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ダイブ6 切り裂きジャックの巻 〜 コナン・ドイル編 〜
第149話 マリアはミアズマを斬り伏せるのに夢中
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セイとちがって、マリアは苦戦していた——
エヴァにはそう見えた。
が、苦戦というのとはちがうことが、エヴァにはすぐにわかった。
マリアはミアズマを斬り伏せるのに夢中だった。
楽しむあまり犯行現場のちかくへ急いでむかうという目的を、すっかり失念しているようだった。
「マリアさん!!」
エヴァが上空から声をかけると、マリアはミアズマ2体の針金のような脚を真横に薙ぎ払ってから答えた。
「エヴァか!。今、お楽しみ中だ。ちょっと待ってろ」
「マリアさん。そんな余裕はありませんよ。はやくセイさんのところへ」
「セイに加勢が必要なのか?」
「そんなわけないでしょう。ですが、スピロさんからひとりでもおおくこちらへ来て欲しいと要請されています。ウォルター・シッカートさんもこのホワイトチャペルに足を踏み入れたそうです」
「そうか……。こっちはまんまとコスミンスキーのヤツに逃げられちまったんだがな」
「だったら、さっさと現場にむかわないとまずいじゃないですか!!」
マリアがじつに複雑な表情をした。
反省とも迷惑とも羞恥ともとれる顔——。こういうときは、結論を自分で出したがらない気分だとエヴァは心得ていた。
「わたしが上から一掃します。さっさと行ってください」
「お、おう。じゃあ頼んだぜ」
エヴァはマリアの背中に隠れているコナン・ドイルとマシュー・バリーのほうへ目をむけた。ふたりはお互い抱きつかんばかりに身を寄せて震えていた。
「コナン・ドイルさん、マシュー・バリーさん。いまからわたしが銃で、あのバケモノの動きをとめます。そのあいだに駆け抜けて、セイさんのいるところへむかってください」
「あぁ、エヴァさん、あたしたちゃ、そんなことできやしませんって。見てください。あたしたち、どんだけあのバケモンの体液や肉片を浴びたと思ってるんです。臭いし、気持ちわるいし、怖いし、もう一歩だって進めやしません」
コナン・ドイルが開き直ったように文句を言うと、マシュー・バリーもそれに同調する。
「そうだとも。ボクらはこんな怖い思いするなんて聞いてなかった。通りを突っ切る?。まっぴらごめんだよ」
「ご安心ください。わたしの弾丸は洗練されてます。マリアさんみたいに肉片や体液をぶちまけたりしません。できるだけ両側に倒れるようにしますので、真ん中を突っ切ってください」
「なにが洗練されてるだ。オレの刃も洗練されてるぜ。昔一緒に潜ったいけすかねぇ『風』使い野郎の必殺技をヒントにしているから、威力の手加減ができねぇだけだ」
「マリアさん、その力のコントロールができてないから、あたしたち、こんなにびちゃびちゃになってるんですよ」
コナン・ドイルがマリアに文句を言ってから、上をみあげてきた。
「じゃあ、エヴァさん、あたしらはエヴァさんを信じます。そこの通りを一気に突っ切りゃあいいんですね」
「ああ、アーサー、ボクもエヴァ君を信じるとするよ。ここのいたからといって、ひとつもいいことはないからな」
マシュー・バリーも覚悟をきめたようだった。
エヴァにはそう見えた。
が、苦戦というのとはちがうことが、エヴァにはすぐにわかった。
マリアはミアズマを斬り伏せるのに夢中だった。
楽しむあまり犯行現場のちかくへ急いでむかうという目的を、すっかり失念しているようだった。
「マリアさん!!」
エヴァが上空から声をかけると、マリアはミアズマ2体の針金のような脚を真横に薙ぎ払ってから答えた。
「エヴァか!。今、お楽しみ中だ。ちょっと待ってろ」
「マリアさん。そんな余裕はありませんよ。はやくセイさんのところへ」
「セイに加勢が必要なのか?」
「そんなわけないでしょう。ですが、スピロさんからひとりでもおおくこちらへ来て欲しいと要請されています。ウォルター・シッカートさんもこのホワイトチャペルに足を踏み入れたそうです」
「そうか……。こっちはまんまとコスミンスキーのヤツに逃げられちまったんだがな」
「だったら、さっさと現場にむかわないとまずいじゃないですか!!」
マリアがじつに複雑な表情をした。
反省とも迷惑とも羞恥ともとれる顔——。こういうときは、結論を自分で出したがらない気分だとエヴァは心得ていた。
「わたしが上から一掃します。さっさと行ってください」
「お、おう。じゃあ頼んだぜ」
エヴァはマリアの背中に隠れているコナン・ドイルとマシュー・バリーのほうへ目をむけた。ふたりはお互い抱きつかんばかりに身を寄せて震えていた。
「コナン・ドイルさん、マシュー・バリーさん。いまからわたしが銃で、あのバケモノの動きをとめます。そのあいだに駆け抜けて、セイさんのいるところへむかってください」
「あぁ、エヴァさん、あたしたちゃ、そんなことできやしませんって。見てください。あたしたち、どんだけあのバケモンの体液や肉片を浴びたと思ってるんです。臭いし、気持ちわるいし、怖いし、もう一歩だって進めやしません」
コナン・ドイルが開き直ったように文句を言うと、マシュー・バリーもそれに同調する。
「そうだとも。ボクらはこんな怖い思いするなんて聞いてなかった。通りを突っ切る?。まっぴらごめんだよ」
「ご安心ください。わたしの弾丸は洗練されてます。マリアさんみたいに肉片や体液をぶちまけたりしません。できるだけ両側に倒れるようにしますので、真ん中を突っ切ってください」
「なにが洗練されてるだ。オレの刃も洗練されてるぜ。昔一緒に潜ったいけすかねぇ『風』使い野郎の必殺技をヒントにしているから、威力の手加減ができねぇだけだ」
「マリアさん、その力のコントロールができてないから、あたしたち、こんなにびちゃびちゃになってるんですよ」
コナン・ドイルがマリアに文句を言ってから、上をみあげてきた。
「じゃあ、エヴァさん、あたしらはエヴァさんを信じます。そこの通りを一気に突っ切りゃあいいんですね」
「ああ、アーサー、ボクもエヴァ君を信じるとするよ。ここのいたからといって、ひとつもいいことはないからな」
マシュー・バリーも覚悟をきめたようだった。
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