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第二十五話 中間試験とカンニング疑惑
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中間試験前、モブ貴族たちは男女混合の勉強会を開いている。
(いいなぁ)
レナンジェスはそれを羨ましそうに見るが彼には一緒に勉強する仲間が居ない。何しろ悪役令嬢達と勉強すれば俺様王子がいじける。逆も然りだ。故に1人自室で勉強する事にする。
(モブ巨乳男爵令嬢トリオまで新しく男を作っているし…)
彼女等も子爵やら伯爵家の次男と良い仲になっていた。
『ご主人様、紅茶の用意が出来ました』
小悪魔2人は嬉しそうに言う。この期間だけはレナンジェスを独占できると考えているのだろう。
「ありがとう」
レナンジェスはそう言うと紅茶を啜りながら溜息をつく。
『どうしました?』
「私には友達が居ないと思ったら少し寂しくなってね」
『僕たちが居るじゃないですか』
「君達は従者だよ。私が求めているのは一緒に遊んだり馬鹿な事をする仲間だよ」
『ライディース様やリムル様ではだめですか?』
「爵位が違いすぎるから対等な友達ではないね」
そう言いながら自嘲気味に笑うレナンジェス。2人の従者は「貴族社会は面倒だな」と言う顔をしていた。
中間試験も終わり結果が出る。
(フフフ、このゲームの裏設定まで調べていた私は無敵なのだよ)
そう、本来なら主人公の聖女ミュージーが1番になるはずだった。しかし1番はレナンジェスだ。
2位ミュージー、3位俺様王子、4位チャールズ、5位ライディース、6位悪役令嬢、7位ジュドー、8位リムル、9位ルーアである。
因みに2年生の1位は第一王子だった。
『これはカンニングだ!』
不意にそんな声が聞こえる。そしてモブ達がレナンジェスを取り囲んだ。
『カンニングとかセコイ事をするなよな』
周りのモブ侯爵や伯爵がレナンジェスを断罪しだす。
「証拠がありますか?」
『このテストは必ず教師陣でも解けない問題が出ている。その答えを知っていたのがその証拠だ!』
彼等の言う問題とはアカデミーと呼ばれる魔法研究機関の教授しか使えない魔法の論述問題だった。
そして問題が「魔法に魔力吸収(ドレイン)効果の付与の手順」だ。
そう、この魔力吸収(ドレイン)の開発者であり王家に論文を提出したのは他ならぬレナンジェスだ。自分で開発した魔法を理解できない訳が無いのだ。
しかし国家機密に該当するレベルの事を他の生徒が知るわけがない。
気が付くと俺様王子や悪役令嬢、その他の攻略キャラやヒロインまでその場にいるではないか。
(これは…断罪イベント)
レナンジェスは即座に理解する。
「ちょっと待てよぉ、こいつが不正した証拠はないぜぇ。それに教師陣すら知らない問題だぞぉ?アカデミーの教授が採点する問題をどうやってカンニングするんだぁ?普通に考えて知っていたと思うぞぉ」
チャールズがレナンジェスを擁護する。
『だからですよ。普通に考えてアカデミーの教授クラスしか知らない事を知っているのは事前に回答を盗んだからではないですか?彼の従者は優秀ですから』
その言葉にチャールズは怪訝な顔をする。彼等の言い分はこの国のセキュリティーが甘いと言っているのだ。
「だったらよぉ、帝国のエージェントを潜り込ませれば情報を全て奪えるという事だよなぁ?」
その言葉にモブ達が黙る。
「それは無理だな。この国の機密保持が厳重なのは俺様が良く知っている」
不意に俺様王子がそう言う。
「そうですわね。もし、機密を盗めるならレナンジェス殿はエージェントになるべきですわね」
悪役令嬢もそう言うと首を傾げる。彼女にはレナンジェスがカンニングするメリットを感じなかったのだ。
「レナンジェス、朕は嬉しいぞ。この学園初の満点を取るとは」
不意に第一王子がやってくるとレナンジェスの肩を嬉しそうに叩く。
「兄上は理由をご存じで?」
俺様王子アリウスが第一王子カイザルに問い掛ける。
「其方…勉強不足であるぞ。王国に“魔力吸収(ドレイン)”の論文を提出したのはこの者ではないか」
「え?確か著者はR=H子爵家嫡男でしたが…」
「そうであろう。レナンジェス=ハックマン子爵家嫡男の略ではないか。それをカンニング扱いするとは朕は悲しいぞ」
「俺様はカンニング扱いしていないぞ!機密保持機能は厳重だと言っただけだぞ!」
その言葉にモブ貴族たちはクモの子を散らすように逃げていく。
「流石はレナンジェス様」
リムルがそう言いながらレナンジェスに腕を絡ませる。
「我は信じていたぞ」
ライディースはレナンジェスに指を絡ませながら手を繋ぐ。
(助かった…)
レナンジェスは内心でホッとする。
「そんな事より俺様はレナンジェスを勉強会に誘ったのに1回も顔を出さなかった事に腹が立っている!」
不意にそう言う俺様王子。
「それは仕方ねぇよぉ。俺達の勉強会にも1回も参加しなかったんだぜ?意味は解るよなぁ」
「レナンジェス殿は第一王子派でも第二王子派でもなく中立派だと言う意思表示ですわね」
チャールズの言葉に悪役令嬢ミーアがそう答える。
「気に食わぬ!俺様が勉強会で何度アーンを切望した事か!」
そう言いながらレナンジェスを睨む俺様王子。
「仕方が無いだろ。朕はレナンジェスが中立の意思を示したことを評価する」
第一王子がそう言うと俺様王子は黙る。
レナンジェスを取り込むことは大公家のライディース、侯爵家のリムルを取り込むことでもある。そうすれば国内の勢力バランスが崩れ争い事の火種になりかねないからだ。
『無駄な騒動でしたね』
ミュージーとルーアがそう呟くと皆は苦笑いを浮かべるのであった。
(いいなぁ)
レナンジェスはそれを羨ましそうに見るが彼には一緒に勉強する仲間が居ない。何しろ悪役令嬢達と勉強すれば俺様王子がいじける。逆も然りだ。故に1人自室で勉強する事にする。
(モブ巨乳男爵令嬢トリオまで新しく男を作っているし…)
彼女等も子爵やら伯爵家の次男と良い仲になっていた。
『ご主人様、紅茶の用意が出来ました』
小悪魔2人は嬉しそうに言う。この期間だけはレナンジェスを独占できると考えているのだろう。
「ありがとう」
レナンジェスはそう言うと紅茶を啜りながら溜息をつく。
『どうしました?』
「私には友達が居ないと思ったら少し寂しくなってね」
『僕たちが居るじゃないですか』
「君達は従者だよ。私が求めているのは一緒に遊んだり馬鹿な事をする仲間だよ」
『ライディース様やリムル様ではだめですか?』
「爵位が違いすぎるから対等な友達ではないね」
そう言いながら自嘲気味に笑うレナンジェス。2人の従者は「貴族社会は面倒だな」と言う顔をしていた。
中間試験も終わり結果が出る。
(フフフ、このゲームの裏設定まで調べていた私は無敵なのだよ)
そう、本来なら主人公の聖女ミュージーが1番になるはずだった。しかし1番はレナンジェスだ。
2位ミュージー、3位俺様王子、4位チャールズ、5位ライディース、6位悪役令嬢、7位ジュドー、8位リムル、9位ルーアである。
因みに2年生の1位は第一王子だった。
『これはカンニングだ!』
不意にそんな声が聞こえる。そしてモブ達がレナンジェスを取り囲んだ。
『カンニングとかセコイ事をするなよな』
周りのモブ侯爵や伯爵がレナンジェスを断罪しだす。
「証拠がありますか?」
『このテストは必ず教師陣でも解けない問題が出ている。その答えを知っていたのがその証拠だ!』
彼等の言う問題とはアカデミーと呼ばれる魔法研究機関の教授しか使えない魔法の論述問題だった。
そして問題が「魔法に魔力吸収(ドレイン)効果の付与の手順」だ。
そう、この魔力吸収(ドレイン)の開発者であり王家に論文を提出したのは他ならぬレナンジェスだ。自分で開発した魔法を理解できない訳が無いのだ。
しかし国家機密に該当するレベルの事を他の生徒が知るわけがない。
気が付くと俺様王子や悪役令嬢、その他の攻略キャラやヒロインまでその場にいるではないか。
(これは…断罪イベント)
レナンジェスは即座に理解する。
「ちょっと待てよぉ、こいつが不正した証拠はないぜぇ。それに教師陣すら知らない問題だぞぉ?アカデミーの教授が採点する問題をどうやってカンニングするんだぁ?普通に考えて知っていたと思うぞぉ」
チャールズがレナンジェスを擁護する。
『だからですよ。普通に考えてアカデミーの教授クラスしか知らない事を知っているのは事前に回答を盗んだからではないですか?彼の従者は優秀ですから』
その言葉にチャールズは怪訝な顔をする。彼等の言い分はこの国のセキュリティーが甘いと言っているのだ。
「だったらよぉ、帝国のエージェントを潜り込ませれば情報を全て奪えるという事だよなぁ?」
その言葉にモブ達が黙る。
「それは無理だな。この国の機密保持が厳重なのは俺様が良く知っている」
不意に俺様王子がそう言う。
「そうですわね。もし、機密を盗めるならレナンジェス殿はエージェントになるべきですわね」
悪役令嬢もそう言うと首を傾げる。彼女にはレナンジェスがカンニングするメリットを感じなかったのだ。
「レナンジェス、朕は嬉しいぞ。この学園初の満点を取るとは」
不意に第一王子がやってくるとレナンジェスの肩を嬉しそうに叩く。
「兄上は理由をご存じで?」
俺様王子アリウスが第一王子カイザルに問い掛ける。
「其方…勉強不足であるぞ。王国に“魔力吸収(ドレイン)”の論文を提出したのはこの者ではないか」
「え?確か著者はR=H子爵家嫡男でしたが…」
「そうであろう。レナンジェス=ハックマン子爵家嫡男の略ではないか。それをカンニング扱いするとは朕は悲しいぞ」
「俺様はカンニング扱いしていないぞ!機密保持機能は厳重だと言っただけだぞ!」
その言葉にモブ貴族たちはクモの子を散らすように逃げていく。
「流石はレナンジェス様」
リムルがそう言いながらレナンジェスに腕を絡ませる。
「我は信じていたぞ」
ライディースはレナンジェスに指を絡ませながら手を繋ぐ。
(助かった…)
レナンジェスは内心でホッとする。
「そんな事より俺様はレナンジェスを勉強会に誘ったのに1回も顔を出さなかった事に腹が立っている!」
不意にそう言う俺様王子。
「それは仕方ねぇよぉ。俺達の勉強会にも1回も参加しなかったんだぜ?意味は解るよなぁ」
「レナンジェス殿は第一王子派でも第二王子派でもなく中立派だと言う意思表示ですわね」
チャールズの言葉に悪役令嬢ミーアがそう答える。
「気に食わぬ!俺様が勉強会で何度アーンを切望した事か!」
そう言いながらレナンジェスを睨む俺様王子。
「仕方が無いだろ。朕はレナンジェスが中立の意思を示したことを評価する」
第一王子がそう言うと俺様王子は黙る。
レナンジェスを取り込むことは大公家のライディース、侯爵家のリムルを取り込むことでもある。そうすれば国内の勢力バランスが崩れ争い事の火種になりかねないからだ。
『無駄な騒動でしたね』
ミュージーとルーアがそう呟くと皆は苦笑いを浮かべるのであった。
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