転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸

文字の大きさ
82 / 88

第八十一話 薔薇園とBL展開

しおりを挟む
休日、レナンジェスはミーアを薔薇園デートに誘った。するとジュドーとライディースは恋人のモブ令嬢を伴って同伴する。

「レナンジェス…今日は貸し切りにしたんだ」

不意にレナンジェスの耳元で囁くライディース。

「あの…恋人の前では?」

レナンジェスはミーアをエスコートしながら苦笑いで言う。

『大丈夫ですわ!恋愛とゲイ術は別腹ですから!』

モブ令嬢達は一斉に声をあげる。どうやらジュドーの恋人もライディースの恋人達も同性愛には寛容なようだ。

「それでも…」

不意にレナンジェスはミーアの手を握り途惑いながら呟く。

「わたくしも…別腹ですわよ」

ミーアは満面の笑みで言う。

(ここまで腐敵になっていたとは)

レナンジェスは苦笑いを浮べる。するとライディースは首輪を装着し鎖を手に持ちながらレナンジェスに懇願するような視線を向ける。

「恋人の前ですよ…」

レナンジェスはそう呟きながらもライディースが持つ鎖を手にした。

『素敵ですわ』

ライディースの恋人とモブ令嬢が鼻息を荒げながら言う。

「ただしイケメンに限るですけど」

レナンジェスは悪戯な笑みを浮かべながら言う。

「レナンジェス…悪い子になったな」

ジュドーは妖淫な眼差しをレナンジェスに向けながら頬に唇を重ねる。

「我にも…」

ライディースが物欲しげな眼差しを向けながらレナンジェスに呟く。

「仕方がない」

レナンジェスはそう言いながらライディースの唇を奪った。

「痛い…」

レナンジェスの足に痛みが走る。ミーアがムクレながらヒールでレナンジェスの足を踏んづけたのだ。

「ミーア様?」

「何かしら?」

「妬いています?」

「さあ、どうかしら?」

ミーアは面白くなさそうに言う。

「ミーア」

レナンジェスは悪役令嬢の耳元で名前を囁く。

「え?」

レナンジェスは驚くミーアの額に口付けする。

「何を…」

頬を赤く染めるミーア。

「君が綺麗だったから」

レナンジェスはそう言うとミーアの手を握る。するとミーアは可愛らしい笑みをレナンジェスに向けた。

(私はエロースの影響で自分の欲望に素直になったみたいだ)

レナンジェスは薔薇を眺めながらそんな事を考える。それでも性行為はまだ早いと感じる。

(甘酸っぱい恋愛がしたい。乙女ゲームに嵌った理由はそれだろう。故に性行為を良しとしないのだろうな。私は)

そう思いながら不意にミーアに目をやる。ミーアはずっとレナンジェスを見つめていたみたいだ。

「どうされました?」

「レナンジェス殿が急に変わった気がして」

「今の私は嫌いですか?」

「そんな事はありませんわ。前ははっきりしない男だと思っていましたし」

「もう、自分を偽りたくないのです。私はミーア様が好きです。この気持ちにだけは嘘をつきたくない」

「何を急に…」

ミーアの顔は赤くなる。そんな彼女の手に指を絡めて繋ぐレナンジェス。

「好きだ。もう、誰にも渡さない」

レナンジェスはミーアに熱い視線を向ける。そして彼女は静かに頷く。

「僕もレナンジェスを好きだよ。彼女達と同じくらいに」

それを聞いていたジュドーが満面の笑みで言う。

「我はレナンジェスの僕(しもべ)になりたい」

ライディースも淫らな笑みを浮かべながら言ってくる。

「そうですか。私は一番ミーア様が好きです。でも…2人の事も好きですよ」

レナンジェスが微笑みながら言うと2人の男子は頬を赤く染めた。

『これがベーコンレタスの世界ですのね』

モブ令嬢は3人に欲望に塗れた視線を注ぎ込むのであった。



その晩の事だ。

『ご主人様…』

ヒューイとドゥーイがジト目で迫ってくる。

「妬いているのか?」

『え?』

レナンジェスの問い掛けに途惑う2人。

「私はもう、自分を偽るのを止めたんだ。私は女性も好きだが男も好きだ。だから君達も受け入れるよ。でも…健全な関係でね」

『それはダメです!』

そういう2人に口付けするレナンジェス。

『ご主人様…』

2人は頬を赤く染めながらレナンジェスにしがみ付くのであった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない

豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。 とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ! 神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。 そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。 □チャラ王子攻め □天然おとぼけ受け □ほのぼのスクールBL タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。 ◆…葛西視点 ◇…てっちゃん視点 pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。 所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。

王子様から逃げられない!

一寸光陰
BL
目を覚ますとBLゲームの主人公になっていた恭弥。この世界が受け入れられず、何とかして元の世界に戻りたいと考えるようになる。ゲームをクリアすれば元の世界に戻れるのでは…?そう思い立つが、思わぬ障壁が立ち塞がる。

王道学園のモブ

四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。 私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。 そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。

俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜

陽七 葵
BL
 主人公オリヴァーの妹ノエルは五歳の時に前世の記憶を思い出す。  この世界はノエルの知り得る世界ではなかったが、ピンク髪で光魔法が使えるオリヴァーのことを、きっとこの世界の『主人公』だ。『勇者』になるべきだと主張した。  そして一番の問題はノエルがBL好きだということ。ノエルはオリヴァーと幼馴染(男)の関係を恋愛関係だと勘違い。勘違いは勘違いを生みノエルの頭の中はどんどんバラの世界に……。ノエルの餌食になった幼馴染や訳あり王子達をも巻き込みながらいざ、冒険の旅へと出発!     ノエルの絵は周囲に誤解を生むし、転生者ならではの知識……はあまり活かされないが、何故かノエルの言うことは全て現実に……。  友情から始まった恋。終始BLの危機が待ち受けているオリヴァー。はたしてその貞操は守られるのか!?  オリヴァーの冒険、そして逆ハーレムの行く末はいかに……異世界転生に巻き込まれた、コメディ&BL満載成り上がりファンタジーどうぞ宜しくお願いします。 ※初めの方は冒険メインなところが多いですが、第5章辺りからBL一気にきます。最後はBLてんこ盛りです※

婚約破棄された公爵令嬢アンジェはスキルひきこもりで、ざまあする!BLミッションをクリアするまで出られない空間で王子と側近のBL生活が始まる!

山田 バルス
BL
婚約破棄とスキル「ひきこもり」―二人だけの世界・BLバージョン!?  春の陽光の中、ベル=ナドッテ魔術学院の卒業式は華やかに幕を開けた。だが祝福の拍手を突き破るように、第二王子アーノルド=トロンハイムの声が講堂に響く。 「アンジェ=オスロベルゲン公爵令嬢。お前との婚約を破棄する!」  ざわめく生徒たち。銀髪の令嬢アンジェが静かに問い返す。 「理由を、うかがっても?」 「お前のスキルが“ひきこもり”だからだ! 怠け者の能力など王妃にはふさわしくない!」  隣で男爵令嬢アルタが嬉しげに王子の腕に絡みつき、挑発するように笑った。 「ひきこもりなんて、みっともないスキルですわね」  その一言に、アンジェの瞳が凛と光る。 「“ひきこもり”は、かつて帝国を滅ぼした力。あなたが望むなら……体験していただきましょう」  彼女が手を掲げた瞬間、白光が弾け――王子と宰相家の青年モルデ=リレハンメルの姿が消えた。 ◇ ◇ ◇  目を開けた二人の前に広がっていたのは、真っ白な円形の部屋。ベッドが一つ、机が二つ。壁のモニターには、奇妙な文字が浮かんでいた。 『スキル《ひきこもり》へようこそ。二人だけの世界――BLバージョン♡』 「……は?」「……え?」  凍りつく二人。ドアはどこにも通じず、完全な密室。やがてモニターが再び光る。 『第一ミッション:以下のセリフを言ってキスをしてください。  アーノルド「モルデ、お前を愛している」  モルデ「ボクもお慕いしています」』 「き、キス!?」「アンジェ、正気か!?」  空腹を感じ始めた二人に、さらに追い打ち。 『成功すれば豪華ディナーをプレゼント♡』  ステーキとワインの映像に喉を鳴らし、ついに王子が観念する。 「……モルデ、お前を……愛している」 「……ボクも、アーノルド王子をお慕いしています」  顔を寄せた瞬間――ピコンッ! 『ミッション達成♡ おめでとうございます!』  テーブルに豪華な料理が現れるが、二人は真っ赤になったまま沈黙。 「……なんか負けた気がする」「……同感です」  モニターの隅では、紅茶を片手に微笑むアンジェの姿が。 『スキル《ひきこもり》――強制的に二人きりの世界を生成。解除条件は全ミッション制覇♡』  王子は頭を抱えて叫ぶ。 「アンジェぇぇぇぇぇっ!!」  天井スピーカーから甘い声が響いた。 『次のミッション、準備中です♡』  こうして、トロンハイム王国史上もっとも恥ずかしい“ひきこもり事件”が幕を開けた――。

キンモクセイは夏の記憶とともに

広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。 小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。 田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。 そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。 純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。 しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。 「俺になんてもったいない!」 素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。 性描写のある話は【※】をつけていきます。

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい

椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。 その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。 婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!! 婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。 攻めズ ノーマルなクール王子 ドMぶりっ子 ドS従者 × Sムーブに悩むツッコミぼっち受け 作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

異世界召喚チート騎士は竜姫に一生の愛を誓う

はやしかわともえ
BL
11月BL大賞用小説です。 主人公がチート。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 励みになります。 ※完結次第一挙公開。

処理中です...