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第三十話 フェイクニュースは恐ろしい
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翌日の新聞では音楽フェスの話題が一面を飾った。しかし3流紙では悪役令嬢ミーアとミュージーの背徳の熱愛だのレナンジェスとブルックリンの禁断の関係など不敬に当たる記事もある。
「馬鹿馬鹿しい」
レナンジェスは鼻先で笑うが他の者は怒り狂っている。
「貴族を侮辱するとは何事だ!」
俺様王子は新聞紙を破り捨てると剣を持ち部屋を飛び出そうとした。
「止めぬか。この記事が事実無根であると謝罪させれば済む話だ」
第一王子カイザルもオーケストラの女性とのスキャンダル記事を読みながら苦笑いで言う。
(それにしても王族に喧嘩を売るとは大した度胸だ)
レナンジェスはそう思いながら記事を読み漁る。王侯貴族のスキャンダルは時として民衆に悪影響を与える。それが革命を引き起こすきっかけになりかねない。
「恐らく他国の威光でしょう。この国にサイスポなる新聞社は存在しませんから」
ライディースはクールに言い放った。
「何が目的でしょう?」
悪役令嬢ミーアは不思議そうに言う。
「内乱を起こしたいんじゃねぇかぁ?」
チャールズは神妙な表情で言う。
「無意味ですね」
レナンジェスがそう呟くと皆がレナンジェスを睨む。仕方なく何故無意味なのか説明する。
「民に衣食住が行き渡り教養も磨かせているのですよ?話のタネには良いかもしれませんがこれで王家の権威を失墜させるのは不可能でしょう」
『確かに』
「それに根もない噂話は一言否定すれば良いだけです」
レナンジェスがそう言うと皆は納得した様だった。
(何が起きた?)
王都で群衆がデモを起こしている。内容は「サイスポ」は謝罪しろ、潰れろと言う内容だ。
(存在しない新聞社は潰れないだろう)
そう思うが民衆はこの国を発展させた面子を根も葉もない記事で侮辱したのが許せないらしい。
「大丈夫だよ。衛兵に説明させるから」
ジュドーはそう言うとウィンクする。その言葉通りデモ隊はあっさり解散した。だがこれで終わりではなかった。
翌日、サイスポ販売していた男が民衆に説教される事案が多発した。販売員は高額な報酬と売り上げを全て貰えることで行ったらしい。
流石にその話が流れては国も動く。販売員と接触した者を探し出し逮捕する。そこから出た情報は他国が王国を混乱に陥れようとしたことだった。
「このままライブをするのは如何なものでしょう?」
レナンジェスは皆が集まると問い掛ける。
「朕は続けるべきだと思う。其方の憂いも解るがライブを中止して警戒する事は他国に侵略の意志ありと捉えかねられないからな」
「俺様も同意見だ」
王国王子がそう言えば話はそれで終わる。
「国境警備を強化させる様に父に手紙を書いておきました」
ジュドーはレナンジェスの心配を払拭するように明るく言う。
「公爵家の私兵にも警備を強化させましたわ」
悪役令嬢ミーアもニコリと微笑みながら言う。
「兄上…ハックマン領も警備は強化されております。それよりも民衆がハックマン格闘術を教育に取り入れるべきだと言いだしまして…」
「解った。ただし剣術を剣の道として取り入れるよう父上に進言しよう。剣を通して礼儀作法を学ぶ場としてな」
レナンジェスはブルックリンの頭を撫でながら言う。
『それは是非、レナンジェスも学ぶべきだな』
トリプル王子は茶化すようにレナンジェスに突っ込みを入れた。それに苦笑いするしかできないレナンジェスであった。
それから3日後の事だった。ある国が民衆の暴動で滅びたらしい。新聞の一面にはそのニュースだらけであった。
「何故、滅びたのだろうか?」
ライディースはクールさを装いながらも動揺している。
『それは旦那様の策略だと思います』
不意に物騒な事を口にする小悪魔~ズ。
『それは聞き捨てならないな』
トリプル王子は冷酷な表情で小悪魔~ズを見つめる。
『簡単な話ですよ。サイスポの出所を調べて逆に王国民に多額なお金を渡してフェイクニュースを流した。結果、良い話のネタになったと王国民が喜んだという噂を商人経由で流したんです。そうしたら…税率が上がっていた国民は激怒して一斉蜂起したみたいですよ。それには警備兵や近衛兵も加わって王侯貴族全て捕らえて…事実確認したらみんな処刑。それで終わりです』
「まさか…情報だけで国を潰したの?」
悪役令嬢ミーアの顔は真っ青だ。
『この国と帝国は善政を布いています。故にこの国で行うのは悪手ですね。旦那様は相手の意図を明確に理解し逆手に取っただけですよ。フェイクニュースで皆が楽しんだのも事実ですから』
『つまりフェイクニュースに正しい情報で対抗したのか…恐るべし…ハックマン子爵…』
トリプル王子はそう言いながら顔を見合わせる。
「息子が麒麟児なら親は影の実力者という事ですね」
ジュドーはそう言いながら苦笑いを浮べた。
『ハックマン子爵を伯爵か侯爵にする必要がありそうだ…』
俺様王子アリウスと第一王子カイザルはそう呟き顔を見合わせる。
「それは無用でしょう」
レナンジェスはあっさりと言い放つ。
『何故だ?』
「情報によって民衆が立ち上がった。結果、国が滅びた。それだけの話です。その中にハックマン領の住民は面白がって商人に話す。商人はその情報に信憑性あると判断したまでです」
レナンジェスの言葉にトリプル王子は茫然とするしかなかった。
「馬鹿馬鹿しい」
レナンジェスは鼻先で笑うが他の者は怒り狂っている。
「貴族を侮辱するとは何事だ!」
俺様王子は新聞紙を破り捨てると剣を持ち部屋を飛び出そうとした。
「止めぬか。この記事が事実無根であると謝罪させれば済む話だ」
第一王子カイザルもオーケストラの女性とのスキャンダル記事を読みながら苦笑いで言う。
(それにしても王族に喧嘩を売るとは大した度胸だ)
レナンジェスはそう思いながら記事を読み漁る。王侯貴族のスキャンダルは時として民衆に悪影響を与える。それが革命を引き起こすきっかけになりかねない。
「恐らく他国の威光でしょう。この国にサイスポなる新聞社は存在しませんから」
ライディースはクールに言い放った。
「何が目的でしょう?」
悪役令嬢ミーアは不思議そうに言う。
「内乱を起こしたいんじゃねぇかぁ?」
チャールズは神妙な表情で言う。
「無意味ですね」
レナンジェスがそう呟くと皆がレナンジェスを睨む。仕方なく何故無意味なのか説明する。
「民に衣食住が行き渡り教養も磨かせているのですよ?話のタネには良いかもしれませんがこれで王家の権威を失墜させるのは不可能でしょう」
『確かに』
「それに根もない噂話は一言否定すれば良いだけです」
レナンジェスがそう言うと皆は納得した様だった。
(何が起きた?)
王都で群衆がデモを起こしている。内容は「サイスポ」は謝罪しろ、潰れろと言う内容だ。
(存在しない新聞社は潰れないだろう)
そう思うが民衆はこの国を発展させた面子を根も葉もない記事で侮辱したのが許せないらしい。
「大丈夫だよ。衛兵に説明させるから」
ジュドーはそう言うとウィンクする。その言葉通りデモ隊はあっさり解散した。だがこれで終わりではなかった。
翌日、サイスポ販売していた男が民衆に説教される事案が多発した。販売員は高額な報酬と売り上げを全て貰えることで行ったらしい。
流石にその話が流れては国も動く。販売員と接触した者を探し出し逮捕する。そこから出た情報は他国が王国を混乱に陥れようとしたことだった。
「このままライブをするのは如何なものでしょう?」
レナンジェスは皆が集まると問い掛ける。
「朕は続けるべきだと思う。其方の憂いも解るがライブを中止して警戒する事は他国に侵略の意志ありと捉えかねられないからな」
「俺様も同意見だ」
王国王子がそう言えば話はそれで終わる。
「国境警備を強化させる様に父に手紙を書いておきました」
ジュドーはレナンジェスの心配を払拭するように明るく言う。
「公爵家の私兵にも警備を強化させましたわ」
悪役令嬢ミーアもニコリと微笑みながら言う。
「兄上…ハックマン領も警備は強化されております。それよりも民衆がハックマン格闘術を教育に取り入れるべきだと言いだしまして…」
「解った。ただし剣術を剣の道として取り入れるよう父上に進言しよう。剣を通して礼儀作法を学ぶ場としてな」
レナンジェスはブルックリンの頭を撫でながら言う。
『それは是非、レナンジェスも学ぶべきだな』
トリプル王子は茶化すようにレナンジェスに突っ込みを入れた。それに苦笑いするしかできないレナンジェスであった。
それから3日後の事だった。ある国が民衆の暴動で滅びたらしい。新聞の一面にはそのニュースだらけであった。
「何故、滅びたのだろうか?」
ライディースはクールさを装いながらも動揺している。
『それは旦那様の策略だと思います』
不意に物騒な事を口にする小悪魔~ズ。
『それは聞き捨てならないな』
トリプル王子は冷酷な表情で小悪魔~ズを見つめる。
『簡単な話ですよ。サイスポの出所を調べて逆に王国民に多額なお金を渡してフェイクニュースを流した。結果、良い話のネタになったと王国民が喜んだという噂を商人経由で流したんです。そうしたら…税率が上がっていた国民は激怒して一斉蜂起したみたいですよ。それには警備兵や近衛兵も加わって王侯貴族全て捕らえて…事実確認したらみんな処刑。それで終わりです』
「まさか…情報だけで国を潰したの?」
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『この国と帝国は善政を布いています。故にこの国で行うのは悪手ですね。旦那様は相手の意図を明確に理解し逆手に取っただけですよ。フェイクニュースで皆が楽しんだのも事実ですから』
『つまりフェイクニュースに正しい情報で対抗したのか…恐るべし…ハックマン子爵…』
トリプル王子はそう言いながら顔を見合わせる。
「息子が麒麟児なら親は影の実力者という事ですね」
ジュドーはそう言いながら苦笑いを浮べた。
『ハックマン子爵を伯爵か侯爵にする必要がありそうだ…』
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