13 / 88
第十三話 Wデート?~3
しおりを挟む
昼食後、レナンジェス達は商業区画へ向かう。
「王都も変わりましたわね」
ミーアはそう言いながら活気溢れる王都を眺めている。
「そう言えばミーア様がプロデュースしている店があると聞きましたが」
「えぇ、会員制にした店があるわ。この区画の真ん中くらいよ」
レナンジェスの言葉に微笑む悪役令嬢。
「それは行かないとなぁ」
チャールズはそう言うとミーアの手を取り人ごみ溢れる商業区画に分け入っていく。
「レナンジェス…」
ライディースはレナンジェスに手を差し出す。
「…はい」
仕方なく彼と手を繋ぐレナンジェス。するとライディースは頬を赤らめる。しかも股間にテントを張りかけている。
(おい、何時ものクールさでエスコートしろよ!まあ、私の方が身分は低いから口には出せないが…)
そんな事を考えながらレナンジェスはミーアたちの後を追う。そして一際大きな店の前でミーア達は足を止める。
「良い店構えだなぁ」
チャールズはそう言うと早速、店に入ろうとした。すると入り口の係員が会員証の提示を求めてくる。
「これで良いか?」
不意にライディースが会員証を提示した。
「これはライディース卿、ようこそ御出でくださいました」
そして中へ案内されると店員が左右に並び深々とお辞儀している。
「なあ、ミーア嬢の店なのに店主は顔パスじゃないのかぁ?」
チャールズが店員に尋ねる。
「それはミーア様の教育方針です。会員証を提示しなければミーア様でも入店できません。店員証が無ければ執務室にも入れませんから」
店員の言葉に目を丸くするチャールズ。彼は隣国の皇太子だ。隣国ではそのような事をすれば不敬になるだろう。
「守秘義務の為ですわ」
ミーアはそう言いながらチャールズに微笑みかける。
「そうかぁ。ミーア嬢はスゲーなぁ。貴族のプライバシーを守る為の工夫は俺の国でも取り入れるべきだと思ったぜぇ」
「でしたら帝国に出店許可を頂ければ作りますわよ」
「良いぜぇ。ただし…俺と婚約してくれたらだけどなぁ」
ボソリと言うチャールズの言葉に悪役令嬢は頬を赤く染める。
「ここでの話も何だから個室へ案内を頼む」
恥ずかしそうに見つめ合う2人を見かねてライディースはクールに言い放った。
店から出ると悪役令嬢は初々しい少女の様な表情を浮かべていた。彼女の首から高価なネックレスをさげている。チャールズからのプレゼントであろう。
(私は店長と商談になってしまったが…)
レナンジェスは商品化した写真と魔道映像器を店に売り込んだのだ。そして試作で作ったヒューイとドゥーイの写真集や歌う2人の映像を店長に見せると彼はそれに食いついた。そして撮影班に王都の歌劇役者の女優、俳優の写真集やイメージ映像を作る事を提案してきた。
結果、交渉、出演依頼をセロ公爵家が行い、撮影班をハックマン子爵家が派遣するという形で話はついた。同時にその場で商談内容を手紙で父に知らせる。
「レナンジェス、其方に贈り物だ」
一仕事終えて皆と合流した彼にライディースは宝石を散りばめたペンダントを渡してくる。
「お気遣い感謝します」
レナンジェスは貴族の礼に従いそれを受け取る。同時にライディースが何故か豪華な宝飾を施された首輪と鎖が入っている袋を持っているのを見てしまう。
(何かのフラグですか?)
レナンジェスはそう考えながらこの先に起こるであろうゲイ術的なイベントの事を考えないようにした。
デートの最後は学園近くにある王都が見渡せる丘の上だ。夕暮れ時が王都の夜景を一番綺麗に見える。
「2人の護衛は任せたよ」
『はい、ご主人様』
ヒューイとドゥーイはそう言うと少し離れた場所で悪役令嬢と隣国皇太子の警護に当たる。
(ミーア嬢の警護もこっそり付いてきているから大丈夫だとは思うけど)
レナンジェスは一日中、彼等の見えない場所から警護に当たる2人の剣士と間者のメイドの存在に気が付いていた。
「ライディース卿、少し失礼します」
ライディースを良い雰囲気を醸し出す2人から少し離れた場所に残しここへ来る前に買っておいたサンドイッチとアイスティーの入った袋を抱え3人の護衛の下へ向かう。
「差し入れです」
レナンジェスは笑顔で3人に食べ物を渡す。
『何時から気付いていた?』
怪訝な顔をする従者達。
「朝からですよ。皆さんはろくに食事もしていないでしょ?」
『ご厚意痛み入ります』
そう言いながら袋を受け取る従者達。レナンジェスはニコリと笑いその場を後にする。
「なあ、やはりお嬢様の相手はあの子爵の方が良いと思わないか?」
「だが、隣国の皇太子との縁談も悪くはない。何しろあの皇太子がお嬢様にべた惚れだからな」
そう言う剣士2人。
「でも…お嬢様のあんな表情は滅多に見られないな」
「そうね」
メイドがそう相槌を打つ。
彼等の目の先には美しい夜景にウットリしながら普段は見せない乙女らしい悪役令嬢の姿があった。
「王都も変わりましたわね」
ミーアはそう言いながら活気溢れる王都を眺めている。
「そう言えばミーア様がプロデュースしている店があると聞きましたが」
「えぇ、会員制にした店があるわ。この区画の真ん中くらいよ」
レナンジェスの言葉に微笑む悪役令嬢。
「それは行かないとなぁ」
チャールズはそう言うとミーアの手を取り人ごみ溢れる商業区画に分け入っていく。
「レナンジェス…」
ライディースはレナンジェスに手を差し出す。
「…はい」
仕方なく彼と手を繋ぐレナンジェス。するとライディースは頬を赤らめる。しかも股間にテントを張りかけている。
(おい、何時ものクールさでエスコートしろよ!まあ、私の方が身分は低いから口には出せないが…)
そんな事を考えながらレナンジェスはミーアたちの後を追う。そして一際大きな店の前でミーア達は足を止める。
「良い店構えだなぁ」
チャールズはそう言うと早速、店に入ろうとした。すると入り口の係員が会員証の提示を求めてくる。
「これで良いか?」
不意にライディースが会員証を提示した。
「これはライディース卿、ようこそ御出でくださいました」
そして中へ案内されると店員が左右に並び深々とお辞儀している。
「なあ、ミーア嬢の店なのに店主は顔パスじゃないのかぁ?」
チャールズが店員に尋ねる。
「それはミーア様の教育方針です。会員証を提示しなければミーア様でも入店できません。店員証が無ければ執務室にも入れませんから」
店員の言葉に目を丸くするチャールズ。彼は隣国の皇太子だ。隣国ではそのような事をすれば不敬になるだろう。
「守秘義務の為ですわ」
ミーアはそう言いながらチャールズに微笑みかける。
「そうかぁ。ミーア嬢はスゲーなぁ。貴族のプライバシーを守る為の工夫は俺の国でも取り入れるべきだと思ったぜぇ」
「でしたら帝国に出店許可を頂ければ作りますわよ」
「良いぜぇ。ただし…俺と婚約してくれたらだけどなぁ」
ボソリと言うチャールズの言葉に悪役令嬢は頬を赤く染める。
「ここでの話も何だから個室へ案内を頼む」
恥ずかしそうに見つめ合う2人を見かねてライディースはクールに言い放った。
店から出ると悪役令嬢は初々しい少女の様な表情を浮かべていた。彼女の首から高価なネックレスをさげている。チャールズからのプレゼントであろう。
(私は店長と商談になってしまったが…)
レナンジェスは商品化した写真と魔道映像器を店に売り込んだのだ。そして試作で作ったヒューイとドゥーイの写真集や歌う2人の映像を店長に見せると彼はそれに食いついた。そして撮影班に王都の歌劇役者の女優、俳優の写真集やイメージ映像を作る事を提案してきた。
結果、交渉、出演依頼をセロ公爵家が行い、撮影班をハックマン子爵家が派遣するという形で話はついた。同時にその場で商談内容を手紙で父に知らせる。
「レナンジェス、其方に贈り物だ」
一仕事終えて皆と合流した彼にライディースは宝石を散りばめたペンダントを渡してくる。
「お気遣い感謝します」
レナンジェスは貴族の礼に従いそれを受け取る。同時にライディースが何故か豪華な宝飾を施された首輪と鎖が入っている袋を持っているのを見てしまう。
(何かのフラグですか?)
レナンジェスはそう考えながらこの先に起こるであろうゲイ術的なイベントの事を考えないようにした。
デートの最後は学園近くにある王都が見渡せる丘の上だ。夕暮れ時が王都の夜景を一番綺麗に見える。
「2人の護衛は任せたよ」
『はい、ご主人様』
ヒューイとドゥーイはそう言うと少し離れた場所で悪役令嬢と隣国皇太子の警護に当たる。
(ミーア嬢の警護もこっそり付いてきているから大丈夫だとは思うけど)
レナンジェスは一日中、彼等の見えない場所から警護に当たる2人の剣士と間者のメイドの存在に気が付いていた。
「ライディース卿、少し失礼します」
ライディースを良い雰囲気を醸し出す2人から少し離れた場所に残しここへ来る前に買っておいたサンドイッチとアイスティーの入った袋を抱え3人の護衛の下へ向かう。
「差し入れです」
レナンジェスは笑顔で3人に食べ物を渡す。
『何時から気付いていた?』
怪訝な顔をする従者達。
「朝からですよ。皆さんはろくに食事もしていないでしょ?」
『ご厚意痛み入ります』
そう言いながら袋を受け取る従者達。レナンジェスはニコリと笑いその場を後にする。
「なあ、やはりお嬢様の相手はあの子爵の方が良いと思わないか?」
「だが、隣国の皇太子との縁談も悪くはない。何しろあの皇太子がお嬢様にべた惚れだからな」
そう言う剣士2人。
「でも…お嬢様のあんな表情は滅多に見られないな」
「そうね」
メイドがそう相槌を打つ。
彼等の目の先には美しい夜景にウットリしながら普段は見せない乙女らしい悪役令嬢の姿があった。
43
あなたにおすすめの小説
好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない
豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。
とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ!
神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。
そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。
□チャラ王子攻め
□天然おとぼけ受け
□ほのぼのスクールBL
タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。
◆…葛西視点
◇…てっちゃん視点
pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。
所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。
フードコートの天使
美浪
BL
西山暁には本気の片思いをして告白をする事も出来ずに音信不通になってしまった相手がいる。
あれから5年。
大手ファストフードチェーン店SSSバーガーに就職した。今は店長でブルーローズショッピングモール店に勤務中。
そんなある日・・・。あの日の君がフードコートに居た。
それは間違いなく俺の大好きで忘れられないジュンだった。
・・・・・・・・・・・・
大濠純、食品会社勤務。
5年前に犯した過ちから自ら疎遠にしてしまった片思いの相手。
ずっと忘れない人。アキラさん。
左遷先はブルーローズショッピングモール。そこに彼は居た。
まだ怒っているかもしれない彼に俺は意を決して挨拶をした・・・。
・・・・・・・・・・・・
両片思いを2人の視点でそれぞれ展開して行こうと思っています。
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
腐男子ですが何か?
みーやん
BL
俺は田中玲央。何処にでもいる一般人。
ただ少し趣味が特殊で男と男がイチャコラしているのをみるのが大好きだってこと以外はね。
そんな俺は中学一年生の頃から密かに企んでいた計画がある。青藍学園。そう全寮制男子校へ入学することだ。しかし定番ながら学費がバカみたい高額だ。そこで特待生を狙うべく勉強に励んだ。
幸いにも俺にはすこぶる頭のいい姉がいたため、中学一年生からの成績は常にトップ。そのまま三年間走り切ったのだ。
そしてついに高校入試の試験。
見事特待生と首席をもぎとったのだ。
「さぁ!ここからが俺の人生の始まりだ!
って。え?
首席って…めっちゃ目立つくねぇ?!
やっちまったぁ!!」
この作品はごく普通の顔をした一般人に思えた田中玲央が実は隠れ美少年だということを知らずに腐男子を隠しながら学園生活を送る物語である。
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
モラトリアムは物書きライフを満喫します。
星坂 蓮夜
BL
本来のゲームでは冒頭で死亡する予定の大賢者✕元39歳コンビニアルバイトの美少年悪役令息
就職に失敗。
アルバイトしながら文字書きしていたら、気づいたら39歳だった。
自他共に認めるデブのキモオタ男の俺が目を覚ますと、鏡には美少年が映っていた。
あ、そういやトラックに跳ねられた気がする。
30年前のドット絵ゲームの固有グラなしのモブ敵、悪役貴族の息子ヴァニタス・アッシュフィールドに転生した俺。
しかし……待てよ。
悪役令息ということは、倒されるまでのモラトリアムの間は貧困とか経済的な問題とか考えずに思う存分文字書きライフを送れるのでは!?
☆
※この作品は一度中断・削除した作品ですが、再投稿して再び連載を開始します。
※この作品は小説家になろう、エブリスタ、Fujossyでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる