転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸

文字の大きさ
28 / 88

第二十八話 同情するなら休みをくれ!

しおりを挟む
「そう言う訳でこれが日程だ」

コンテスト翌日に海辺のリゾートホテルに“ときめき魔法学院”登場キャラが勢揃いしている。

理由はヒューイとドゥーイのアイドルコンサートとレナンジェスのライブ。

(黒歴史が…今になって牙を剥くとは…)

彼がエレキギター、ベース、ドラム、キーボードを作ったのは13歳の時だった。演奏はコントラバスやクラッシックギターに近い為、演奏できる者は多かった。

同時にコードを知っていたレナンジェスは転生前に聞いていた音楽のコードと歌詞を書き出し屋敷で単独ライブ遊びをしていたのだ。

その時の映像がブルックリンによって映像化される。その反響は大きく一般人から貴族まで幅広くファン層がいるそうだ。

(聞いていないぞ!ブルックリンは後で殴っておこう!!)

「それで俺様が夏休みにライブ&コンサート会場を抑えたのだ。有難く思うが良い」

俺様王子がドヤ顔する。

「我もギターのコードは全て覚えた」

ライディースもドヤ顔する。

そしてドラムがジュドー、キーボードがリムル、ベースが第一王子カイザルでツアーをすると勝手に決められていた。

「私はピアノで参加ですわ」

悪役令嬢ミーアは恥ずかしそうに言う。

「折角ですからツインギターとツインヴォーカルにしては如何でしょう?」

レナンジェスはヤケクソ気味に言う。

「俺はギター出来るぜぇ」

チャールズが食いついてくる。

「俺様がヴォーカルをしよう」

俺様王子が嬉しそうに言う。

(あんたの中の人は歌も歌っていたから上手いでしょうよ!)

そんな事を考えている時だった。ノックの音がしたのでドアを開けるレナンジェス。そこには2人の幼女を連れたブルックリンの姿があった。

「ブルックリン、君に用事があったところだよ」

レナンジェスは半ばキレ気味に言う。

「はい、前座の話ですね。伺っております」

その言葉にレナンジェスの頭の上に「?」が浮かぶ。

「彼の歌声は素敵ですから…」

ミュージーとルーアは嬉しそうだ。そしてブルックリンの独唱の映像を流す。

(…某少年合唱団ですか?声が透き通りすぎだろ!!弾き語りでここまでとは…恐ろしい子なのね)

レナンジェスは諦めモードに入る。

『それから…私達とミーア姉さまの従者がバックダンサーも務めますので…』

ミュージーとルーアは恥ずかしそうに言う。

(既にゲームのジャンルが違うぞ!これではアイドル育成ゲームだよ!!それにしても…移動日とコンサートだけで夏休みの四分の三は消える…)

そう、レナンジェスの夏休みは実質で5日しかないのだ。

「それよりも…何故こんな事に?」

レナンジェスは俺様王子に問い掛ける。

「つまらぬ派閥を壊すためだ」

「しかし…」

俺様王子の言葉にレナンジェスは言葉を詰まらせる。婚約破棄した俺様王子と悪役令嬢が行動を共にするのはどうなのかと。

「私の事は気にしないで。もう過去の事よ」

ミーアはニコリと笑いながら言う。

(まあ、W王子に愛されているから立ち直れたのだけれど…寝取った女と一緒に居られるのか?私は無理だ)

レナンジェスはそう考えながら悲し気な表情を浮かべる。

「どうしたんだぁ?」

チャールズはレナンジェスと肩を組み問いかけてくる。

「何でも有りませんよ」

そう言うレナンジェス。

「朕はバックダンサーにも歌わせた方が良いと思うぞ」

不意にとんでもない事を言う第一王子カイザル。

(確かに中の人はアニメの主題歌や挿入歌を歌っていたけど…ツインヴォーカルで…)

そう考えながらチラリとミュージーとルーアを見るレナンジェス。2人の少女の目は輝いている。

(仕方がない)

レナンジェスは覚えている歌詞と曲のコード、振り付けのラフ画を書き出す。

「フム、悪くない」

俺様王子は満足げにそう言うと早速、2人に歌の練習と振り付けをさせるのであった。



「なんでこうなるんだ!」

レナンジェスはリゾートホテルの部屋で嘆いていた。

『どうされました?』

心配そうに尋ねてくる小悪魔2人。

「あのスケジュールは殺人的だぞ!私の夏休みが…消えて行く…」

『でもご主人様の立ち位置をはっきりさせるチャンスですよ?蝙蝠から影の実力者に認識が改められると思います』

「こんな目立つ陰の実力者なんか居るわけないでしょ!」

そして悔しそうにジュースを一気に飲み干す。

「私に必要なのは休みだ!ナンパもしてみたかったしぐうたらもしたい!出来れば遊び惚けたいのに…休みが無くなった~!!休みを返してくれ~!」

そう叫んでいる時だった。ドアをノックする音が聞こえる。小悪魔がドアを開けるとライディースと俺様王子が立っていた。

「ほう、俺様の計画より休みが欲しいと?牢の中で永久に休ませてやろうか?」

「話を飛躍させないでください…」

「王族の命に背けば罰せられるだろ?それと今回のツアーの一部収益金を国庫と孤児院に納める事が決定しているのだ」

「そうですか…」

「それから…ナンパなどけしからん!お仕置きが必要だな!!」

そして俺様王子はレナンジェスを…ゴックンの刑に処した。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない

豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。 とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ! 神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。 そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。 □チャラ王子攻め □天然おとぼけ受け □ほのぼのスクールBL タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。 ◆…葛西視点 ◇…てっちゃん視点 pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。 所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。

フードコートの天使

美浪
BL
西山暁には本気の片思いをして告白をする事も出来ずに音信不通になってしまった相手がいる。 あれから5年。 大手ファストフードチェーン店SSSバーガーに就職した。今は店長でブルーローズショッピングモール店に勤務中。 そんなある日・・・。あの日の君がフードコートに居た。 それは間違いなく俺の大好きで忘れられないジュンだった。 ・・・・・・・・・・・・ 大濠純、食品会社勤務。 5年前に犯した過ちから自ら疎遠にしてしまった片思いの相手。 ずっと忘れない人。アキラさん。 左遷先はブルーローズショッピングモール。そこに彼は居た。 まだ怒っているかもしれない彼に俺は意を決して挨拶をした・・・。 ・・・・・・・・・・・・ 両片思いを2人の視点でそれぞれ展開して行こうと思っています。

最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。

はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。 2023.04.03 閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m お待たせしています。 お待ちくださると幸いです。 2023.04.15 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m 更新頻度が遅く、申し訳ないです。 今月中には完結できたらと思っています。 2023.04.17 完結しました。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます! すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

劣等生の俺を、未来から来た学院一の優等生が「婚約者だ」と宣言し溺愛してくる

水凪しおん
BL
魔力制御ができず、常に暴発させては「劣等生」と蔑まれるアキト。彼の唯一の取り柄は、自分でも気づいていない規格外の魔力量だけだった。孤独と無力感に苛まれる日々のなか、彼の前に一人の男が現れる。学院一の秀才にして、全生徒の憧れの的であるカイだ。カイは衆目の前でアキトを「婚約者」だと宣言し、強引な同居生活を始める。 「君のすべては、俺が管理する」 戸惑いながらも、カイによる徹底的な管理生活の中で、アキトは自身の力が正しく使われる喜びと、誰かに必要とされる温かさを知っていく。しかし、なぜカイは自分にそこまで尽くすのか。彼の過保護な愛情の裏には、未来の世界の崩壊と、アキトを救えなかったという、痛切な後悔が隠されていた。 これは、絶望の運命に抗うため、未来から来た青年と、彼に愛されることで真の力に目覚める少年の、時を超えた愛と再生の物語。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。 そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語

推しを擁護したくて何が悪い!

人生2929回血迷った人
BL
所謂王道学園と呼ばれる東雲学園で風紀委員副委員長として活動している彩凪知晴には学園内に推しがいる。 その推しである鈴谷凛は我儘でぶりっ子な性格の悪いお坊ちゃんだという噂が流れており、実際の性格はともかく学園中の嫌われ者だ。 理不尽な悪意を受ける凛を知晴は陰ながら支えたいと思っており、バレないように後をつけたり知らない所で凛への悪意を排除していたりしてした。 そんな中、学園の人気者たちに何故か好かれる転校生が転入してきて学園は荒れに荒れる。ある日、転校生に嫉妬した生徒会長親衛隊員である生徒が転校生を呼び出して──────────。 「凛に危害を加えるやつは許さない。」 ※王道学園モノですがBLかと言われるとL要素が少なすぎます。BLよりも王道学園の設定が好きなだけの腐った奴による小説です。 ※簡潔にこの話を書くと嫌われからの総愛され系親衛隊隊長のことが推しとして大好きなクールビューティで寡黙な主人公が制裁現場を上手く推しを擁護して解決する話です。

モラトリアムは物書きライフを満喫します。

星坂 蓮夜
BL
本来のゲームでは冒頭で死亡する予定の大賢者✕元39歳コンビニアルバイトの美少年悪役令息 就職に失敗。 アルバイトしながら文字書きしていたら、気づいたら39歳だった。 自他共に認めるデブのキモオタ男の俺が目を覚ますと、鏡には美少年が映っていた。 あ、そういやトラックに跳ねられた気がする。 30年前のドット絵ゲームの固有グラなしのモブ敵、悪役貴族の息子ヴァニタス・アッシュフィールドに転生した俺。 しかし……待てよ。 悪役令息ということは、倒されるまでのモラトリアムの間は貧困とか経済的な問題とか考えずに思う存分文字書きライフを送れるのでは!? ☆ ※この作品は一度中断・削除した作品ですが、再投稿して再び連載を開始します。 ※この作品は小説家になろう、エブリスタ、Fujossyでも公開しています。

処理中です...