

「アルぅぅぅぅぅ」

 アルが顔をあげる。
 ひきつったような顔——
 アルのいるフロアにむけて、飛び込んでくるエドの姿に、あわててミサイル・ランチャーをおいて逃げようとする。
「逃がさないぃぃぃ」

 その瞬間、背後から草薙のマジカル・ソードが、エドの羽根をぎはらうように斬った。

 エドのからだはたちまち飛翔能力をうしない、飛び込んだ勢いのままビルの壁に激突した。ドンという激しい音がしたが、痛みは感じない。エドのからだは亜空間ベールに包まれているのだ。

 エドはビルの窓枠につかまっていた。
 アルのいたフロアの窓枠。
 手が離れそうになるが、必死で我慢する。

 からだを引き揚げようとして力をこめると、その上に影がさした。


 アルだった。

 アルが上からエドを見おろしていた。

「やあ、エド」
「アルぅぅぅ。キサマぁ」

 アルが手をさしだした。
「エド、手を貸せ。引き揚げてやる」
「突き落とすつもりだろう」
「おいおい、そんなことしてどうする。堕ちたところで、おまえさんは痛くもかゆくもねえだろう」
「ああ、亜空間ベールにつつまれているからな」
「だったら落とされたから、どうってことないだろう」
「ここまで戻ってくるのに時間がかかる」

 アルが笑った。
「そうだ。だから手を貸してやる。最後にすこし話そうや」
「最後? そうだな。アル、あんたの最後だ」

 エドはアルの手をとった。強い力で一気に引き揚げられる。
 フロアにひざをつくやいなや、エドはすぐさま立ちあがろうとした。
 が、ふらついて、そのまま倒れ込んだ。
 背後にあったおおきな柱に背中を預けるようにして座り込む。

「なぜ、からだが動かない……」
「ビルに激突したからさ」
「ビルに? そんなことでぼくは……」
 そう言って自分の胸骨がぐちゃぐちゃに折れて、胸が異様な形で凹んでいるのに気づいた。

「すまねぇな、エド。魔法が解けちまったらしい……」

「魔法が……」

 アルが中空をまさぐって、映像を呼びだした。
 
 渋谷の映像が映し出された。
 そこにはヤマトの手によって、渋谷の街に墜落したエンアイムの姿があった。


「エド、あんたの魔法の元が切れちまった。もう魔法少女は、あんた以外いない」
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