転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸

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第二十七話 浜辺の淫夢

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翌日、急遽設置された舞台で第一回ミス浜辺の女王&ボディビルコンテストが行われた。審査員は観客である。

マッチョ5人がアピールした後に女性5人がアピールする。それを繰り返すのだ。

参加人数は女性15人、マッチョ20人である

参加賞はリゾートホテルの食事券。女子の部の優勝者はエステ付き宿泊券をペアで、2位はペア宿泊券、3位はネックレスである。

マッチョの部は優勝者がリゾートホテルペア宿泊券とトレーニングジム利用券。2位はプロテイン1年分。3位はプロテイン半年分だ。

「それでは第一回、浜辺の女王&ボディビルコンテストを行います」

警備隊長の司会でコンテストが始まる。そして舞台にマッチョ5人が登場すると女性陣が熱狂する。

『俺の筋肉を見ろ~!』

そう叫ぶとポージングをしながら自己アピールを始めるマッチョ達。

「レナンジェスちゃん。素晴らしいわ」

何故か会場の貴族席に居る母が目を輝かせている。その周りには伯爵家婦人や子爵家婦人、男爵家婦人達も一緒に盛り上がっている。

「次は浜辺の女王コンテスト出場者です」

その声で小麦色に日焼けした美少女達がセクシーな仕草で登場する。そして各々が自己アピールをしだした。

「良い眺めだ」

父もそう言いながら友人の貴族と愉しんでいる。

(お前等…行動が早すぎだろ!)

レナンジェスが昨日、父に許可を求める連絡を魔道具で行った。すると父が魔道具で連絡を取り合っていた貴族がこぞってやって来たのだ。年頃の息子まで連れて。

母は元からリゾート地でお茶会の予定があったので居るのは解る。解せないのが周りの領主が夜にも関わらず馬車を飛ばしてやって来たことだ。

『あの娘はメイドに欲しいな』

貴族の坊ちゃん連中はガン見する。一番年下のレナンジェスは仕方なく従業員やメイドを指揮する。同時に警備兵の指揮も彼だ。

「続いて男子エントリーナンバー6番から10番です」

その声で再びマッチョが現れる。そしてポージングを始めるのだがエントリーナンバー10番が最初に事件を起こした。

ポージングしながら他の参加者の背後に回ると太ももを掴みM字状態で持ち上げる。そして上下に揺さぶりだしたのだ。

『キャー~!ステキ~!!』

会場中の女子が盛り上がる。

「エントリーナンバー10番は失格!」

司会者の警備隊長がそう言うとブーイングが飛ぶ。

「俺のパフォーマンスを愉しんでくれてありがとう。それからそこで顔を赤くしている男子共よ!今夜、オ・レ・ト・ヤ・ラ・ナ・イ・カ」

その言葉で数人の男子が頷いている。

(まさか…ゲイ術愛好家がリアルでも現れるとは…)

レナンジェスは唖然とした。

「続きまして浜辺の女王の部エントリーナンバー6番から10番です」

女子達も過激になる。胸を揺らしてのアピール、谷間を作って「私の王子様はだ~れ?」なんて言っている。特に9番と10番は体を縄で縛り「悪いメイドをお仕置きしてくださるご主人様募集中でーす」ときた。

それには貴族の子息たちが『我が家で雇おう!』などと興奮しながら言っている。

(立場をわきまえてください…)

レナンジェスはそう思いながらも会場の指揮に勤しんでいた。



「最後に参加者一斉登場です」

司会者の言葉で参加した男女が舞台の上で並ぶ。その時に事件は起こった。

「何とハックマン家婦人の推薦により特別枠の2人を紹介します!」

そして舞台に現れたのはギターやベース、ドラム、キーボードの奏者とメイド姿でヘッドセットマイクを付けた小悪魔2人である。

『可愛い~』

『キャ~!ヒューイ様とドゥーイ様よ!』

会場中の男女が興奮しだす。

『それでは行くよ~!』

小悪魔2人が会場に向かって叫ぶと客は大興奮だ。

その後、2人の小悪魔はしなやかな動きで踊りながら歌う。まさにアイドルコンサートだ。

(いつの間に…)

レナンジェスが唖然とする。

「お前が作ったマイクやアンプ、ギター、ベース、ドラム、キーボードもブルックリンが改造してな。お前が作曲したクラッシック音楽やニューミュージック、ロックを参考にハードロック、パンクロック、ユーロビート、演歌を作ったのだよ。それで2人に歌って踊らせたらあの通りだ」

父はにこやかに言う。

(そうですか。最近、レナンジェス家に著作料が多く入っているのはブルックリンの影響ですか。確かにロックの話やユーロビート音楽の話もしたよ。それを数年で作り上げるなんて…何て恐ろしい子…)

レナンジェスは驚愕しながら2人のライブを見つめるのであった。



「何時からアイドル活動していた?」

『2年前からです』

小悪魔に事情聴取するレナンジェスは頭を抱える。男の娘メイドアイドルの存在は知っていたが…まさか小悪魔2人だったとは…。

『それから…今度、帝国と王都でもライブが…』

「では夏休みは君達の自由にして良いよ」

すると寂しそうな表情をする2人。

『ご主人様と一緒が良いです』

「ライブはどうするんだよ」

『ご主人様の警護のついでで』

「要は私に付き合えと言いたいわけだな。それは面白い提案だ。だが断る!」

そう言うと2人の小悪魔はレナンジェスに手紙を差し出す。差出人は…俺様王子、第一王子、帝国皇太子、悪役令嬢だ。

「私の夏休みが~」

レナンジェスは思わず叫んだ。その後、静まり返る部屋に外から『アー』と言う叫び声がハモって聞こえて来たのだった。
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