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第四章 第三節 Z.P.G.(25世紀のルール)
第960話 きみたちだけに知らされてない事案
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レイの父親を名乗る人物が現われたというニュースは、あっという間に国際連邦日本支部内に広がった。
レイはクルーたちの視線でそれを知ることができた。意識しなくても、自分にいままでにないほど好奇の目が向けられているのが実感できたからだ。いたるところで視線を感じた。だが自分を見つめているクルーの顔色からは、当然かけられるであろう、祝意や気づかいの感情が読み取れなかった。
レイがかろうじて感じ取れたのは、『なぜ?』という疑問と、わずかばかりの嫌悪感だった。
「父親が見つかったのに、なぜわたしが嫌われるの?」
パイロットルームに戻って、ヤマトたちにことの経緯を説明したレイは、率直に憤りを吐きだした。
「そうね、ふつうは『おめでとう』でしょうに!」
アスカがレイの気持ちを代弁するように語気を荒げると、クララも同意した。
「もしくは『大丈夫?』ですね」
「もしかしたら、そのレイくんの父親なるひとに、みな心当たりがあって、その……問題かなにかを起こしたとか……」
「ええ、わたしもそれを考えた。でもミサトもリンもまったく感知していないように感じられた。知らない人だと思う」
「そうなの? じゃあなんでなのかしら?」
アスカはまったく理解できないとばかりに天井を仰いだ。
レイは素直に白旗をあげたアスカを見ながら、ヤマトとキラがまったくこの件に口を挟んでこないことに気づいた。
「キラ、あなた、なにか知ってるでしょう」
わざと確信めいた口調で問い詰めてみると、みんな一斉にキラのほうに注目した。一瞬、キラが目をそらしたり、うつむいたりすると思ったが、キラはしっかりとレイのほうを見たまま投槍な口調で言った。
「レイさん、あたくし言いたくありませんわ」
「キラ! 言いたくない……って、どーいう……」
アスカがキラに対して気色ばんでみせたが、すぐにそれをヤマトが制した。
「アスカ。ぼくが説明する」
「タケルが?」
「これはとてもセンシティブな事案だ。キラには話させたくない」
「タケルくん、その事案は999だけに知らされた話なのかね」
「いいや、ユウキ。きみたちだけに知らされてない事案だ。ぼくらは特別に聞かされているが、地球上の100億の人類のほとんどは知っている」
「ど、どういうことですの? 地球上でわたしたちだけが知らされてないって」
「そーよ。どうしてあたしたちがのけ者になってるのよ」
「タケル、それ、わたしのお母さんが死んだのと関係ある?」
レイはこころのどこかでうっすらと感じていた疑問をぶつけてみた。
レイはクルーたちの視線でそれを知ることができた。意識しなくても、自分にいままでにないほど好奇の目が向けられているのが実感できたからだ。いたるところで視線を感じた。だが自分を見つめているクルーの顔色からは、当然かけられるであろう、祝意や気づかいの感情が読み取れなかった。
レイがかろうじて感じ取れたのは、『なぜ?』という疑問と、わずかばかりの嫌悪感だった。
「父親が見つかったのに、なぜわたしが嫌われるの?」
パイロットルームに戻って、ヤマトたちにことの経緯を説明したレイは、率直に憤りを吐きだした。
「そうね、ふつうは『おめでとう』でしょうに!」
アスカがレイの気持ちを代弁するように語気を荒げると、クララも同意した。
「もしくは『大丈夫?』ですね」
「もしかしたら、そのレイくんの父親なるひとに、みな心当たりがあって、その……問題かなにかを起こしたとか……」
「ええ、わたしもそれを考えた。でもミサトもリンもまったく感知していないように感じられた。知らない人だと思う」
「そうなの? じゃあなんでなのかしら?」
アスカはまったく理解できないとばかりに天井を仰いだ。
レイは素直に白旗をあげたアスカを見ながら、ヤマトとキラがまったくこの件に口を挟んでこないことに気づいた。
「キラ、あなた、なにか知ってるでしょう」
わざと確信めいた口調で問い詰めてみると、みんな一斉にキラのほうに注目した。一瞬、キラが目をそらしたり、うつむいたりすると思ったが、キラはしっかりとレイのほうを見たまま投槍な口調で言った。
「レイさん、あたくし言いたくありませんわ」
「キラ! 言いたくない……って、どーいう……」
アスカがキラに対して気色ばんでみせたが、すぐにそれをヤマトが制した。
「アスカ。ぼくが説明する」
「タケルが?」
「これはとてもセンシティブな事案だ。キラには話させたくない」
「タケルくん、その事案は999だけに知らされた話なのかね」
「いいや、ユウキ。きみたちだけに知らされてない事案だ。ぼくらは特別に聞かされているが、地球上の100億の人類のほとんどは知っている」
「ど、どういうことですの? 地球上でわたしたちだけが知らされてないって」
「そーよ。どうしてあたしたちがのけ者になってるのよ」
「タケル、それ、わたしのお母さんが死んだのと関係ある?」
レイはこころのどこかでうっすらと感じていた疑問をぶつけてみた。
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