282 / 935
ダイブ4 古代オリンピックの巻 〜 ソクラテス・プラトン 編 〜
第170話 早く首を切断するか、体をバラバラに
しおりを挟む
アンドレアルフスは上半身だけになってもまだ生きていた。
両腕を足のように踏ん張って上半身を支え、爆発によって焼けただれた顔をいびつに歪めてこちらを見ていた。
「あら、よく生きのびられましたこと」
エヴァはその不気味な姿に驚きはしなかった。それよりも今の攻撃で粉々に吹き飛んでいなかったことのほうが驚きだった。つい感嘆の声があがる。そこへ背後からスピ口の警戒色を強めた声が投げかけられた。
「エヴァ様。早く首を切断するか、体をバラバラにしませんと」
「そうですね。今のでばらばらになってないのでは、まったく、おのれの力不足を感じますわ」
そう言いながら、長椅子の上で蠢くアンドレアルフスにロケット・ランチャーの照準をあわせた。エヴァが引き鉄に指をかけた瞬間、アンドレアルフスが両方の腕で反動をつけて飛び上がった。
エヴァやスピロの上を飛び越えるような大ジャンプではなかった。が、虚をつかれて照準がはずれた。その間隙をついてアンドレアルフスは両腕で床を這って、エヴァの脇をすり抜けた。
思いがけないほど素早い動きでアンドレアルフスが、アリストパネスにむかって這って行く。エヴァはいそいでロケット・ランチャーをむけて、背後から追い討ちをかけようとした。
が、遅かった——。
アンドレアルフスがアリストパネスの目の前で飛び上がり、腰の位置で両腕をクロスするように一閃した。アリストパネスの顔が一瞬にして凍りつく。
「しくじりましたわ!」
エヴァは後悔の念とともに吐き捨てた。まるでマリアのような。品もへったくれもない剥き出しのことばが口をついて出た。
そのすぐ脇にいたヒポクラテスもソクラテスも何が起きたかわからずにいた。が、アリストパネスのからだが、ドンと派手な音をたてて床に転がると、ふたりは「うわあぁ」と悲鳴をあげてその場にへたり込んだ。
落ちたのはアリストパネスの上半身だけだった——。
アリストパネスの腹から血が噴き出し、正面にいたスピロのほうへ飛び散った。
スピロは手で壁を作って防いだものの、手のひらはあっという間に血塗れになった。アリストパネスの上半身の切断面から流れる血はみるみる血溜まりをつくりはじめていく。
エヴァは奥歯をギリッと噛んで、アリストパネスの下半身に目をやった。
残った下半身は仁王立ちで、まだ床を踏みしめていた。が、次の瞬間、アンドレアルフスの上半身が飛び移り、その下半身を乗っ取った。そのとたん、まるで最初からそうであったかのように、腹の切断面は傷もなくつながり、みるみる一つの個体として再生していった。
それだけではない。
アリストパネスのむきだしになった下半身はアンドレアルフスのものになったとたん獣のものに変っていた。それは不自然に後方に折れ曲った四足動物のような脚。しかもその体表はおびただしい剛毛がおおわれていた。
両腕を足のように踏ん張って上半身を支え、爆発によって焼けただれた顔をいびつに歪めてこちらを見ていた。
「あら、よく生きのびられましたこと」
エヴァはその不気味な姿に驚きはしなかった。それよりも今の攻撃で粉々に吹き飛んでいなかったことのほうが驚きだった。つい感嘆の声があがる。そこへ背後からスピ口の警戒色を強めた声が投げかけられた。
「エヴァ様。早く首を切断するか、体をバラバラにしませんと」
「そうですね。今のでばらばらになってないのでは、まったく、おのれの力不足を感じますわ」
そう言いながら、長椅子の上で蠢くアンドレアルフスにロケット・ランチャーの照準をあわせた。エヴァが引き鉄に指をかけた瞬間、アンドレアルフスが両方の腕で反動をつけて飛び上がった。
エヴァやスピロの上を飛び越えるような大ジャンプではなかった。が、虚をつかれて照準がはずれた。その間隙をついてアンドレアルフスは両腕で床を這って、エヴァの脇をすり抜けた。
思いがけないほど素早い動きでアンドレアルフスが、アリストパネスにむかって這って行く。エヴァはいそいでロケット・ランチャーをむけて、背後から追い討ちをかけようとした。
が、遅かった——。
アンドレアルフスがアリストパネスの目の前で飛び上がり、腰の位置で両腕をクロスするように一閃した。アリストパネスの顔が一瞬にして凍りつく。
「しくじりましたわ!」
エヴァは後悔の念とともに吐き捨てた。まるでマリアのような。品もへったくれもない剥き出しのことばが口をついて出た。
そのすぐ脇にいたヒポクラテスもソクラテスも何が起きたかわからずにいた。が、アリストパネスのからだが、ドンと派手な音をたてて床に転がると、ふたりは「うわあぁ」と悲鳴をあげてその場にへたり込んだ。
落ちたのはアリストパネスの上半身だけだった——。
アリストパネスの腹から血が噴き出し、正面にいたスピロのほうへ飛び散った。
スピロは手で壁を作って防いだものの、手のひらはあっという間に血塗れになった。アリストパネスの上半身の切断面から流れる血はみるみる血溜まりをつくりはじめていく。
エヴァは奥歯をギリッと噛んで、アリストパネスの下半身に目をやった。
残った下半身は仁王立ちで、まだ床を踏みしめていた。が、次の瞬間、アンドレアルフスの上半身が飛び移り、その下半身を乗っ取った。そのとたん、まるで最初からそうであったかのように、腹の切断面は傷もなくつながり、みるみる一つの個体として再生していった。
それだけではない。
アリストパネスのむきだしになった下半身はアンドレアルフスのものになったとたん獣のものに変っていた。それは不自然に後方に折れ曲った四足動物のような脚。しかもその体表はおびただしい剛毛がおおわれていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる