36 / 935
ダイブ2 不気味の国のアリスの巻 〜 ルイス・キャロル 編〜
第6話 To be or not to be, that is the question
しおりを挟む
セイが森のなかを走り抜けていると、すこし開けた場所にいきあたった。そこには大きなテーブルが置かれ、そのまわりではお茶会をやっている『三月うさぎ』と『おかしな帽子屋』がいた。セイは三月うさぎに尋ねた。
「きみたちは、アリスがどこに行ったか知ってるかい?」
「アリスって?。おいしいのかい?。お茶菓子に最適だとうれしいな」
三月うさぎが目の焦点があっていない目つきで、セイの顔をのぞき込みながら言った。
「ちょうどお茶の時間なんだ。邪魔せんでもらおう」
おかしな帽子屋が怒るような口調で言った。
「ここはいつだってお茶の時間なんだ。この帽子屋が『時間』と喧嘩して以来、『時間』がいうことをきいてくれないのさ」
「ふん、『時間』の言うことなんかきいてたら、日が暮れちまうだろうが」
「そうだね。おかげでここではいつだってお茶が楽しめる」
とうれしそうに言った三月うさぎだったが、セイの耳元に手をあてがうと本音を囁く。
「ま、それ以外はなんにもできないんだけどサ」
「聞こえているぞ。三月うさぎ」
「ははぁーー。なんにもできないこと万歳!!」
セイはさすがにうんざりした気分になった。
「口が減らないやつらだな。さっさと浄化しちゃおう」
セイが目の前の二体のイカれた『トラウマ』を浄化しようと拳を構えた。
「やれやれ、『時間』に我慢できない愚か者だな。わしらを相手にしても『時間』の思うつぼだがね。セイ、あんたは、どれくらい『時間』を無駄にするつもりかね?」
おかしな帽子屋が紅茶を注ぎながら、したり顔で森のほうに顎をしゃくった。
セイがこぶしを振りあげかけたまま、帽子屋が促したほうに目をむけた。
空をおびただしい数のドードー鳥や、メガネ鳥が埋め尽くしていた。広場の手前には、いやというほどの数の『やまね』がうろちょろして、何匹もの『白うさぎ』が重力を無視したまま、懐中時計を見ながら空中を走りまわっていた。木の上や根元には『大いも虫』だけでなく『中いも虫』らしきものが、うじゃうじゃと蠢いている。
「マジかぁ。なんでこんなに湧いてでてるんだ」
三月うさぎが、いびつな顔を寄せて、セイの耳元で囁く。
「そりゃ、きみを歓迎しているからに決まってるだろ」
「うそだーー。邪魔してるだけじゃないか」
「セイ、邪魔してるのは君さ。ぼくらの『お茶の時間』をね。ぼくらはいつだって『お茶の時間』なんだ。おかしな帽子屋が『時間』と喧嘩したおかげで、『時間』がへそを曲げちゃって……」
「さっき、聞いたよ!」
セイが三月うさぎとくだらないやり取りをしている間にも、『トラウマ』は続々と増えていった。
『くそっ、こりゃきりがないぞ。なんとか一ヶ所に集められないか……』
セイが帽子屋にむかって叫んだ。
「帽子屋、ここにいる連中全員でお茶会をしたい。やったほうがいい?、やらないほうがいい?(TO BE?、OR NOT TO BE?)」
「それは問題だ(THAT IS THE QUESTION)」と帽子屋が答えると、「そう、こいつは問題だね(THIS IS THE QUESTION)」と三月兎が追従する。
「なるほど……『問題(QUESTION)』か……」
セイは両手をメガホンのように掲げると、森のほうにむかって大きな声で叫んだ。
「時間の単位の中で一番、愚かな(Weak)ヤツはだ~れだ」
「きみたちは、アリスがどこに行ったか知ってるかい?」
「アリスって?。おいしいのかい?。お茶菓子に最適だとうれしいな」
三月うさぎが目の焦点があっていない目つきで、セイの顔をのぞき込みながら言った。
「ちょうどお茶の時間なんだ。邪魔せんでもらおう」
おかしな帽子屋が怒るような口調で言った。
「ここはいつだってお茶の時間なんだ。この帽子屋が『時間』と喧嘩して以来、『時間』がいうことをきいてくれないのさ」
「ふん、『時間』の言うことなんかきいてたら、日が暮れちまうだろうが」
「そうだね。おかげでここではいつだってお茶が楽しめる」
とうれしそうに言った三月うさぎだったが、セイの耳元に手をあてがうと本音を囁く。
「ま、それ以外はなんにもできないんだけどサ」
「聞こえているぞ。三月うさぎ」
「ははぁーー。なんにもできないこと万歳!!」
セイはさすがにうんざりした気分になった。
「口が減らないやつらだな。さっさと浄化しちゃおう」
セイが目の前の二体のイカれた『トラウマ』を浄化しようと拳を構えた。
「やれやれ、『時間』に我慢できない愚か者だな。わしらを相手にしても『時間』の思うつぼだがね。セイ、あんたは、どれくらい『時間』を無駄にするつもりかね?」
おかしな帽子屋が紅茶を注ぎながら、したり顔で森のほうに顎をしゃくった。
セイがこぶしを振りあげかけたまま、帽子屋が促したほうに目をむけた。
空をおびただしい数のドードー鳥や、メガネ鳥が埋め尽くしていた。広場の手前には、いやというほどの数の『やまね』がうろちょろして、何匹もの『白うさぎ』が重力を無視したまま、懐中時計を見ながら空中を走りまわっていた。木の上や根元には『大いも虫』だけでなく『中いも虫』らしきものが、うじゃうじゃと蠢いている。
「マジかぁ。なんでこんなに湧いてでてるんだ」
三月うさぎが、いびつな顔を寄せて、セイの耳元で囁く。
「そりゃ、きみを歓迎しているからに決まってるだろ」
「うそだーー。邪魔してるだけじゃないか」
「セイ、邪魔してるのは君さ。ぼくらの『お茶の時間』をね。ぼくらはいつだって『お茶の時間』なんだ。おかしな帽子屋が『時間』と喧嘩したおかげで、『時間』がへそを曲げちゃって……」
「さっき、聞いたよ!」
セイが三月うさぎとくだらないやり取りをしている間にも、『トラウマ』は続々と増えていった。
『くそっ、こりゃきりがないぞ。なんとか一ヶ所に集められないか……』
セイが帽子屋にむかって叫んだ。
「帽子屋、ここにいる連中全員でお茶会をしたい。やったほうがいい?、やらないほうがいい?(TO BE?、OR NOT TO BE?)」
「それは問題だ(THAT IS THE QUESTION)」と帽子屋が答えると、「そう、こいつは問題だね(THIS IS THE QUESTION)」と三月兎が追従する。
「なるほど……『問題(QUESTION)』か……」
セイは両手をメガホンのように掲げると、森のほうにむかって大きな声で叫んだ。
「時間の単位の中で一番、愚かな(Weak)ヤツはだ~れだ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる